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LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!

最後は心から感動することをお約束します『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』

月2回連載

第141回

難易度が高いひとり二役ですが、見事に演じきっていることに魅了されました

埋もれてほしくない映画、今回は3作品ご紹介します。まずは公開中の『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』。タイの双子姉妹監督が手がけた、双子の青春ラブロマンスです。

一卵性双生児の中学生ユーとミーは、双子であることを最大限利用して楽しい生活を送っていました。たとえば、食べ放題のレストランや映画館など、そっくりな見た目を利用して……(ダメですけどね)。しかも、ふたりは仲良しで、どんなこともシェアして隠し事も一切なし。

『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』

そんなふたりがある夏、祖母の家で過ごすことになったとき、魅力的な少年マークと出会います。同時に恋に落ちるふたり。でも、恋はシェアできるものではなく、初めて人生の岐路に立たされます。

監督は双子の女性ですが、ユーとミーを演じたのはひとりの俳優。これがすごく上手に撮れているんです。ユーとミーは見た目は同じでキャラもほぼ一緒ですが、ちょっとだけ性格に個性を持たせているのが特徴。ひとりの俳優が演じるにはなかなか難易度が高いひとり二役ですが、見事に演じきっていることに魅了されました。

『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』

また舞台が1999年の夏なので、懐かしい“ミレニアム問題”が物語に絡んだり、双子ならではのエピソードの使い方など、この時代を生きた監督にしかできない物語の設計になっていることもポイント。どこに向かうのか全く想像できない展開ですが、最後は心から感動することをお約束します。

『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』

いろんな映画のオマージュを感じられるシーンが盛り込まれていて、スピルバーグに教えたいレベル(笑)!

2作目は日本のスリラー『温泉シャーク』。

観光に力を入れようとしているとある温泉街で、観光客の失踪事件が多発。しかも、彼らはみなサメに襲われた傷のある遺体で発見されます。警察と海洋生物学学者が捜査に乗り出したところ、なんとこの地に太古の昔に存在したとされる巨大サメが蘇り、人々を襲っていることが分かり……。

『温泉シャーク』

夏ですからね。定番のサメ映画! しかも温泉とサメって全くつながらないタイトルからしてキャッチーですよね。予告編を観たときから、全身全霊この映画を応援しようと思ってたんですよ。だってなぜ温泉にサメ?(笑) この理由はちゃんと説明されますし、突拍子もないことだけど妙に納得もできちゃう。おまけにサメの登場数が映画史上最高記録では?と思えるほど多いのもサービス満点!

『温泉シャーク』

いろんな映画のオマージュを感じられるシーンが盛り込まれていて、これは……スピルバーグに教えたいレベル(笑)。登場人物はときどきヘン……いや、みんなヘンだけど、しっかりと演じられていて、役者みんなをハグしたくなっちゃいました。

『温泉シャーク』

そして注意点がひとつ。エンドロールの最後まで観てね。お楽しみが待ってますよ。あー、これは私も出演したかった~!

将来的に起こってもおかしくない設定がおもしろい!

さて、最後の1作品は、意外なおもしろさ満点の『日本で一番恐くない間取り』です。

近未来の日本。孤独死などで亡くなる人が増えたことで、気づけば日本にある物件の全てが事故物件化。まっさらの物件は残すところ1軒のみとなってしまいました。そこに住んでいるのはフリーターの山田。彼は全くその物件の希少価値に頓着することなく、平穏に暮らしていましたが、国内最後の無事故物件には注目が集まります。

『日本で一番恐くない間取り』

そこで現れたのは、幽霊アレルギーの大富豪。アパートの管理会社と組んで、山田の追い出しにかかります。ところが、どんな手を使っても山田が退去することはなく、追い出し計画はエスカレートしていくことに……。

まず設定がおもしろい。事故物件がネタになる今と違って、ゆくゆく全部が何かしらの死亡案件を抱えた部屋になるだろう、という想定はオリジナルだし、ありえなくないこと。将来的に起こってもおかしくないですよね。

『日本で一番恐くない間取り』

そこに希少価値を求める金持ちやブローカー的な不動産管理会社が現れるのも納得ですし、なんとしてでも無事故物件を手に入れたいという気持ちも分からないではありません。このアイデア、よく思いついたな~、と思いますし、『カメラを止めるな!』的な試金石になるんじゃないかとも思っています。

『日本で一番恐くない間取り』

いろいろなキャラが登場しますし、みんなずる賢いんですが、私が注目したのは悪徳不動産業者役。これを演じたヤマダユウスケさんは、他の作品でも目を引いていたんですが、今回はズバッとハマってます。で、よくよく調べたら、うちの小田井涼平と同じ事務所だった……(笑)。そんな出会いにも驚いてしまいました。






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取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己

プロフィール

LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。

夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が講談社より発売中。

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