LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!
パフォーマンスで本物を感じさせられるので没入感がすごい!『Michael/マイケル』
月2回連載
第190回
撮影:源賀津己
彼が愛する家族からどのように扱われてきたかを丁寧に描いたことに、この映画の意味があります
今回は3作品紹介します。まずは『Michael/マイケル』。
ご存知、“キング・オブ・ポップ”ことマイケル・ジャクソン初期の伝記映画です。支配的な父ジョセフの下、マイケルをはじめとする兄弟はジャクソン5としての活動を開始。彼らはまたたく間に人気を得て成功街道に乗ります。中でも群を抜いた歌唱力を持つマイケルは、レコード会社などの業界人から注目されるとともに、彼自身もソロとしての活動に興味津々。
そんな中、気鋭のプロデューサー、クインシー・ジョーンズと出会ったことで、彼のクリエイティビティは炸裂。「今夜はビート・イット」や「スリラー」の制作の裏側をはじめ、マイケルが完全にソロアーティストになるまでの歩みを描いています。
マイケルの偉業は語るまでもありませんが、彼が愛する家族からどのように扱われてきたかを丁寧に描いたことに、この映画の意味があります。栄光の裏には深い闇があり、今で言うところのパワハラ、モラハラ、DVは当たり前の毎日。常にジョセフに怯えながら生きていた彼の半生には驚かされるでしょう。そんな彼を優しく包み込み理解を示す母キャサリンの存在なくしては、彼がソロになることもなかったのでは?と思います。
マイケル役はマイケルの兄ジャーメインの息子、つまり甥っ子のジャファーが演じていますが、基本的には似てないんですよ。ただ、パフォーマンス中のふとした表情、横からのショットなどは「え、本物?」と思うほど似ているのが不思議。マイケルの要であるパフォーマンスで本物を感じさせられるので没入感がすごいですよ。ちなみに、バブルスも出てきますのでお楽しみに(笑)。
『Michael/マイケル』
6月12日(金)公開
氏田役の佐野弘樹さんはとてつもない才能なんです
次は本当に埋もれそうなのでホームページを確認の上走って!と言いたい、『焼け石と雨粒』。東京は上映中、中部関西は今月公開されます。
フリーターの氏田は、スーパーの店員に好意を寄せながらもストーカー化。どうしようもない彼は高校の同級生・沙月に相談するうちに次第に彼女に惹かれるようになり、互いに距離を縮めるのですが……、というお話。これ、実は2022年に1回だけ上映されたものの、その後日の目を見ることがなかった作品。好評ゆえに公開が決まりました。
なにがすごいって、氏田役の佐野弘樹さん。とてつもない才能なんですよ。氏田は言葉を選ばずに言うとかなりクズな設定なんですが、これたハマり役。いや、佐野さん本人は全然違っていて超いい人&大人なんですが、あまりにも芝居が上手過ぎて。デビュー当時の作品にして、このクオリティはびっくりしますよ。
やはり見る人は見ている、って思うのは、昨年は主演映画『Good Luck』がありましたし、今年は『嘘もまことも』や『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』が公開待機中。原点ともいえる本作は、絶対にご覧いただきたい!
『焼け石と雨粒』
5/29(金)よりアップリンク吉祥寺にて上映中
6/19(金)よりアップリンク京都、6/20(土)より大阪第七藝術劇場、 ナゴヤキネマノイにて順次公開
お相手探しの目的を見失っている人や、自分に厳しすぎて自己評価低めの人には絶対観てもらいたい!
さて3本目は、現在公開中の『マテリアリスト 結婚の条件』。私がこよなく愛するダコタ・ジョンソンの主演作。
NYの結婚相談所で相手をつなぐマッチメーカーとして働くルーシーは、婚活サポートのプロ。クライアントが求めるわがままな条件をなんとかマッチングさせ続け、彼女自身もクライアントたちと同じ物質主義=マテリアリストになっています。
そんな彼女は、クライアントの結婚式で大金持ちハリーから猛烈アプローチを受けます。ところが、そこで給仕していたのは俳優志望の元カレ、ジョン。経済も家柄も学歴もパーフェクトなハリー、貧乏な夢追い人だけど優しいジョンの間で、彼女の気持ちは揺れ動き……。
クライアントの影響を受けまくってマテリアル・ガールになっているルーシーが、本当の愛情を模索し始めるお話ですが、んもー、ダコタがやっぱりむちゃくちゃ良すぎるんですよ! 仕事としてマッチング仲介してたらそりゃそうなるわ、とは思いつつも、揺れ動く気持ちの表現……たまらん。これは自分自身が何を目的にお相手探ししているのか見失っている人や、自分に厳しすぎて自己評価低めの人には絶対観てもらいたい!
ちなみに私個人の話でいえば、私が求めていたのは「同じペースでお酒を飲める人」だったんですよ。でも、結婚って違うんですよね。すでに結婚している私のような人たちも、この映画を観ると「あ、この人と連れ添ってるのってなんでだっけ?」と思い返すことができますよ。
『マテリアリスト 結婚の条件』
上映中
取材・文:よしひろまさみち
撮影:源賀津己
プロフィール
LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。
夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が講談社より発売中。