和田彩花のパリ・アートダイアリー
ローマでの雑多なはなし
毎月5日連載
第18回

フランス滞在も残りわずか。最後の旅として、ローマへ行ってきました。イタリアには去年も行ったのですが、ローマまで行くことなく帰ってきてしまったんです。
パリで出会った大好きで大切な友達の思いいれのある場所ローマについての話をよく聞くようになったこともあって、ローマ行きへの気持ちがいつからか強くなっていました。
古代遺跡はもちろん、やはりルネサンス以降の文化芸術が豊かですね。絵画の描き方だけじゃなく、物の見方も変わり始めた時代の試行錯誤された宗教画が、やたら身近に感じられちゃったりしました。時の積み重なり具合が半端ないこの街には、イカした若者が集まる古着屋さん、小さめの素敵なお店が点在していることに気付いて、到着早々からローマに惚れ込んでいました。
ローマにある教会内の装飾は、綺麗な色のついた石が多用され(大理石調に加工している可能性あり?)、どこまでが建築で、どこから絵なのかわからないような天井画で覆われていることが多い印象です。例えば、聖イグナチオ デ ロヨラ教会の天井画。西洋美術の歴史にこんな大掛かりなトリックアートのようなものがあったなんて。建築部分が絵の一部になっていたり、絵で現実の建築物のさらに上に伸びていく柱を描いていたなんて衝撃です。このような空までつき抜けている天井画を見ていると良い感じに自分も天に登っていけそうな気がしました。フランスでよく見るゴシック様式の教会は、建築の力が存分に発揮されていることを改めて感じました。
それから、フォカッチャのサンドイッチに挟まれていた塩っけの強い生ハムが、イタリアの強い日差しですぐにバテてしまう体を癒してくれるんです。日常生活では好んで生ハムを食べるわけではないのですが、ローマの街歩きにピッタリの味だと思ったりしました。それからもちろんピスタチオのジェラートも。
大興奮のローマ旅ではあったけど、途中で体調を崩してしまったり、事前予約を済ませてなかったりして、めいっぱい美術館を巡れたわけではなかったんです。そんな状況でも、ローマが大好きになりました。といいますか、なんだかんだイタリアがやっぱりものすごく好きです。また絶対にローマにも戻りたいし、次こそは巡れなかった美術館や教会にも行きたいな。
撮影:和田彩花
プロフィール
和田 彩花
1994年生まれ。群馬県出身。2004年「ハロプロエッグオーディション2004」に合格し、ハロプロエッグのメンバーに。2010年、スマイレージのメンバーとしてメジャーデビュー。2015年よりグループ名をアンジュルムと改める。グループ及びハロー!プロジェクト全体のリーダーを務めたのち、2019年にアンジュルム及びハロー!プロジェクトを卒業。ソロアイドルとして音楽活動や執筆活動、コメンテーターなど、卒業後ますます活動の幅を広げている。アートへの関心が高く、さまざまなメディアでアートに関する情報を発信している。現在、フランス滞在中。