田中泰の「クラシック新発見」

大河が誘う音楽の旅

隔週連載

第135回

昨年の模様 (C)LFJ2025

ゴールデンウィークの東京を彩る世界最大級のクラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネTOKYO(LFJ)」2026年の開催が目前だ。

2026年の開催テーマは「LES FLEUVES(レ・フルーヴ:大河)」。世界の主要都市を流れる大河の数々と、その流れに触発された作曲家たちの名作。そしてその作曲家たちにまつわる作品の数々までもが披露される壮大な3日間が楽しみでならない。

世界の主要都市には必ず川が存在する。歴史の本を紐解いてみれば、世界最古の文明である「メソポタミア文明」は、チグリス川とユーフラテス川の沖積平野がその源であることを筆頭に、古代4大文明はすべて大きな川のそばで発展している。「古代エジプト文明」はナイル川。「古代インダス文明」はインダス川。そして、「古代中国文明」は、黄河と長江のほとりで発展しているのだ。大きな都市を作るには水が不可欠。川はその水を提供するのみならず、遠く離れた地域の思想や文化までも運ぶ重要な道の役割も果たしていたのだ。

その大河は、作曲家や作品にも多大な影響を与えてきたことが知られている。ヨーロッパにおいてはドナウ川、モルダウ(ヴルタヴァ)川、ロワール川、ライン川に、ロシアのヴォルガ川。そして、旧約聖書にも登場するユーフラテス川&ヨルダン川。アメリカにおいては、ミシシッピ川と、南米を流れるアマゾン川などなど。今回のLFJにおいては、“大河を軸に音楽でめぐる世界旅行”が展開されるだけに、その広がりは無限大だ。そこにLFJならではのスパイスが振りかけられた魅力的な企画こそが、20年以上に渡ってクラシックのコア層はもちろん、初心者までをも魅了してきた秘訣に違いない。

昨年の模様 (C)LFJ2025

2026年の開催においては、東京国際フォーラムのA、B5、C、D7、G409の5会場を使用する有料公演はもとより、無料のエリアコンサートの充実ぶりも嬉しい限り。国際フォーラムを中心とした大手町・有楽町・東京駅・京橋・銀座・八重洲・日比谷界隈が、音楽に満たされる様子は一見の価値あり。朝から晩まで音楽に包まれるという、素敵な非日常感を是非ご体験あれ。

東京国際フォーラムにおいては、ホールE 及び、地上広場キオスクステージで開催される各種コンサートは要チェック。“ワイン片手にクラシック三昧”とはこのことだ。さらには、「マスタークラス」や「講演会」などなど、ここでしか体験できないプログラムが目白押しだ。

中でも、「観る・触れる・聴く」を実践する弦楽器体感イベント「LFJ STRINGS EXPO(ストリングスエキスポ)」は絶対に見逃せない(東京国際フォーラム ホールB7)。ここには国内外の様々な弦楽器や関連グッズが一同に集結するほか、連日ライブ・イベントまでもが行われるのだからたまらない。今年は新たに初心者を対象とした「弦楽器デビューコーナー」が新設されるのも楽しみのひとつだ。成熟した音楽を披露することのみならず、「初めて〜」を応援するところに、ラ・フォル・ジュルネの“大河的思想”が垣間見える。もちろん、子どもと一緒に楽しむ「0歳からのコンサート」や、3歳から入れるコンサートの数々も健在だ。会場前にずらりと並ぶベビーカーこそが、クラシックの未来を象徴しているようにも感じられる。

昨年の模様 (C)LFJ2025

さて、筆者がナビゲーターを務める「J-WAVEモーニングクラシック」では、4月20日(月)から4月30日(木)までの、2週8日間にわたって、「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2026」を特集。今年のテーマ「LES FLEUVES(大河)」に登場する名曲の数々をご紹介予定だ。文明の源でもある大河からインスピレーションを受けた作曲家たちの熱い思いを受け止めてほしい。

ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026

5月3日(日・祝)〜5月5日(火・祝)
東京国際フォーラム
大手町・丸の内・有楽町、東京駅、京橋、銀座、八重洲、日比谷
https://www.lfj.jp/lfj_2026/

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/events/lfj/

「J-waveモーニングクラシック」
https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/classic/

プロフィール

田中泰

1957年生まれ。1988年ぴあ入社以来、一貫してクラシックジャンルを担当し、2008年スプートニクを設立して独立。J-WAVE『モーニングクラシック』『JAL機内クラシックチャンネル』などの構成を通じてクラシックの普及に努める毎日を送っている。スプートニク代表取締役プロデューサー。