峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

風俗嬢の彼女を持つ男性の心理①

毎週連載

第376回

少し前、30代のカメラマンさんのKさんっていう人と知り合ったんだ。

彼はさっぱりした顔立ちのなかなかの好青年。まったく影がなさそうな涼しい感じの人なんだけど、それでいて「銀杏が好きだ」「『ぴあ』の連載読んでます」とも言ってくれる。「ああ、こんな人も銀杏を聴いてくれるんだな」って思ったんだけど、「彼女とかいるの?」って尋ねたら、一瞬顔が曇って。少し間を置いて僕にこう話すの。

「いや、これは『ぴあ』の連載のネタにしてもらって構わないんですけど、実は今、現役の風俗嬢と付き合ってるんですよ」

風俗嬢が悪いわけでもないし、そういう職業の人が彼女だっていうこともまったく悪いことでもなんでもないから「へぇ、そうなんだ!」って僕は返したの。そしてKさんも「峯田さんなら引かないと思って正直に話しました(笑)」って笑ってくれて。そこからKさんに「どうやって彼女と知り合ったのか」などを色々聞いてみた。

Kさんが彼女の風俗嬢と出会ったのは風俗での出会いとかではなくて、仕事の場面だったんだって。やがて付き合うことになったわけだけど、割と早い段階で彼女がKさんに「実は、私デリヘルで働いてるんだ。引かない?」って言ってきて、なんならお店のサイト、源氏名まで堂々と教えてきたらしい。

彼女にとって付き合って間もない、真剣に付き合おうとする間柄であれば、これは結構な賭けだよね。でも、Kさんは彼女のことが本当に好きだから、そう告白したんだと思う。その告白を受けたKさんも「大丈夫。仕事に差別はないから」といったんは彼女の風俗勤めを受け入れたんだそうです。

なんだけどさ、付き合っていくうちに、Kさんは不安になってきたらしい。「風俗で病気を移されるんじゃないか」っていう心配もあるけど、それ以上に一番不安が「風俗で出会った男に、彼女を奪われやしないだろうか」ってことだったらしい。

そこでKさんは、彼女と会わない時間に、彼女が勤める風俗店の出勤情報などを逐一チェックするようになったらしい。おおむね彼女の日々の時間配分を加味すれば、浮気などをしている様子はない。あくまでも風俗は「仕事」にすぎない様子ではあったと。

でもさ、風俗店に在籍する女の子の中には、指名を取りたいがあまりブログで写真やその日のお客さんへのお礼を語る人がいるじゃん。あるいは『爆サイ』とか『5ちゃんねる』とかの風俗掲示板で、彼女の評価なんかも投稿されていたりして。Kさんは日々をそういった「風俗嬢としての彼女」をネットで見続けて、だんだんだんだん複雑な気持ちになってきたらしい。

でも、その複雑な気持ちというのが、彼女への嫉妬とか「奪われるんじゃないか」っていう不安だけじゃないんだって。

嫉妬や不安もあるんだけど、同時に「俺が一番だ」っていう優越感もあったりして、これらの感情が入り混じって同時にすごく興奮するようにもなってきたんだって。色んな感情がグッチャグチャに入り乱れて、彼女に対してすごく執着するようにもなったんだって。

これを聞いたとき、僕は「なんかちょっとわかる」と思った。

一般的に考えれば「風俗嬢と付き合う男性」っていうのは、どこかヒモ的な存在というか頼りない人が多い先入観があるけど、Kさんは前述の通りカメラマンというきちんとした仕事を持っていてちゃんとした好青年。加えて、風俗に差別もなかったわけだけど、そんな優しいKさん自身を前に、風俗の仕事をし続ける彼女に対して、モヤモヤしながらも執着し、さらに興奮も覚えるっていうのは、その立場になってみると「意外とある感情かもしれないな」と思ったんだ。

(次週に続く)

人間が持つ感情は奥深いと思いました。

構成・文:松田義人(deco)

峯田和伸(銀杏BOYZ)の
「なんかなんか人生相談」お悩み大募集!

峯田和伸(銀杏BOYZ)の「どうたらこうたら」では皆さまからのお悩み、抱えている問題、誰にも言えない性癖などを大募集します。その名も「なんかなんか人生相談」。皆さまからのお悩みに対し、峯田先生が不定期で悩みを解決してくれます。ぜひ送ってくださいね!

相談はこちらから

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。