今こそ風俗業界はクリーンなイメージを打ち出すべき

毎年恒例の「今年流行る風俗予想」なんだけどさ、今年の年末年始にかけて僕はずっと悩んでいました。今の世の中、本当に厳しくなったし、何かちょっとでもオイタするとさ、それまでの評価がガラッと一変して、一気に窮地に落とされることもある。なんだか息苦しいけど、それが今の時代ってことだからね。結果的に、エロとか「穢れた行為」みたいなものは、これからますますアンダーグラウンドになっていくだろうし、そこではより濃い「穢れた行為」が行われていくんじゃないかな。

少し前からたびたびメディアに取り上げらる歌舞伎町のトー横とか大久保公園とかの、援助交際とかすごい流行っているじゃん。こういった個人間での援助交際とかの影響なのか、50年ぶりくらいに梅毒がまん延しちゃっているらしい。そして、こういった場で援助交際する子たちの主たる理由は「ホストクラブに行きたいから」とか「推しメンに貢ぎたいから」とかでしょ。ホストたちがとんでもない大金を女の子に要求するから、女の子たちはやむを得ず援助交際を志す。

こういった場合、ひと昔前なら、法律に乗っ取って営業している風俗店で働くのがパターンだったと思うけどさ、風俗店はバック率と言って3割とか5割とかの結構な手数料を持って行かれると。だったら、手取り早くXとかのSNSで客を見つけて、自分で客を見つけたほうが良いってことで、援助交際に走るってわけ。しかし、避妊や感染予防などもきちんとしないまま無秩序にセックスしているわけだから、性病もまん延するし、犯罪も起きるだろうし、危ないったらないよ。まだ殺人事件とかは聞かないけど、そういった最悪の事件が起きないとも限らない。

怖い世の中だよ、マジで。社会がわかりやすい「穢れたもの」を排除して、世間もみんな「それは良くない！　晒して潰せ！」とやった結果がこれなんだから。その行為に至った理由とか事情とかにいっさい耳を傾けないで、「晒して潰せ！」って。なんかマジで怖いんだ、こういう今の社会が。

そんな中にあっては、「風俗」というのはむしろ健全にさえ思うな。もちろん、このご時世だからさ、風俗産業自体にも「なんで先進国・日本でこんな業種がまかり通っているんだ」「けしからん！　ぶっ潰せ」みたいになる可能性もなくはないけど、でもさ、だからこそ今、風俗業界は「クリーンなイメージ」を打ち出すべきだと思う。ワケわかんない世の中だからさ、風俗がクリーンなイメージを打ち出すことで「風俗いいじゃん！」「風俗最高！」ってなるかもしれないよ。

ニュース番組で「本日のニュースは、新しいシステムを取り入れたヘルス店をアナウンサーが体験取材してきました」みたいな特集が組まれるかもしれないし、ビールとかのテレビCMでも、ヘルス店に入った瞬間「まずはシュパーッと一杯！　これだな！」みたいなのも出てくるかもしれない。

「ないない！」と思うかもしれないけどさ、それくらい常識と非常識、善と悪の概念がグチャグチャになっているから完全に「ない」とは僕には思えない。昨日まで絶大な支持を受けていたものが、翌日には悪になったりするんだからね。

だからこそ、「今年流行る風俗」っていうのも、なかなか「これ！」というのが思い浮かばなかったっていうわけだけど、でもさ、ずーっと考えているうちにだんだん「これかな」っていうものがわかってきたの。詳しくは来週またお話ししますね。

構成・文：松田義人（deco）

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル／ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。