峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら
春の西海岸ツアー① シアトルから南下していった超弾丸の旅
毎週連載
第347回

もう随分時間が経っちゃったけど、春に行ったアメリカ西海岸ツアーの話をしますね。
まず東京からシアトルまで飛行機で行ったんですけど、約9時間。日本のほうが16時間進んでいるから、結構な時差があるんだけど、でも時差ボケとかは特になくて、それよりもシアトルに着いたことのうれしさのほうが勝る感じでした。
シアトルには公演の2日間に入ったので、まずはニルヴァーナのカート・コバーンが亡くなる前に住んでいた家に行きました。カート・コバーンが住んでいた家のすぐ目の前にベンチがあるんだけど、生前彼がときおりここに座ってギターを持って曲を作っていたという伝説の場所。ニルヴァーナのファンが度々訪れるらしくて、そのベンチには様々なメッセージが書かれていました。僕はニルヴァーナに本当に強い影響を受けたから、すごく感慨深い気持ちになったな。本当に行けて良かった。
今回のアメリカ西海岸ツアーはアメリカの友人のオリバーとボブがツアー行程すべてをコーディネートしてくれたんだけど、ボブはShinobuっていうバンドを組んでいて。そのShinobuと銀杏BOYZの対バンツアーでもあったってわけ。
まずシアトルでライブをやったんだけど、日本と変わらないくらいみんなメチャクチャ盛り上がった。「なんで銀杏の曲知ってんの?」って思ったけど、今はYouTubeとかでも観られるから、それで僕らのこととかライブの雰囲気とかを事前に知ってくれていたのかもしれない。「すごいな、アメリカ人」「やっぱヤベェ、シアトル」って思ったけど、その後、シアトルからグングン南下してロサンジェルスまで約2500キロくらいをクルマでずーっと走って行った。
大型のクルマを借りることができなくて、結果的にミニバンサイズのクルマになっちゃったんだけど、このクルマ4台にメンバー、スタッフ、ライブ機材を分乗して、アメリカの西側の流れる景色を見ながら、次々とライブしていったんだ。
でも、それだけの長距離だからライブハウスの入り時間に間に合わないこともあって、会場に着いて「1時間後ライブ本番です」みたいなこともあった。当然リハーサルとかもできないし、着いた途端にお客さんパンパン。この感じも僕としては結構面白くって、いっぱい歌を歌ってきました。
ただ、改めて思ったのは、アメリカは州によって考え方とか思想がまるで違うなってこと。アイダホ州の小さな町でライブをやったときはお客さんがすごい保守的。MCでも下手なことを言っちゃいけないような空気があった。でも、そうでない州では、例えば今の社会に対して批判的なことを言うと、共感してくれる人が多い印象で。もちろん全部の州に行ったことがあるわけではないからこれが正しいかどうかはわからないけど、改めて「50個の国が融合しているのがアメリカなんだ」と感じました。
アメリカ西海岸ツアーは超弾丸だったし、肉体的には確かに大変だったけど、でもすごい不満とか、嫌な思いがあったとか、うまくできなかったとかはまったくなかったです。言葉もなんとか僕のたどたどしい英語がお客さんに通じていたみたいだし、本当に楽しい日々でした。次週もこの続きを話します!

構成・文:松田義人(deco)
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プロフィール
峯田 和伸
1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。