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桐山漣の「月刊キリヤマガジン」

ごはんって記憶と結びつく 織田信成くんとケータイ事件

不定期連載

第8回

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前回のお寿司屋にちなんで、今日は食の話を。

僕たちがよく食べるものといえば、やっぱりロケ弁。撮影に入ると、基本的に食事はロケ弁という日が続きます。個人的に好きなロケ弁は「塚田農場」と代々木上原の「金兵衛」。この2つが出てくると、テンションが上がりますね(笑)。

撮影って大抵朝が早くて。そういうときはスタッフさんが簡単なおにぎり弁当を用意してくれるんですが、定番なのは「ポパイ」と「たちばなのやる気ManMan弁当」。たぶん俳優さんならみんなこの2つは絶対に食べたことがあるというくらい、決まってどちらかが出てきます(笑)。おにぎり2つに、ちょっとしたおかずが入ってるだけの簡単なもので。僕らにとっては、軍隊飯のようなもの(笑)。これを食べると、よしやるぞって気が引き締まります。

ハードな撮影現場では、食は大事な栄養補給であり、気分転換にもなる。だから、差し入れにも気を配ります。

僕の場合、よく差し入れするのは、個包装されているどら焼きや一口サイズのクレープとか柏餅。近年、撮影現場に女性スタッフの方が増えてきているので、和洋かかわらず甘いものがとても喜ばれるんです。夏場は、見た目も涼やかで、口当たりもひんやりとするプリンやゼリーをよく選びます。特に白玉やあんこが乗った抹茶ゼリーがおいしいんですよね。あとは、ラムネなんかも。みんなでラムネを飲んでいると、ちょっとしたお祭り感があって、現場の空気が盛り上がる気がしています。

あと食というところで言うと、僕は人とご飯を食べに行くのが好きなんですよ。もちろん一人で食事に出かけることもあるけど、一人飯ってどうしても空腹を満たすためだけのものになりがちで。それよりも人と同じテーブルを囲んで、わいわいと話しながら食べたり飲んだりするのが好きですね。

最近よくご飯を食べに行くのは、俳優の伊藤淳史くん。『白い濁流』というドラマでご一緒して以来、すごく仲良くさせてもらっていて。あっくんだけじゃなく、あっくんのご家族とも一緒にご飯を食べに行きました。お子さんがね、すごく僕になついてくれてるんですよ。ありがたいですよね(照)。

だから、おいしいものを食べられるのもうれしいけど、最終的に記憶に残っているのは、味よりも、そのときの楽しかった思い出。特にお酒を飲むと、時には記憶がなくなっていることもあります(笑)。

お酒といえば、思い出したいい話がありました。スタイリストさんつながりでフィギュアスケーターの織田信成くんとも仲良くさせてもらっているんですけど、一緒にご飯に行ったときに、信成くんが途中で携帯電話をなくしちゃったことに気づいたんですよ。

このご時世、ケータイがないって一大事じゃないですか。それで、一度お店を出て、今日来た場所を辿っていったんだけど、全然見つからなくて、最終的に交番まで行きました。一生懸命おまわりさんに事情を説明している信成くんの背中がまた可愛いんですよ。で、ついその背中を交番の外から写真に撮るっていう(笑)。

2人とも大騒ぎしているんだけど、酔っ払ってるせいか、そういうトラブルもなんだか楽しくて。結果、なくしたケータイも無事に出てきたこともあり、楽しい思い出として僕の中で残っています。まあ、信成くんは全然楽しくなかったかもしれないけど(笑)。

そんな感じで、わりと業界を問わずいろんな人と交流は持つようにしています。むしろ自分とは全然違う世界の人の話を聞くのとか好きなんですよね。その人が今までどういう人生を送ってきたのかを聞くと面白いし、下積み時代の話とかためになることも多くて。いろんな職業を演じる仕事をしているからこそ、興味があるんです。

僕は初対面の人と話すときは人見知りもするけど、できるだけ壁はつくらないタイプ。いい意味で年齢も気にしないようにしてます。それこそ眞島(秀和)さんも年上ですが、ありがたいことにすごく仲良くさせてもらっています。そういえば、この間、雑誌で眞島さんが僕からカワウソの動画が送られてくるという話をしてくれていたみたいなんですけど、実は眞島さんからもたまにカワウソの動画が送られてくるんです(笑)。僕がカワウソ好きと知っているから、見つけたら送ってくれるんですよね。そういうところも大好きです。

だから、大人になると友達ができなくなるとよく言いますが、そんなことはないんじゃないかなというのが僕の意見。もちろん友達をつくるのが面倒くさいという人もいると思うし、それはそれでいいと思うけど、もっと人と仲良くなりたい気持ちがあるなら、遠慮はしなくていいと思う。むしろお互い遠慮しちゃってると、結局距離は縮まっていかないんですよね。

だから、少し図々しいくらいの方がいい。人に踏み込まれるのが得意じゃない人は空気感でわかるので、そういう人の場合は無理強いはしませんが、そうじゃない人で仲良くなりたい相手なら、どんどん自分から話しかけていったほうが、向こうも心を開いてくれる気がします。

あとは、あまり言葉遣いにガチガチにとらわれすぎないこと。特に敬語ってどうしても壁ができてしまうから、相手に失礼のない範囲でうまくタメ口を織り交ぜていくと親しみが湧きやすいんじゃないかな。

僕の場合だと、それこそ眞島さんと話すときは普段は敬語だけど、LINEとかの何気ない返しではこそっとタメ口を忍ばせたりしています。そういう隙も時には大事だったりする。僕も年下でも仲良くなりたい相手だったら敬語外してもらって全然大丈夫なほうで。仕事の場ではきちんとした言葉遣いで接することは忘れてはいけないけど、その使い分けさえできていれば、あまりとらわれすぎなくてもいいと思う。

それよりも、あなたのことが好きですという気持ちが伝わる話し方をすることが、人と打ち解け合う上では大切な気がしています。

それでは、また次回。

プロフィール

桐山漣(きりやま・れん)

2013年に韓国『ソウルドラマアワード2013』ネチズン人気賞(JAPAN俳優部門1位)受賞。
主な出演作は、映画『群青色の、とおり道』(佐々部清監督)『新宿スワンII』(園子温監督)『曇天に笑う』(本広克行監督)『貞子』(中田秀夫監督)をはじめ、ドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(NTV)、『これは経費で落ちません!』『いいね!光源氏くん』『おじさんはカワイイものがお好き。』『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』(読売テレビ/NTV系)キラ役でネットを騒がせる。以降、『白い濁流』(NHK-BS)、『おいハンサム!!』(CX)・『カナカナ』(NHK)CX『テッパチ!』など幅広い役を演じ分ける。

撮影/友野雄、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/江夏智也