LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!
これこそリアル結婚生活!『これって生きてる?』
月2回連載
第186回
撮影:源賀津己
お互いに飽き始めた夫婦で観に行けば、きっとそのあとは優しく出来る……かな?
GWに向けて話題作が続々と公開されていますが、そんななかだからこそ埋もれそうな作品をふたつ紹介します。まずは、『これって生きてる?』。ブラッドリー・クーパーが監督・出演した、中年の危機を描いたヒューマンドラマです。
NYに住むアレックスとテスはふたりの子どもに恵まれ、キャリアも順調だったのに、ある日、ふとしたことをきっかけに結婚生活は破綻への道へ。それぞれの道を歩み始めようとするなか、アレックスは息抜きにコメディクラブに行きます。そのとき、心のダメージとやけくその勢いで舞台に立ち、夫婦生活の赤裸々なエピソードをネタにスタンダップコメディを始めてしまうのですが、それが大ウケ。彼は新たな生きがいを見出そうとします。
ふたりの結婚生活の一時期を切り取った1本。これこそリアル結婚生活! 夫婦ってたまに愛しあえてるけれど、次の瞬間は「消えてくれればいいのに」と思ってしまうものじゃないですか。このふたりのパターンなので、なぜ彼らがこうなってしまったのか、については深く考えなくていいです。いわば覗き見気分で。
旦那さんが絶望感を抱えながらも、スタンダップコメディにハマっていくというアイデアが面白いんですよね。しかも、奥さんが他の男とデートしているときに、たまたまそのお店に行ってしまうっていう運命も、結局は夫婦なんですよね。だって長年連れ添ってきて、行動範囲もパターンも似てきちゃってるんだもの。彼らのまわりの友だちもカップルなので、彼らのことを見守り、迷いながらも一緒にいたりするところにも共感しました。
お互いに飽き始めた夫婦で観に行けば、きっとその後は優しくできる……かな? ちょっとの間だけでもそうしてくださいね(笑)。個人的には『アメージング・グレイス』を歌いながら朝ごはんを準備するシーン、ステキでした。
『これって生きてる?』
4月17日(金)公開
これを観て今更ながらツイッギーのファンになりました
さて、もう1作品は『ツイッギー』。60年代に女性のファッションとライフスタイルを変えてくれた伝説のモデル、ツイッギーのドキュメンタリー映画です。
1965年、16歳でデビューしたツイッギーは、華奢で小柄、ボーイッシュなスタイルにプラスして、マリー・クワントがデザインする自由な女性像を象徴するスターモデルとして大ブレイク。人々の常識を次々と覆し、スウィンギング・ロンドンのシンボルとして世界中にミニスカートブームを巻き起こしました。そんな彼女は、ブームの後でも自分らしい表現を求めて歌手や俳優としての活動を始めます。
そんなツイッギー本人の肉声、アーカイブ映像をはじめ、ポール・マッカートニーやブルック・シールズなど、彼女にゆかりのある人々のインタビュー映像を交えたドキュメンタリーです。監督はマリー・クワントのドキュメンタリー映画『マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説』のサディ・フロストなので、そちらをご覧になった方は必ずセットで観ていただきたい。
数年前、モデルのタイラ・バンクスが製作総指揮とホストを務めたリアリティ番組『アメリカズ・ネクスト・トップ・モデル』の審査員としてツイッギーが登場しましたが、そのときに彼女本人を久しぶりに拝見。相変わらずキレイなんですよね~! ただ、そのときはそれまで彼女が何をしてきたのか全然知らなかったので、このドキュメンタリーを観たことでいろいろ知ることができてよかった。とても新鮮でした。まさか俳優として映画はもちろん、舞台もやっていたとは!
世界中を虜にしたあのときのスターダムに負けず、しっかりと自分の考えと人生プランを持っていたからこそ、ずっとこの業界で仕事ができたツイッギー。やはりレジェンドって、自分に嘘をつかず、天狗にならず、人を愛し、自分を大事にするんですよね。それを絵に描いたような人。わたしは70年生まれなので、ツイッギー全盛期を知っているわけではないのですが、これを観て今更ながらファンになりました。
『ツイッギー』
4月24日(金)公開
取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己
プロフィール
LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。
夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が講談社より発売中。