後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の INU COMMUNICATION
チワワにこんがらがって
毎月連載
第2回
友人のカメラマン、橋本塁くんがネット上で子犬の名前を募集しているのを見つけたのは、6年前のことだった。
彼はカメラマンとして敏腕だけでなく、水玉模様の偏愛家として有名で、好きが高じて水玉模様を得意とするファッションブランドを立ち上げ、衣服だけでは飽き足らず水玉模様のタトゥーを身体に入れているという水玉狂であった。
だとすれば、当然、飼い犬についても水玉にちなんだ名前がいいのではないかと思うのが自然な人心のあり様だろう。
「水」と「玉」のいずれかの文字を使って、あるいは「水玉」から連想して犬の名前を考えるのは「玉」の字に引っ張られて大変に難しいことだけれども、英語にするとポルカドット、とてもポップな響きになる。俺はそこから拾って、「ポルカがいいのではないか」と彼に送信したのだった。SNS時代の潮流に乗った軽はずみな提案だった。
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