LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!

健康管理のためにもこの映画は観るべき『ナースコール』

月2回連載

第183回

撮影:源賀津己

役作りのために州立病院のインターンシップを修了したレオニー・ベネシュさんが本当にすごい!

オスカーシーズンなので、関連作がドドッと公開し始めていますが、そんなときだからこそ埋もれてしまう作品がごっそり。ということで、今回も2作紹介します。まずは『ナースコール』。スイスの病院スリラーです。

外科病棟で働くめちゃくちゃシゴデキの看護師フロリアは、病欠した同僚の分まで遅番をこなしていました。しかも、入院病棟は満床で26人の入院患者をみないといけないうえ、看護学校からきている学生の教育までしないといけないという状況。

『ナースコール』

人手不足にもほどがあるなかで、フロリアはひとつずつ丁寧に仕事をこなしていきます。が、患者さんたちからくる要望やクレーム、他の病棟からひっきりなしにかかってくる電話、緊急のナースコールで、同僚とたったふたりで回すには手一杯。ストレスがピークに達した大混乱のなか、彼女は投薬ミスをしてしまい、そのショックに打ちひしがれます。そんなときに、さらなる追い打ちが……。

『ナースコール』

数年前、転んだ拍子に膝の皿がありえない場所まで動いてしまうほどの怪我をした私。それで病院に初めて入院したんですが、あのときのことをありありと思い出しちゃいました。入院中にお世話になった看護師の皆さんとは和気あいあいとおしゃべりをして、凹んだ私を励ましてもらいましたが、ほんっと看護師さんの仕事には敬意を払うべき。私はこの映画に出てくる患者さんのような要求はひとつもしませんでしたが、そういう人もいるよね……というカスハラ、パワハラの連続。

『ナースコール』

そりゃ慣れない環境で、しかも夜ひとりになったら不安ですよ。ちょっとでも不安があったらすぐにナースコールボタンを押したくなる気持ちは分かります。が、命にかかわることもあるにせよ、もっと大人になってよ!と言いたくなりますし、できるだけ自分のことは自分で、と思う人がこの映画を観たら「体を壊さないように注意しないと……」と思うはず。そう、健康管理のためにもこの映画は観るべき。

『ナースコール』

そして、レオニー・ベネシュさんが本当にすごい。フロリア役のレオニー・ベネシュは、この役作りのために州立病院のインターンシップを経験したばかりか修了。医薬品の扱い方や医療機器の操作などを完璧にマスターして挑んだそうですが、てきぱきと専門的な仕事をこなす姿は本物の看護師そのもの。このリアリティがあるからこそ、大混乱の一夜の話が真に迫ってくるんですね。繰り返しになりますが、病気にならないよう気をつけます!

『ナースコール』
上映中

大人の漢の色気にも浸っていただきたい! 軽い気分でぜひ劇場へ

さてもうひとつは、『スペシャルズ』。昨年の『ナイトフラワー』が映画賞を席巻している内田英治監督の新作です。

児童養護施設で補助職員として働くダイヤは、実は元伝説の殺し屋。そんな彼を含む孤高の殺し屋たちが集められます。その条件は“ダンス経験がある”こと。裏社会を牛耳る本条会の親分が、必ずダンス大会に訪れるため、そこでの暗殺計画を実現するための潜入目的でした。

『スペシャルズ』

そこで、ダイヤはチームを組んでダンス大会に挑むことに。ところが、集まった殺し屋たちはダイヤを除きダンスのド素人ばかり。どんなに練習しても上達しない彼らに手を差し伸べたのは、ダイヤの勤務先で一番ダンスが上手な少女・明香。彼女のトレーニングを経て、次第にダンスの魅力に目覚めた彼らは大会に、そして暗殺ミッションに挑むのですが……。

『スペシャルズ』

Snow Manの佐久間大介さんが主演、椎名桔平さんやNCTの中本悠太さんなどがダンスチーム役というスターだらけの作品ではありますが、なんせテーマ設定も物語もぶっ飛んでいるので、どんな映画か分からずに観ることを躊躇している人が多そう。安心して下さい。むちゃくちゃ面白いんですよ。

『スペシャルズ』

佐久間さんや椎名さんが上手なのはもちろんとして、私が特に言いたいのは青柳翔さん! ダンスチームを組む殺し屋のひとり、シン役ですが、んまぁ~びっくりするくらいの色気。コワモテのおじさんたちが必死になって、少女からダンスを学ぶドタバタを楽しんでもらいつつ、大人の漢の色気にも浸っていただきたい! 軽い気分でぜひ劇場へ。

『スペシャルズ』

『スペシャルズ』
上映中

取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己

プロフィール

LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。

夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が講談社より発売中。