Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

桐山漣の「月刊キリヤマガジン」

一つ一つの縁を大切に。独立してからのこと。

不定期連載

第16回

続きを読む

みなさん、『パティスリーMON』観てくれましたか。

僕が演じる加瀬総一郎は、濱田(崇裕)さん演じる大門勇がかつて働いていた店のオーナー。自分の店を畳んで、新しい働き口を探していたところに「パティスリーMON」の求人を見つけ、今度は大門の下で働くという役どころです。

雰囲気としてはちょっと危険な匂いのする、乾いた男。これまでも連ドラに途中から参加することは多くありましたが、出来上がっているチームに入っていこうとすると、普段よりギアを入れていくところはあって。例えるなら、飲み会に途中で合流する感じ(笑)。盛り上がってる場に入っていこうとすると、それよりさらに高めのテンションが必要だったりするじゃないですか。特に芝居を大袈裟にするとか、そういうことはないけれど、自分の中でちょっと気持ちをピシッと引き締めていくような、そういう感覚はありますね。

パティシエ役は今回が初めて。昔、カフェでバイトをしていたことがあって、シフォンケーキをつくったことくらいはあるんだけど、本格的なお菓子づくりは未知の世界。役づくりとして、事前にパシティエの研修を受けさせてもらいました。

仕事を受ける受けないから、ギャラの交渉まで全部自分でやらないといけないので、そこも新鮮ですね。スケジュールの都合でどうしてもお断りをしないといけないものもあって。そういうときになるべく相手に不快な思いをさせないようにするには、どういう言葉遣いがいいのかとかも、わからないなりに頭をひねってやっているので、すごく勉強になっています。

何の後ろ盾もない自分に声をかけてくださる方がいるだけで、本当にありがたいこと。だから、お役に立てないにしろ、感謝の思いだけはちゃんと伝えたい。そしたら、「こんなに丁寧に返事を返してもらってありがとうございます」と逆にお礼を言われたり。今までこういうことを全部周りの人にしてもらっていたけれど、それを全部自分でやることで新たに見える世界もあって、そういう知らなかった世界を覗けるのは楽しいですね。

ただ、独立したからといって、現場で僕がやるべきことは今までとまったく変わらないかな。僕がいつも大切にしているのは、オファーをしてくださった方に「桐山漣を起用して良かった」と思っていただけること。そのために自分がやるべきなのは、相手の期待値を超えることです。現場に出たら、必ずいい得点を決めて帰ってくる。それは昔からずっと心がけていたし、これからも変わらないです。

ただ、マネージャーがいない分、営業をしてくれる人がいないので、ちゃんと自分で次の仕事につなげる働きかけをしてくることが重要。たとえば、現場に行ったら、プロデューサーさんと話す時間をしっかり持つとか。そこで、自分が今どういうことをやりたいのか、ちゃんと伝えておくといった、ちょっとしたアクションは欠かさないようにしています。

そしたら、何かあったときに、僕のことを思い出してくれるかもしれない。そういう印象づけは大切だと思うので、しっかり現場で種まきをするようになりました。

今回の『パティスリーMON』も演出の河原瑶さんはじめ『カナカナ』でご一緒した方たちがたくさんいて。そんなふうに以前ご一緒した方たちとまた新しい何かをやれることが、この仕事を続ける喜びの一つ。また桐山漣と一緒に仕事がしたいと思ってもらえるように、これからも一つ一つの縁を大切にしていきたいです。

プロフィール

桐山漣(きりやま・れん)

2013年に韓国『ソウルドラマアワード2013』ネチズン人気賞(JAPAN俳優部門1位)受賞。
主な出演作は、映画『群青色の、とおり道』(佐々部清監督)『新宿スワンII』(園子温監督)『曇天に笑う』(本広克行監督)『貞子』(中田秀夫監督)をはじめ、ドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(NTV)、『これは経費で落ちません!』『いいね!光源氏くん』『おじさんはカワイイものがお好き。』『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』(読売テレビ/NTV系)キラ役でネットを騒がせる。以降、『白い濁流』(NHK-BS)、『おいハンサム!!』(CX)・『カナカナ』(NHK)CX『テッパチ!』など幅広い役を演じ分ける。

撮影/上田真梨子、動画撮影/宮園妙、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/江夏智也