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LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!

本当に90歳現役の草笛光子さんが愛子を演じたことで勝ち! 『九十歳。何がめでたい』

月2回連載

第140回

LiLiCo

全世代にフィットするし、観た人の生活に直結する話ばかりなんです

今回は公開が始まったばかりの2作品、日本とハリウッドからチョイスしました。まずは日本。『九十歳。何がめでたい』です。

断筆宣言をした作家の愛子、90歳。娘の響子や孫と同じ家で暮らしているものの、日がな1日新聞やテレビをボーっとながめる空虚な生活を送っていました。

一方、ハラスメント問題で謹慎処分になった大手出版社の編集者・吉川が所属している編集部で、愛子の連載企画が急浮上。これぞチャンスと、吉川が愛子を口説き落とし、晴れてふたりは現役復帰!? 同名ベストセラーエッセイを、『老後の資金がありません!』をヒットさせた前田哲監督が映画化したコメディです。

『九十歳。何がめでたい』

なんといっても、本当に90歳現役の草笛光子さんが愛子を演じたことで勝ち! 原作の佐藤愛子さんもお元気なんですが(なんと今年101歳になられます)、草笛さんも佐藤さんも、そして劇中の愛子さんにも共通点があります。それは「口が達者な人はいつまでも元気」ってこと。

それを老害と捉える人もいるかもしれませんが、ちょっと待って。みんな平等に歳は重ねるし、重ね方も人それぞれ。ひとまとめに「年寄りの言うことは」と決めつけないで。だって、確実に経験値が高い人たちですよ。

『九十歳。何がめでたい』

それにこの作品、90歳の愛子の言葉だけでなく、唐沢寿明さんが演じている50代サラリーマンの吉川の置かれている状況も加わって、全世代にフィットするし、観た人の生活に直結する話ばかりなんです。

実はこの作品、ご縁あって出演しています。愛子さんの髪をずっと担当している美容師役なんですが、まさか草笛さんの髪を手にすることができるなんて……。劇中で出てくるトリートメントとセットは本当に私がやってるんですよ(笑)。

『九十歳。何がめでたい』

このきっかけは、草笛さんと前田哲監督。草笛さんのお宅に伺ったときに、ちょうど監督もいらしてこの作品の話になったんです。ただ、そのとき前田監督は『ロストケア』の後だったから、あんなシリアスなものだったら……と不安だった私に、草笛さんも監督も「コメディだから!」とプッシュしてくださって、出演が実現しました。

『九十歳。何がめでたい』

90代のモデルケースといえる草笛さんの美しさと、「素では?」と思えるほどのお芝居、誰にでも刺さるストーリー、そしてひと目観ただけでは分からない私(笑)。スクリーンでお楽しみください。

この物語を理解するヒントは“妖精”

さて、もう1作は『ザ・ウォッチャーズ』。M・ナイト・シャマランがプロデュース、彼の娘イシャナ・ナイト・シャマランが初脚本&監督したスリラーです。

孤独なアーティストのミナは、鳥を入れた鳥かごを指定の場所に届けなければならず、森に迷い込みます。しかも、スマホやカーラジオが壊れ、車も動かなくなり、車から出てさまよったあげく戻ってみたら車まで消えてしまうという状況に恐怖におののく彼女。

『ザ・ウォッチャーズ』

そんな彼女の前に現れたのはガラス張りの部屋。そこに避難すると、60代のマデリン、20代のシアラ、19歳のダニエルの3人がいました。彼らはそこを監視する何者かに怯えており、3つのルールを守っています。ドアは決して開けない、常に光のあるところに、監視者に背を向けるな……。この3人とルール、監視者、それにこの部屋。一体何が起きているのか。

『ザ・ウォッチャーズ』

シャマランの作品には当たり外れがある、と思っていますが、これは当たり。彼の監督作ではなく、娘イシャナの監督・脚本作ですから、別物と考えなければいけないかもしれませんね。とはいえ、彼のプロデュース作だけに、彼の作品の独特なタッチが貫かれています。

シャマラン映画につきものの“ネタバレ厳禁”があるので、多くを説明することはできません。が、この物語を理解するヒントをひとつ。これが出てくるとは言いませんが、ヨーロッパにおける“妖精”です。

『ザ・ウォッチャーズ』

日本だと幽霊や妖怪を怖がりますよね? それと同じような感じで、ヨーロッパでは昔から妖精が信じられていて、いい妖精も悪い妖精もいるという考えがあります。これを頭に入れておくと、この映画を観た後、すごく怖くなるんですよ。あー、言いたい! けど、ガマン。

『ザ・ウォッチャーズ』

父シャマランの映画のようにいくつかのどんでん返しがありますし、エンディングはなんとほっこり!? 登場キャラの気持ちになって観ていただけると、この怖さも温かさも分かっていただけると思います。




(C)2024『九十歳。何がめでたい』製作委員会

(C)2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己

プロフィール

LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。

夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が講談社より発売中。

『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』

講談社 1400円(税別)
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