峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら
インターネットより信頼できる「それが本当に好きな友達」の情報
毎週連載
第355回

前回、「オタクタイプの人は自己完結型」って話をしたけど、それに対してある分野を「本当に好き」っていう人は、まず友達にもさ、それを教えたりプレゼンしてくれるものでもあるな、と思う。
たとえばさ、僕が東京の蒲田にいたとして、急にラーメンが食べたくなったけど、どこに入ったら良いかわからない。そういうときにさ、ラーメンが本当に好きで、暇さえあれば食べ歩いている江口くん(マネージャー)に連絡したら、「蒲田のどの辺? ああ。それなら○○って店が美味しいですよ。絶対行ってほしい!」みたいに熱心に教えてくれるものなんだ。
あるいは、僕が名古屋にいて、どこかで喫茶店に入りたいけど、どこに入ったら良いかわからない。そういうときにコーヒーとか喫茶店に詳しい村井くん(元メンバー)に連絡したら「○○って店はモーニングが有名だけど、実はケーキのほうがヤバい。絶対食べてほしい!」みたいに、これまた有力な情報を教えてくれるものなんだ。
そういう「ある分野がとにかく好き」っていう友達の情報って、当然インターネットよりも信憑性があるし、実際に僕の嗜好をある程度知った上でのアドバイスだから、実は一番有益なものなんだ、僕にとって。
だいたいさ「食べログ」とか「Google」で高評価がついているお店でも、とんでもなくヒドいお店ってあるよね。想像だけど、誰かが「このお店良い!」みたいなことを言い始めて多くの人が同調するようになり、なし崩し的に高評価につながっていることって結構あると思う。あるいはメディアとかインフルエンサーが推した結果、実際よりも高評価になっていることは本当に多いと思う。だから、僕はどこかのお店に入る際、インターネットの情報はほとんど見なくて、「その筋に詳しい友達からの情報」を一番大事にしているっていうわけ。
逆に僕が誰かから「峯田くん。今度カセットデッキ買おうと思ってるんだけど、なんかオススメない?」とか聞かれたら、僕はその人の嗜好も加味した上で、あれこれ教えてあげる。そこは惜しみなく、知ってることは全部教える。だって楽しいじゃん、そこで僕が推しているカセットデッキを買ってくれたりさ、あるいは「いや、アレも良かったけど、やっぱりこっち買っちゃった」とかいう話をするのって。そういう「生の会話」から僕自身も「あれ? あんまり良いと思ってなかったけど、俺が勧めたカセットデッキを蹴って、そっちを買ったってことは優れているところがあるんだな」って風に思えるようにもなるからね。
いわゆる「オタクの人」と「それを本当に好きな人」って似て非なるもの。前回喋ったように「オタク」の人は自己完結型の人が多いけど、「それを本当に好きな人」って知識に満足するんじゃなくて、えてしてすごい親切で面白い人が多いような気もするな。
そんな僕のこの夏の一番の推しはやっぱり怪談でした。今日もこの後、6時間くらい怪談ライブを友達と観に行くんだけど、予定では途中1回中抜けしてラーメンかなんか食って、友達と感想を言い合いながら、後半戦で夜中の3時頃まで怪談ライブを観るつもり。ライブ自体がまずすごい面白いんだけど、この中抜けの「友達と感想を言い合う」っていうのもまた、僕にとってはすごい楽しい時間なんですよ。

構成・文:松田義人(deco)
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プロフィール
峯田 和伸
1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。