SHIN 音楽甘党遊戯

【Essay】絵本製作を経て感じる「改めて音楽人生をゼロから歩み始めているような気持ち」

隔週連載

第81回

こんにちは、SHINです。

今回、訪れたのは「プリン堂」さん。連載では初回以来のプリンでした。連載を重ねて、僕の食レポが上達したことを実感していただけたのではないでしょうか。

さて、今日は少し絵本のお話を。
これまでにも報告をさせていただいていましたが、自作の絵本をコンテストに応募していました。良いところまではいったんですが、残念ながら賞を獲ることはではませんでした。惜しかったな、あとちょっとで絵本作家だったんですが(笑)。

でも、制作してみて改めてすごく楽しかったな、と。忘れていたものを思い出した、ということもありますが、「こういうことをやりたかったんだな、俺」と実感しました。

今までは、どうしても数字にとらわれていたんですよね。もちろん、数字がないと生きていけないし、僕もファンの人が来てくれないと意味ないんですけど、その上で、「自分は何を表現したいのか」とか「自分がどういう作品をこれから作っていきたいのか」ということを、絵本を必死で書いてみて改めて思い出したんです。で、書いただけでは思い出せなかったと思うんですけど、それをもとにしたライブをやることによって、より明確に自分が目指すボーカリスト像がまた少しはっきりしてきました。だから、やってよかったな、って。また絵本は書いてみようと思っています。

絵本を書いてみようと思ったきっかけは、ViViDの復活が一番大きなものでした。今年も来年も、自分の人生にとってターニングポイントになっています。
本当に残酷な言い方かもしれないんですけど、たぶん、人って生まれてから死に向かって生きていっているんですよね。死ぬときに振り返って、「僕ってこういうことをしてきたんだな」と自分で思い出せるものが欲しくて。

ViViDでヨーロッパツアーを巡ったときが結構、しんどかった記憶が強くあります。だけど、そのしんどさを忘れないためにハーモニカを買ったんです。物を買ったり、形に残しておくと、そのときのことを忘れないな、と思って。
だから、ソロを8年やってきて、10年前のバンドが復活するという記憶を明確に自分の人生の足跡として残しておきたいな、と思ったんですよね。

もうひとつは、自分の歌詞が、感覚的に一番絵本に近かったから。小説でもなく、映画でもなく、ドラマでも、詩でもなく、絵本。分かりやすい言葉を使っているし、情景描写も明確な歌詞ももちろんあるんですけど、今までの僕は抽象的に書くのが好きなんですよね。だから残すなら絵本かな、ということはずっと頭の中にありました。これからまた変わってくるかもしれないんですけど、今までの足跡として成果として残しておけてよかったな、と思います。

そういえば、アーティストで小説とかではなく、絵本っていうのが珍しいですね、って言われたんですよね。それは多分、僕がワクワクする記憶とか、楽しかった、という記憶が小さいころに感じたものが多いな、って。ハリー・ポッターもそうですけど、純粋に受け止められるときに観た、というのが僕にとってとても大きいことだったと思うんです。そんな、小さいころに感じた気持ちを大切にしたいな、って改めて思いますね。

いま、ソロをやりながらViViDを復活させているわけですけど、当時、歌詞を書いていたのが10年以上前です。当時、自分の心のままに書いていた歌詞を見直してみると、不思議とすごく刺さるんですよね。真理だな、って思うタイミングがたくさんあります。でも、それはViViDというバンドの器だったから成立していたところもあるかもしれないし、もっと研究していかなきゃいけないな、と今は思っています。

ほかにもViViDがもう一度復活したおかけで気がついたこと。それは、今まで、無意識に本気を出していたつもりだったんですけど、実はそんなに本気出してなかったんでしゃないか、って。たぶん、今、人生で初めて本気出しているんじゃないかな、って思うんです。音楽活動で生きていく、ということに、本気で今向き合っているタイミングじゃないかな、というのは思います。確かに、目の前のことに全力で向き合ってたんですけど、局所的だったな、って。

「どうして君はこれを選んでいるの?」とか、「どうして今、これに一生懸命やっているの?」と問われたら、明確に答える何かはなかったかもしれません。
今は自分が表現したい核の部分を、また一回見つめ直している段階。改めて音楽人生をゼロから歩み始めているような気持ちでやれています。

さて、この「音楽甘党遊戯」ですが、みなさんにお知らせがあります。
実は、12月で連載は最終回を迎えることになりました。始まりはプリンで、終わりもプリン。今回、「プリン堂」さんにお伺いしたのはそんな意味もありました。
12月はこれまで話したことがなかったようなこと、そして連載の振り返りができればな、と思っています。

それではまた。SHINでした。

プロフィール

SHIN

2011年エピックレコードジャパンからヴィジュアル系ロックバンドViViDのボーカルとしてデビュー。
その圧倒的な歌唱力と魅力的なルックスを持ち合わせる逸材として話題となり、結成2年で日本武道館公演を行う。
2015年ViViD解散後、2016年12月六本木 EX THEATERでのワンマンライブでソロボーカリストSHINとして復活を果たす。
2018年にはYouTube channel「SHIN LOIDちゃんねる」を立ち上げ、登録者数は現在14万人を超える。
2023年5月、ボーイズバンドプロジェクト from ARGONAVISの新キャラクター、大阪出身の2人組ロックバンドST//RAYRIDE(ストレイストライド)Vo.淀川麟太郎役として抜擢され、続く10月にはスマートフォン向けアプリゲーム『ブラックスター -Theater Starless-』の新キャスト「青桐」でシンガーとして歌唱することも決定。
2023年12月6日にはデジタルシングル「NEON」リリース。
2023年12月20日SHIN ONEMAN LIVE「AWAKENING DREAMER」をZepp Shinjukuにて開催。
2024年8月18日SHIN ONEMAN LIVE -心動-をLIQUIDROOMにて開催。

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撮影/杉映貴子、取材・文/ふくだりょうこ、企画・構成/藤坂美樹