峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら
女の人が持つ「哲学」とは?
毎週連載
第350回

先週、「女の人で『哲学』のある人、すごく良い」っていう話をしたけどさ、もう少し具体的な説明をしますね。
これは男女問わずだけど、「着ている服」「持っている物」「食べる物」「生活スタイル」とかって、だいたい社会の流行に流されるところがあるでしょう。もちろん僕にだって無自覚に多少は流されるところがあるかもしれない。
そんな中でも「いや周囲がどうこうじゃなくて、私はこれが好きなんだ」「僕はこれが本当に好きだから、それに伴うファッションを好むんだ」っていう人が、僕が考える「哲学」のある人。要は、社会通念とかではなくて、自分の嗜好とか好奇心を最優先に考えている人っていうこと。
もちろんさ、いわゆる社会性とか協調性は必要だよ。自分の嗜好とか好奇心を優先するばかりに誰かを傷つけたり、他人に迷惑をかけるのは本当に良くないことだと思う。ただ、そういうことがないのであれば、むしろ「周囲よりも、自分が好きなもの」「流行とかではなく、本当に好きなこと」を突き詰めて考えること……これこそが僕が思う「哲学」ってことだし、さらにカッコ良く言えば「パンク」ってことなんだ。
だって、「哲学がある人」「哲学がない人」のどちらの話が面白いかって言ったら簡単に答えが出せるじゃん。やたらと流行の話をしたり、芸能人の不倫のニュースに夢中になっている人と、「いや実は最近、私こんなこと考えていてさ」「変な考えかもしれないけど、こう思うんだ」っていう人のほうが絶対に面白いでしょう。その「哲学」は自分の考えとは真逆のものであったとしても、だよ。そういう本当の意味で「自分の考え」「自分の感性」を持っている人に僕はどうしても惹かれるところがあります。
仮にそういう人が周囲のみんなからキモがられていたり、すごい偏っていたり、めちゃくちゃ暗い人だったりしても全然良いな。そういうクセみたいな部分があるのであれば、一緒に話をして問題を解決したり、すごい暗い人なのであれば、「俺が太陽になってやる」みたいな気持ちも僕にはある。何も尊大に考えて、そういう気持ちを持っているわけではなくてさ、これはあくまでも敬意だよね。だって「他にはないものを持っている」人からは、僕自身も影響を受けたいと思うからね。
「多様性が大事」……僕ももちろんそう思うけど、でも世間一般で伝わっている「多様性」っていうのと、僕が思うものって少しズレがあるような気がする。本当の意味での「多様性」って、社会通念とかを飛び越えたところで人が自由に考えていることや好奇心を、「哲学」として認めて、尊重してあげることだと思う。
……と言うとカッコ良い感じだけどさ、実際のところは「こんな女の人見たことない」→「すげーかわいいし、カッコ良くもある」→「見たことがないこの女の人はセックスするとどうなるんだろう」→「こんなにすごい哲学があるのに、夜はギャンギャン言うのかな」っていう好奇心が僕の中に「まったくない」と言うと嘘になるんだけどね(笑)。

構成・文:松田義人(deco)
峯田和伸(銀杏BOYZ)の
「なんかなんか人生相談」お悩み大募集!
峯田和伸(銀杏BOYZ)の「どうたらこうたら」では皆さまからのお悩み、抱えている問題、誰にも言えない性癖などを大募集します。その名も「なんかなんか人生相談」。皆さまからのお悩みに対し、峯田先生が不定期で悩みを解決してくれます。ぜひ送ってくださいね!
相談はこちらから
プロフィール
峯田 和伸
1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。