佐藤寛太の偏愛主義でいこう!
ドラマ『誘拐の日』に出演しています!
不定期連載
第49回

今年の夏は、テレビ朝日系列で放送が始まったドラマ『誘拐の日』(毎週火曜よる9時放送)に出演している寛太さん。“心やさしいマヌケな誘拐犯”ד記憶喪失の天才少女”という前代未聞な凸凹バディが、次々と襲い掛かるピンチを乗り越えながら身に覚えのない殺人事件の犯人捜しと逃亡劇を繰り広げるという“巻き込まれ型ヒューマンミステリー”です。この中で寛太さんが演じるのは、斎藤工さん演じる誘拐犯を、江口洋介さん演じる破天荒な上司とともに追うことになる刑事の北村。そんな豪華なキャストたちに囲まれながら撮影に臨んでいる中に、本作についての思いをお聞きしました!
今年の夏はドラマ『誘拐の日』に出演しています。オリジナルはミステリー小説を実写化した韓国のドラマなので、プロットの段階から完成度が高いなと感じました。今回は日本オリジナルのエンターテイメントということで、また違うひとつの作品として臨んでいます。
最初に台本を読んだときに思ったのは、斎藤工さん演じる誘拐犯の新庄と、永尾柚乃さん演じる凛ちゃんのバディが面白い!ということでした。ちょっと抜けている新庄と記憶喪失になった天才少女の凛ちゃんのやり取りにはシリアスなのに笑える要素があって、全体のトーンが暗くなりすぎないんです。しかも誘拐、病院、警察の三つ巴かと思いきや、それぞれのパートで濃いドラマが描かれています。

その中で僕は誘拐事件を追う川中警察署の刑事、北村を演じています。江口洋介さん演じるベテランの刑事、須之内とともに事件を追うのですが、今のところまだ手がかりがつかめていない状態なので、展開の速い物語にどんな風に絡んでいくのか僕自身も楽しみです。
北村は大衆に馴染むことにストレスを感じないタイプの刑事です。急激な変化を好まず、失敗して後ろ指を指されたくはないけれど、かと言って自分ひとりで大手柄をあげたいと思うほど強くはない。平均値を探して生きている感じがします。ものすごく頑張っている人を見ると鼻白むようなところもありますが、素直で人間らしいキャラクターだと思っています。
心がけているのは、須之内さんへの信頼感は大事にしながら、なるべく力を抜いた状態でどれだけセリフを伝えること。どういうことかと言うと、自分のなかにある刑事っぽさ、刑事らしさをなるべく排して、普段から使っている話し言葉の延長で伝えるイメージです。『アンメット ある脳外科医の日記』で杉咲花さんが患者さんに説明するシーンで、私は医者ですよっていうある種の"医者らしさ"建前を取っ払って患者さんと一対一の人間として話しているように演じていたことがすごく印象的で、今回の北村という役を演じるにあたって、ドラマの中の刑事っぽさという固定観念を捨てて、肩肘張らずに演じられたら、僕のイメージする北村に近づくんじゃないかと思ってます。
江口さんから人生の楽しみ方を学ばせてもらいたい

江口さんは自分が年上だから何かを僕に指導しようとか、背中を見せなきゃみたいなところがなくて、すごくフランクに話をしてくださる柔らかい方です。ずっと最前線で活躍されるのはこういう方なんだろうなと感じています。「どういうことが好きなの?」って垣根なく新鮮に話を聞いてくださるので、自分も普通に話してしまうのですが、ふとした瞬間に、俺、江口洋介さんの隣にいる……!って思ったりして(笑)。隣にいることを許容してもらっている居心地の良さがあります。
江口さんと言えば、僕の中では『るろうに剣心』やNetflix『忍びの家House of Ninjas』のイメージ。『湘南爆走族』やトレンディドラマ最盛期のなかで活躍されていた方でもあり、きっと仕事と趣味と家庭のバランスをすごく挑戦的に実践されてる方だと思うんです。多趣味でお話も面白い方なので、僕も人生の楽しみ方を学ばせてもらいたいと思っています。
斎藤工さんは、『HiGH&LOW』のときに挨拶させていただいたことを覚えてくださっていて。インスタも相互フォローの関係なんです(笑)。昔も感じていたことですが、落ち着きと天然っぽい感じの中に色気があって、かっこいい方だと思います。

今回、素敵な俳優さんがたくさん揃った作品に出演させていただいて、本当にラッキーでした。そういえば顔合わせのとき、久々にスタッフさんとキャスト、事務所の方たちも合わせて100人くらいが揃っていて。コロナ禍を経て、こうやって気合いを入れてドラマを作ることを、もう1回スタンダードにしようとしている人たちがいる。そういう組に入れてもらえたことをうれしく思っています。
演出の深川栄洋さん(※『神様のカルテ』『ドクター・デスの遺産』『法廷遊戯』などの映画作品で知られる)は、『完璧なものではなく、変なものを作りましょう』とおっしゃってくれる方で、お芝居の偶然性を大事にしてくれます。脚本が与えてくれた生地を一緒にデコレーションしていきましょう、という感じなんです。現場でセリフが足されていったり、大きな動きをつけてくれたり。役者が伸び伸びとお芝居できる参加型の環境を整えてくれるので、みんなでシーンを盛り上げていっていいんだという安心感があります。自分でいろいろと考えて実践したいと思える現場ですし、任されることが、自分の自信にもなります。そういう意味でも、恵まれた現場だと思います。
江口さん主観のカメラに向かって僕たちがお芝居するようなシーンもあって、どんな映像になっているのか僕も楽しみです。一話の中でたくさんのことが起こるので、観た後でいい疲れと爽快感が残る作品になるんじゃないかなと思っています。

※フォトギャラリーにアザーカットを掲載中!
プロフィール
佐藤寛太(劇団EXILE)
1996年、福岡県生まれ。2015年に劇団EXILEのメンバーとなり俳優活動を開始。主な出演作に『恋と嘘』『わたしに××しなさい!』『DTC-湯けむり純情篇-from HiGH&LOW』『家族のはなし』『走れ! T校バスケット部』『jam』『今日も嫌がらせ弁当』『いのちスケッチ』『花束みたいな恋をした』『軍艦少年』『Blind Mind』『正欲』『不死身ラヴァーズ』(以上映画)、『探偵が早すぎる』『駐在刑事』『僕の初恋をキミに捧ぐ』『おやすみ王子』『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』『ハゲしわしわときどき恋』『美食探偵 明智五郎』『ヒミツのアイちゃん』『シェフは名探偵』『TOKYO MER 走る緊急救命室』『JAM -the drama-』『あせとせっけん』『テッパチ!』『結婚するって、本当ですか』「生配信ドラマ『ゴースト・オブ・レディオ~バチボコ怖い心霊バスツアー』」(以上TV)、「音楽劇『銀河鉄道の夜2020』」『怖い絵』『サンソン ―ルイ16世の首を刎ねた男―』『鴨川ホルモー、ワンスモア』(舞台)など。Web版『PEAKS』にて「旅する寛太」連載中。Leminoで『情事と事情』(毎週木曜0:00全8話)が配信中。2025年はNHK土曜ドラマ『リラの花咲くけものみち』、第48回創作テレビドラマ大賞『明日、輝く』に出演。



本連載の前身、佐藤大樹さん&佐藤寛太さんの連載はコチラ!