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和田彩花のパリ・アートダイアリー

ついにやっとオランダ絵画巡り

毎月5日連載

第17回

アムステルダムでオランダ絵画を巡ってきました。実は、高校生のときに一番好きだった美術は、17世紀のオランダ絵画です。フェルメールの作品が何度か来日してくれたおかげで、オランダの風俗画を見る機会に恵まれました。展覧会でレンブラントの版画に出会ってからは、レンブラントの画集や図録を眺めるようになったのですが、展覧会図録の読み物が難しく、全然頭に入ってこなかったことなんかも覚えています。それからもちろん、フランス・ハルスの白の絵の具の使い方が大好きだったんですよね。特に、肖像画の人物が身に付けている白い首飾りの大雑把な描き方が。

前置きが少し長くなってしまったのですが、ヨーロッパにいるうちに巡りたい国を考えたときに真っ先に思い浮かんだのは、高校生の頃大好きだったオランダ絵画を見られるアムステルダムでした。

「いくつもの運河(大きなものの小さなものも)が街中を流れる。ヴェネツィアとはまた違った素敵な水の都〜。」

アムステルダムには、レンブラント、フェルメールの作品がいくつも所蔵されるアムステルダム国立美術館、レンブラントハイス美術館(レンブラントの家)やレンブラントの彫像が設置されているレンブラント広場などがあり、完璧なオランダ絵画巡りの旅が準備されているような場所です。もちろん、アムステルダムといえばゴッホ美術館もありますよ。それから、街のいたるところに流れる運河と海運の歴史、ユダヤ教の文化と歴史など、17世紀のオランダ絵画に限らず、見るべき知るべき文化・歴史に溢れた街だったのが印象的です。

「教会で見つけたいい色合い。」

話は戻りまして、改めてオランダ絵画を見ていくとやっぱりとても親しみやすいです。キリスト教美術に馴染みがなくても楽しめる風俗画や肖像画を主題にした作品が多いからでしょうか。細かな表現方法は画家によってもちろん異なりますが、オランダの画家たちによる柔らかな光の使い方がとくに素敵だと感じます。

「フェルメールの作品って本当に小さいですよね。日本でも《牛乳を注ぐ女》は見たことある気がする!」

フェルメールの作品では、明暗のコントラストで画面の構図をしっかり作り出しながら、室内に入りこむ柔らかな光までも描写し、暖かい雰囲気をどの作品でも感じられるのがいいですよね。

「ついにレンブラントの《夜警》と対面したけど、調査中でよく見えず!キャンバスの表面がどれくらい振動しているかを調査しているとか。人がたくさんいていい感じの写真撮れなかった〜。」

それから光の魔術師と言われているらしいレンブラント。フェルメールの作品に比べると強い明暗のコントラストによって画面の強弱がしっかりと描きだされている印象。とはいいながらも、個人的には劇的な表現に感じないところが好きです。なぜなら、(時期によって多少変わると思いますが、)光の当たる箇所は蝋燭で照らしだしたような柔らかさに感じられ、ダイナミックな構図や感情を描きだすために用いられる効果的な光とは異なる良さがあるからです。

そのため、《夜警》のような大画面の作品の前でもいつだって平常心でいられます。例えば、イタリアの、カラヴァッジョの作品などを思い出すと、強い明暗のコントラストで劇的な、日常から離れた舞台上の世界を作り出していくような表現が見受けられます。絵の前では決して平常心ではいられず、主題に没入させられるように感じるのです。

好みの話になってしまいますが、完全に作り込まれた非現実の世界ではなく、オランダ絵画のどこかで日常に繋がってくるような表現が好きです。

「自転車利用者がとても多かったアムステルダム。自転車レーンもきっちり整備されていて走りやすそう!自転車をせかせか漕ぐ光景は、パリとはまた違う、かも。これは、花に埋もれる自転車の図。」

オランダ絵画の暖かな光の描写に魅せられた私は、オランダに行ったときには、太陽の暖かさをどんな風に感じられるかを知りたいというふうにも思っていました。オランダ絵画ではあんなに柔らかくて暖かい光が描かれているのだから、きっと太陽の感じかたも違うだろうな!と意気込んで訪れたけど、全然わからなかったです。夏なのに肌寒かったな、パリの夏よりもカラッとしてた。

文化、歴史がたくさん残るアムステルダムが大好きになりました。またいつか絶対訪れます。

撮影:和田彩花

プロフィール

和田 彩花

1994年生まれ。群馬県出身。2004年「ハロプロエッグオーディション2004」に合格し、ハロプロエッグのメンバーに。2010年、スマイレージのメンバーとしてメジャーデビュー。2015年よりグループ名をアンジュルムと改める。グループ及びハロー!プロジェクト全体のリーダーを務めたのち、2019年にアンジュルム及びハロー!プロジェクトを卒業。ソロアイドルとして音楽活動や執筆活動、コメンテーターなど、卒業後ますます活動の幅を広げている。アートへの関心が高く、さまざまなメディアでアートに関する情報を発信している。現在、フランス滞在中。