峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら
【なんかなんか人生相談(19)】バンドメンバーを集めるにはどうしたら良いでしょうか(20歳・男性)
毎週連載
第338回

今週もまた「なんかなんか人生相談」です。たくさんのお悩みの中に、一定数の「バンド」「音楽」に関するものがあるんですが、今回は「バンドメンバーが見つからない」とお悩みの方からの人生相談です。
【お悩み】
部屋にこもって1人ぼっちで弾き語りをするのが寂しくなりました。
バンドをやりたいのですが、周りの友人を誘っても乗ってきてくれる人がいません。バンドメンバーを集めるにはどうしたらいいのでしょうか。
(ようたギャラガー・20歳・男)
(※お悩みの文面は一部意訳しています)
【カウンセラー峯田のお答え】
ようたギャラガーさんがどれだけの人に「バンド、一緒にやらない?」って声をかけたかはわからないけどさ、でも文面から察するに、今はまだ「バンドをやりたい」「メンバーを見つけたい」という気持ちが少し足りないんじゃないかなと思う。
これはあくまでも僕にとってのバンドのイメージだから、すべての人に当てはまらないかもしれないけど、バンドを組むときに「ギターをやったことがある人」「ベースを弾ける人」「ドラムを叩ける人」ってことを最優先にして選んでも、たいていはうまくいかないんじゃないかって思うんだ。それよりもさ、「こいつ面白いな」「こいつとはずっと一緒にいても楽だな」っていう人とバンドを組んでみると良いんじゃないかなと思う。っていうか、僕の場合、それしか経験がないのもあるんだけどね。
でもさ、そもそも「ギターをやったことがある人」っていう場合でも、その人の歴史をずっと辿っていけば、「ギターを初めて持った瞬間」があったわけじゃん。その瞬間を、仲の良い友達と一緒にバンドを組んで作ればいいだけの話で、結局楽器を使えるかどうかは僕にとっては後回しなんだ。
仮に、この僕のバンド論が正しいとすれば、ようたギャラガーさんはまず「こいつ面白いな」「こいつとはずっと一緒にいても楽だな」っていう友達に、もっともっと声をかけるべきだと思う。そもそも「そんなにいっぱい友達がいない」っていう可能性もあるけど、だったらいったんは親とか兄弟とか従兄弟とかさ、誰でもいいからまずは一緒にバンドをやることにして「とにかくスタジオに入る」ってことをやってみたらどう? みんなのノリが悪かったらさ「ごめん。マジで1回だけで良いんだ。一生のお願いだから」って頼み込んで。
でもさ、そこでようたギャラガーさんの思いに寄り添ってくれるような信頼できる人たちだったら、たった1回のスタジオだったとしても、きっと下手なりに一生懸命音を出してくれると思うよ。
そして、そこで合わせた音は音楽としてはまったく成立しないような、まぁひどいものだとは思うけど、でも僕が想像するに、そのときに鳴った音って手伝ってくれたみんなの思いとか関係性とかが詰まったすごいものになっていると思う。どんなプロのバンド、売れているバンドにも真似することができない音がきっとそこでは鳴っている気はするな。
それだけすごい音を出しても「1回だけの約束だから」って去っていく人もいるでしょう。でもそのすごい音に感して「意外と面白いな。またやろっか」って言ってくれる人もいるかもしれない。ようたギャラガーさんが本当にバンドをやりたい、メンバーを見つけたいと思うなら、こんなことを手探りで繰り返していくのが一番の近道のような気はします。
あとさ、バンドって「ボーカル」「ギター」「ベース」「ドラム」っていう基本的なスタイルがあるけど、こういうセオリーにも、そう捉われなくて良いとも思う。
銀杏BOYZの正式メンバーは今は僕ひとりで、毎回サポートメンバーに手伝ってもらっているでしょ。また、ザ・ホワイト・ストライプスみたいにふたりだけでやっているバンドもいるし、ベン・フォールズ・ファイブみたいにギターのいないバンドだっている。何も「必ず4人以上じゃなくちゃバンドじゃない」なんてこともないし、毎回メンバーが変わるバンドっていうのも面白いかもしれない。
だからさ、本当にようたギャラガーさんがバンドをやりたいのなら、まずは自分でもっと動いて、とにもかくにも音を出してみると良いと思う。そうすれば、自ずとさまざまなアイデアが見つかるんじゃないかなと思います。

構成・文:松田義人(deco)
峯田和伸(銀杏BOYZ)の
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プロフィール
峯田 和伸
1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。