峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

【夏休み自由研究(2)】毛じらみはやっぱり「毛」が好きだった(後編)

毎週連載

第401回

先週の続きです。

Rくんがデリヘル嬢と一戦交えてから一週間後、なんか股間のあたりがやけに痒くなってきたんだって。

それで「なんか痒いなぁ」と思って陰毛を掻きむしり毛を抜いてみたら、毛の中にお米みたいなものがついていると。Rくんは一瞬「あれ? 俺、ご飯陰毛にこぼしちゃったのかな」と思ったらしいんだけど、さらに凝視すると、そのお米みたいなものが小刻みに動いてるんだって。

Rくんはゾッとして、そこでやっとあのデリヘル嬢から毛じらみを移されたことを悟ったらしい。「普段は風俗遊びなんてほとんどしないのに、なんで俺が……」ってひどく落ち込んだらしいけど、まずは治さないとダメ。でも、性病科とかに行くのも怖いし嫌だしで、そこでネットで調べて薬局で売っているスミスリンシャンプーっていう、しらみ駆除剤で自力で毛じらみを治すことにしたらしい。

でもさ、ここでRくんがすごいのが「ただでは終わらせない」ところ。

「せっかく毛じらみになったのだから」と、そのしらみのついた毛を数本抜いて、家にあった透明の画鋲ケースに入れて、しばらく毛じらみを飼ってみたんだって。

よくさ、子供の頃、カブトムシとかを捕まえると昆虫ケースみたいなやつに入れて飼うことがあるじゃん。そして「カブトムシ喜ぶかな?」みたいに、土を敷いて木を添えてあげたりするでしょう。

Rくんは「カブトムシに木を添えてあげる」のと同じ要領で、「毛じらみは『毛』が好きなはずだから」と、しらみのついていない健康な陰毛も一緒に入れてあげていたらしい。でも、ここでも発見があって。毛じらみは意外と聖人君子で「俺はこの毛だけを一生愛する」みたいな感じで、最初に決めた毛から、新たに入れた健全な毛に移ることはなかったらしい。Rくんは「毛じらみの一途な感じにグッときた」とか言っていました。

当の毛じらみもまた、Rくんの愛情を受けとってか透明の画鋲ケースの中でしばらくスクスク育っていたらしいけど、数日後にやがて動かなくなっちゃったんだって。「マジで悲しかった」と、下を向きながらRくんが話してくれたけど、僕はここまでの話を聞いて、Rくんは改めてすごいと思った。毛じらみにさえも愛を注ぐ、その博愛の精神は常人ではなかなか持てないものだよね。

そんな話をしてRくんと喫茶店を出ましたけど、新宿のあの雑踏が清々しく映るほどでしたよ。そしてRくんの毛じらみの話は「夏休み自由研究にピッタリだ」とも思いました。

そんなわけなのですが、「じゃあ峯田、お前の夏休み自由研究はなんだ」と言われることもよくわかっています。もちろん僕は逃げません。そういうわけで、僕自身の「夏休み自由研究」は来週またお話ししますね。



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毛じらみの話でこんなに感心したのは初めてでした

構成・文:松田義人(deco)

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プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。