峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら
レコードは本命、カセットはセフレ
毎週連載
第386回
先週アナログレコードの話をしたけど、今週はまたもカセットの話です。
アナログレコードって「モノ」として単純に大きい分、存在感も強くて、しかもグラフィックとかもすごく凝ったものが多いでしょ。収録されている音楽とセットで「完成された物」「芸術品」っていう感じがある。
一方のカセットテープは「モノ」としてまず小さい。存在感もアナログレコードよりも薄いんだけど、でもこの感じもまた僕は大好きなんです。
昔は公式アルバムでも、アナログレコード・カセットテープ両方がリリースされることがあって。でもさ、これもまた面白いんだけど、アナログレコードの正方形用に描かれたグラフィックをさ、カセットテープの長方形用に、天地左右を無視してギュッと収めちゃってるものもあるんだ。本来そんなことしたらダメだよね、大事な作品なんだから(笑)。でも、昔はそういう公式アルバムのカセットテープって結構あったの。
またさ、昔は空のカセットテープ……つまり自分で何か好きな音楽を入れることができるカセットテープがいっぱい売られていたものなんです。
うちの実家は電器屋だから、子供の頃はソニー、アクシア、TDK、マクセルとかのカセットテープを全部売っていたけど、それも入り口の目の前。そのくらい重要な商品で多くの若者が買っていくものでした。各メーカーのカセットの中にもハイポジとかメタルとか、色んなグレードがあって、あと46分、52分、60分、72分、90分、120分とか色々な収録分数のものがあった。それぞれ違う分数の「巻かれたテープ」がカセットの中に入っていて、そのテープに音を録音していくわけだけど、120分とかの長い分数のカセットは劣化が早くて寿命が短かったりして音楽を入れるには向いていないとか、アナログだから、各商品ごとのクセみたいなものも当然あった。
またさ、前回話したアナログレコード用のポータブルプレイヤーが存在したくらい、「レコード」「音楽」はかつて今以上に大切な存在だったわけだけど、でもやっぱりレコードは高額で若者がそう簡単に買えるものではなかった。そこで登場したのがレンタルレコード店。
洋楽・邦楽のレコードをお客さんに一定期間貸し出して、お客さんはその借りたレコードをカセットテープにダビングする。
その後、レンタルレコード店に返すという。このおかげで、カセットテープはもちろん、ラジカセも爆発的にヒットした、という経緯もある。
僕は世代的にレンタルレコードは知らなくて、レンタルCDしか経験がないけど、その時代を想像するに、やっぱり音楽ってすごく大切で影響力があるものだったんだろうなと想像します。
カセットテープはレコード同様A面・B面があるんだけど、CDの時代になるともうA面・B面という概念がなくなったでしょう。「○曲入り」っていう感じで、カセットテープにダビングする場合、「5曲目までをA面に入れて、残りの4曲はB面に入れよう」みたいなことをやっていたけどさ、そのうちCDラジカセで、「CDの収録楽曲数に対して、カセットテープに入れる場合、A面に○曲、B面に○曲って自動で振り分けてくれる」という画期的な機能を持つ製品まで登場した。僕が小学校5〜6年の頃だったと思うけど、「とんでもねぇ機能だ」ってかなり驚いたことを覚えている。
なんとかお小遣いを貯めてがんばって買ったレコードが「本命」なら、カセットテープは自分の「セフレ」みたいなもので。音楽がとにかく好きだった子供の頃の僕にとって、レコードは大切すぎる分、ちょっと気軽には針を落とせないところもあったけど、もっと身近で都合が良いアイテム……それがカセットテープだったんだよね。
※映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』の特集ページが公開中です。こちらからご覧ください!
構成・文:松田義人(deco)
峯田和伸(銀杏BOYZ)の
「なんかなんか人生相談」お悩み大募集!
峯田和伸(銀杏BOYZ)の「どうたらこうたら」では皆さまからのお悩み、抱えている問題、誰にも言えない性癖などを大募集します。その名も「なんかなんか人生相談」。皆さまからのお悩みに対し、峯田先生が不定期で悩みを解決してくれます。ぜひ送ってくださいね!
相談はこちらから
プロフィール
峯田 和伸
1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。