「次はK-1選手のワンちゃんに会いに行きます」

連載の担当編集者が楽しそうに俺に告げたのは、何週間前だっただろうか。

格闘家が飼っている犬など猛犬に決まっている。しかも、K-1選手で、チャンピオンであるという。人喰い熊にも怯まず襲いかかる猟犬のような、ムチムチの筋肉と闘争心と鋭い牙だけで出来上がった犬を連れてくるだろう。

思い起こせば小学生だった頃、「この子は将来、立派な不良になります」という担任教師の予言を全力で回避すべく、俺は母親によって近所の柔道場に通わせられる羽目になった。

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