田中泰の「クラシック新発見」

メモリアルイヤーに蘇る「ラフマニノフのピアノ」

隔週連載

第70回

写真提供:タカギクラヴィア

2023年は、ロシア出身の作曲家セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)の生誕150年を祝うメモリアルイヤーだ。華やかでロマンティックなピアノ技法と、哀愁を帯びた旋律。そしてロシア正教会の鐘の音や聖歌などを活かした作品の数々はもちろん、史上屈指のピアニストとして20世紀前半のクラシック界を席巻したラフマニノフ。その彼のために特別に作られた1932年製のスタインウェイピアノが現在日本にあることをご存知だろうか。