佐藤寛太の偏愛主義でいこう!
『海が走るエンドロール』のたらちねジョン先生にインタビューしました!【前編】
不定期連載
第23回
かねてより映画だけでなく漫画も大好きとおっしゃっていた寛太さん。そんな寛太さんから、“ぜひインタビューしてみたい人”として名前が挙がったのが、漫画家のたらちねジョン先生。「このマンガがすごい!2022」(宝島社)オンナ編第1位ランクイン、第12回ananマンガ大賞準大賞を受賞するなど、大きな話題を呼んだ作品『海が走るエンドロール』の生みの親です。
夫と死別した65歳の主人公・うみ子が、数十年ぶりに訪れた映画館で映像専攻の美大生・海(カイ)に出会ったことから、自分は“映画が撮りたい側”の人間だったことに気がつき、カメラを手にすることを決意する……。そんな“映画づくり”をテーマにした物語ですが、俳優であり、ひとりの映画ファン・漫画ファンでもある寛太さんは本作のどんなところに惹かれたのか?
オファーに快諾してくださったたらちねジョン先生と寛太さんは、取材当日がもちろん初対面ながら、寛太さんはもちろん、先生からもリサーチを兼ねた質問が飛ぶなど、やりとりは大盛り上がり! そのもようを前編・後編でたっぷりお届けします!
第1話試し読みはこちら!
佐藤 この連載は共演者の方にゲストに来ていただくことが多くて、原作者の方は初めてなんです。僕がただ好きだから「会いたいです……!」ってお願いをして。今日は本当にありがとうございます。
たらちね こちらこそありがとうございます。
佐藤 『海が走るエンドロール』が大好きで、『アザミの城の魔女』『グッドナイト、アイラブユー』も読みました。これで全部ですか?
たらちね あとは別名義でBLも描いています。
佐藤 チェックしていなかったので、今度読ませていただきます。今日はお会いできて、本当にラッキーです! 聞きたいことがいっぱいあったのに、いざお会いしたらなにを聞いたらいいのか分からなくなってきました(笑)。
たらちね その場になると、分からなくなりますよね(笑)。
佐藤 質問したいことをリストに書いて持ってこようかとも思ったんですけど、最初から決まりきったことを聞くのもなぁ、と思って。お茶を飲みながら話したくて、キャンプで使っているコーヒーをゴリゴリ挽く道具を持ってこようかと思っていたんです。でも今日は雨が降っているので、リュックが雨具でいっぱいになっちゃいました。
たらちね ガチの雨具ですか?
佐藤 傘をささないから、雨の日はゴアテックスの上下を着ています。
たらちね イギリス人みたい(笑)。

佐藤 そうそう、向こうの人って傘を持っていないらしいですね。僕も同じです。……人見知りじゃないんですね?
たらちね いや、めっちゃ人見知りです。
佐藤 あ、そうなんですか。自分が人見知りじゃなさすぎて、いつも気づけないんですよ。最初からしゃべってくれるということは人見知りじゃないんだろう、って(笑)。
たらちね 今までも人見知りのゲストの方はいらっしゃいましたか?
佐藤 インタビューをするときには撮影現場を経ているので、もうしゃべれる関係になっているんです。今日は本当に「はじめまして」なので、質問項目を用意してくるべきでした(笑)。
基本的な質問からになるのですが、大学では映画を学んでいたんですよね?
たらちね 美大の映像学科に通っていました。
佐藤 いつかそれを描こうと思っていたんですか?
たらちね 逆に当時から漫画家になりたいなと思っていたんです。漫画ではなくて映画を学んだ方が、将来的に漫画を描く上で役立つんじゃないかな、と思って。
佐藤 カメラワークだったり?
たらちね そうです、そうです。その他に脚本とかも勉強になるだろう、と。
佐藤 漫画家さんって、主演、助演、監督、脚本、撮影、カット割り……、と全部ひとりでやっているようなものですよね。登場人物の顔をどこまで見せるか、とかすべての表現を全部決めるってすごいことだと思います。
たらちね 漫画の中でも描いているんですけど、学生の頃に授業で映画を撮るときに何人も集めるのがすごく大変だったんです。みんなのスケジュールがなかなか合わなくて。私もサボり癖があったりしたので(笑)。
佐藤 バイトとか、いろいろありますもんね。
たらちね そうなんですよ。だから逆に漫画ってひとりでできるから最高だな、っていう。
佐藤 そもそも、ひとりひとりの熱量も違ったりしそうですよね。

たらちね 演技の仕事をしたいと思ったのは、映画が好きだからですか?
佐藤 そうですね。映画が好きで、あまりなにも考えずに始めました。漫画は誰に言われずとも、小さい頃から描いていたんですか?
たらちね 最初は趣味でノートに鉛筆で描いていました。同人誌っていう文化があるんですけど、コミックマーケットとかに出したら編集者から声がかかって。
佐藤 それで出したのが『グッドナイト、アイラブユー』ですか?
たらちね そのときに出したのは、また違う旅を描いた物語です。もともと海外旅行が好きなんですよね。
佐藤 『グッドナイト、アイラブユー』も主人公がヨーロッパに旅する話ですよね。途中で出てくる映画『LEON』のマチルダみたいな女の子、すごくイキイキしていていいなと思いました。恋とは違う感情なんだけど、ときめく感じがあって。ああいうキャラクターを見ると、少女を題材にした作品がこの世に生まれる所以が分かる気がします。
たらちね ありがとうございます。
佐藤 どの作品にも魅力的なキャラクターが出てくるのですが、『アザミの城の魔女』の先生も好きです。昔は尖っていてひととおりいろいろな経験をしたんだろうけど、今は静かなおじさん、みたいな。『BLEACH』の喜助を彷彿とさせるキャタクターだなと思いました。
たらちね あ〜、カッコいいですよね。確かにジャンルは一緒かもしれないです。

佐藤 物語の作り方について伺いたいのですが、制作するうえでどれくらい先まで思いついているものなんですか?
ドラマの現場だと、たとえば8話を撮っているのにまだ9話の台本があがっていないことがあったり、すべての台本があがっていてもランダムに撮ることが多いので、ゴールに向かって調整していくのが大変だなと思うこともあるんです。
たらちね 『海が走るエンドロール』に関しては、1話しかほぼ考えていなかったです。
佐藤 えー! 読み切り的な感じだったんですか?
たらちね そうではなかったのですが、うみ子と海というキャラクターふたりがいて、ヒューマンドラマになるだろう、くらいの感じでした。

佐藤 じゃあ、そこから自転車操業だったんですか!? 自転車操業って言っちゃうと資金繰りのことになっちゃうから、ちょっと違うか(笑)。
たらちね (笑)。そのときは『アザミの城の魔女』の連載を同時にしていたので。
佐藤 同時に! それはすごすぎる……。ちなみに、日によって違うかもしれないのですが、好きな映画はなんですか?
たらちね 確かに日によって変わりますが、最近は『幸せへのまわり道』というトム・ハンクスが出演している映画が良かったです。
佐藤 配信されていますね。観ます!
たらちね 最近だとなにが面白かったですか?
佐藤 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』がやばかったです。今年はあれを超える作品に出会えるかどうか分からないな、っていうくらい。好きな俳優さんはいますか?

たらちね 最近、伊藤沙莉さんの演技を観て感動しました。『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得た『ちょっと思い出しただけ』を拝見して、すごいお芝居をされる方だなと思って。
佐藤 伊藤さん、めちゃくちゃいいですよね。森山未來さんと共演している『ボクたちはみんな大人になれなかった』もありましたし。
たらちね 森山未來さんも大好きで、舞台を観に行きました。
佐藤 やっぱりいろいろと観ているんですね。
たらちね とは言え、そんな観られていないんです。私は結構、映画を観るのに勇気がいるタイプなんだと思います。
佐藤 ちゃんと受け止めるから?
たらちね そうかもしれないです。心がすごく動くので、観る前はちょっと緊張しちゃいますね。
佐藤 向き合うのは大変ですけど、映画館はいいですよね。そこまでわざわざ足を運んで映画を観る、ということ自体が。
たらちね 絶対に途中で目を逸らさないで観られますもんね。
佐藤 映画の動画配信が充実しているこの時代に、映画館に行く意味はそこにあると思います。
※たらちねジョン先生へのインタビューは後編に続きます。後編は2022年7月18日掲載予定です。
取材・文:細谷美香
撮影:稲澤朝博
ヘアメイク(佐藤寛太):Kohey

『海が走るエンドロール』
公式サイト
『海が走るエンドロール』コミックス第3巻
7月14日(木)発売
https://www.akitashoten.co.jp/comics/4253265235


プロフィール
佐藤寛太(劇団EXILE)
1996年、福岡県生まれ。2015年に劇団EXILEのメンバーとなり俳優活動を開始。主な出演作に『恋と嘘』『わたしに××しなさい!』『DTC-湯けむり純情篇-from HiGH&LOW』『家族のはなし』『走れ! T校バスケット部』『jam』『今日も嫌がらせ弁当』『いのちスケッチ』(以上映画)、『探偵が早すぎる』『駐在刑事』『僕の初恋をキミに捧ぐ』『おやすみ王子』『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』『ハゲしわしわときどき恋』『美食探偵 明智五郎』(以上TV)、「音楽劇『銀河鉄道の夜2020』」(舞台)など。
2021年は、『ヒミツのアイちゃん』(FODで配信中)、『劇団EXILEがゴルフを始めて100日間で100切り目指すTV』(テレビ東京系)、『シェフは名探偵』(テレビ東京系)、TBS日曜劇場『TOKYO MER 走る緊急救命室』『JAM -the drama-』などに出演。12月公開の映画『軍艦少年』では主演を務めた。
2022年は、『駐在刑事 Season3』にレギュラー出演したほか、『あせとせっけん』(MBSほか)で大原優乃とダブル主演。3月には舞台『怖い絵』に出演、4月からはWeb版『PEAKS』にて連載「旅する寛太」がスタートしている。7月6日(水)からは『テッパチ!』(CX系)にも出演する。
本連載の前身、佐藤大樹さん&佐藤寛太さんの連載はコチラ!
