峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

【なんかなんか人生相談(25)】これまでにセックスしてきた男全員が許せません。(38歳・女性)

毎週連載

第351回

今週からはまたしばらく「なんかなんか人生相談」をやります。今回は「これまでにセックスしてきた男全員が許せない」という38歳の女性の方からの相談です。

【お悩み】

自分が全部悪いのかと自問自答してようやくひとりで静かに暮らしているけど、本当に自分が悪いのかモヤモヤします。
私を傷つけてきたあいつも。謝らなくて奪っていっただけのあいつも。都合よく使ったあいつも。殴ってきた男も。目の前で裏切った男も。
全部全部「自分が悪かったのか」と責めては、夜に涙がたまに出ます。
ただ、どうしても許せない。好きな人に出会ってセックスをしても。また許せない気持ちになってうまくいかない。そして、この歳になり……割り切れなかったり許せなかった自分に嫌な気持ちにもなります。
トラウマや許せない気持ちの行き場はどうしたら良いと思いますか? 音楽や映画や漫画や……そういったものには救われています。
(女もぐら・38歳・女性)

(※お悩みの文面は一部意訳しています)

【カウンセラー峯田のお答え】

女もぐらさんはすごい怒っている様子で、さらにモヤモヤした思いを抱えているみたいだけどさ、まず僕個人がふわっと抱いていることを言うとセックスそのものって男女の間がなんか対等な感じではない、ってことなんです。

男の人はセックスした場合に「やった」と言い、女の人はセックスした場合に「やられた」と言いますよね。男の人が「女の人にやられちゃいました」とはまず言わないからね。

だから、男の人のほうがなんか「攻撃する側」になっていて、女の人が「攻撃を受ける側」にいる、みたいな感じがある。

それを前提として考えれば、女もぐらさんのお悩みにあるような被害者意識を抱くことは当然なんです。「私は自分の体を犠牲にしたのに、なんで去っていくんだよ、お前は」っていう。

でもさ、この男女のセックスにまつわる対等ではないような立場の違いは、あくまでも人間社会で言われていることで、動物の世界ではいたってフェアで、なんなら女の人のほうが立場が上で攻撃的な場合もあるわけです。カマキリなんかメスは種をもらったところで、一気にオスをぶっ殺しちゃうので、カマキリのオスは「メスにやられる」「怖い」と思っているかもしれないってわけ。

それで言うとさ、まず男女が仮にセックスをしたとしても、必ずしも女の人だけが被害者であるとは言い切れなくて、もしかしたら男の人もものすごい心の傷を負っているかもしってこと。もちろん、女もぐらさんが抱えている恨みが、これに当てはまるとは言わないけど、そういうケースもあるってことね。

その上で女もぐらさんに一つ僕が言いたいのは、過去のことはいったん置いておき、「やった」「やられた」という二極の考えじゃなくて、「セックスするときは常に対等なのだ」って考えがあるってことを今後持っておくと良いんじゃないかってこと。もちろん、この考えを女もぐらさんに強いるつもりはないですよ。でもさ、女もぐらさんが「そういう考えもあるのね」と思えば、今の辛い気持ちが少しくらいは解消されるかもしれないし、以降のセックスでも役に立つかもしれないとは思う。

またさ、女もぐらさんが言う「この気持ちの行き場をどうしたら良いか」ってことだけど、これはもう「これまで辛かった思いはそのままでも良いから、そうならないように次の恋愛やセックスに活かすしかない」という月並みな答えしかないです。具体的に過去の男にどうされた、とかは書いていないからわからないけど、でもきっと大丈夫。「本当にこの人しかいない」「この人のことが本当に好きだし、対等に愛し合える」といった人と出会えれば、過去の男に恨みを抱き続けることはなくなるんじゃないかなと思います。

来週もお悩みにお答えします

構成・文:松田義人(deco)

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プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。