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大久保佳代子 (オアシズ)の 人生そろばん

仕事のサイクルと、1泊100万円のホテル

毎週連載

第82回

本格的に色々なテレビ番組に出させていただくようになったのは37歳くらいの時。

なんで、かれこれ10年以上経ちます。それまで、めちゃイケと特定の深夜番組だけだったのが、クイズ番組やら情報番組のロケやら、あちこちの番組から声をかけてもらえ、何となく一通り出たなと言う感じに。でも、一周すると、これがパタッと落ち着くんですよ。しばらく「大丈夫かな?私」とか「とりあえず目の前の仕事を頑張ろう」とちょい焦りつつ過ごしていると、また何がきっかけかよく分からないけど、再びぼちぼちと呼ばれるようになって。波というかサイクルがあるんでしょうね。

ここ最近も。以前、このコラムで「ステイホーム生活に慣れちゃったから、コロナ前のようなペースでの仕事はイヤだな」みたいなことを言ってたんですが、6月後半あたりから、コロナ前のペースよりも忙しくなって。久々に波が来たようで、色んな番組に呼ばれ忙しい日々になってしまいました。まぁ、ありがたいんですがね。波が来た理由として思いつくこととしたら、ステイホーム中、リモート収録で酔っ払いながら緊張感ゼロの自由な感じでやっていたのが評価されたのかなと。そうなると、酔っぱらっている私が面白いんだから、酔って出演しないと面白くないみたいな気持ちが芽生えてきて。飲みたい衝動を何とか抑えていますが、アルコール依存傾向が強まってきて怖いです。

ここ最近の仕事で、楽しいけどしんどかったのが、『マツコ&有吉 かりそめ天国』で1泊100万円のホテルに泊まるというロケ。「メズム東京 オートグラフコレクション」という東京オリンピックに向けて外国人のVIP用に4月にオープンしたばかりの超高級ホテルで。ここのスイートルームでのロケだったのですが、部屋はバカ広いし、ベランダも外国仕様でオシャレなソファー席で朝食がとれるほど。そこからは浜離宮が見えて、さらに向こうには高速道路も見えるっていうまさにセレブ気分を満喫できる部屋。1泊100万ですって。

この超豪華なホテルで、ただただ「ダラダラする」という企画内容。夕方4時くらいにチェックインし、しばらく部屋でダラダラした後、夕食は創作フランス料理を。シェフが部屋へ出向いてくれて目の前で料理を。創作フレンチなもんだから、ほおずきがこねくり回してあったりする未知なる料理が出てきて。

ほおずきなんて、かつて山形へ行ったときに、農家のおじさんに「食べ過ぎると腹を壊すぞ」と言われながら丸かじりした以来だけど、その時のほおずきとは全く別物。他にも、飲めそうなほど柔らかい牛ヒレのステーキやら白身魚のムニエルみたいなのをワインと共に。途中、メニューにない麦焼酎をわがまま言って持ってきてもらったりも。

その後、バーでオリジナルカクテルを飲んで、酔っぱらって寝ると言う流れ。翌日の朝は、ベランダでアメリカンブレックファーストの朝食をいただいて。

これが放送された後、色んな人から「大久保さん、羨ましいなぁ」とか「あれはいいロケですね」と言われたんですけど、いやいや、決してそんなことないんです。確かにスタッフさんから「大久保さんが好きなことをやってもらえれば」と言われるんだけど、さすがにカメラの前で昼寝するわけにもいかないから、サービス精神からお風呂シーンはマストで撮らなくちゃと思うし、お酒を飲むということは、酔っ払いぶりを見せなきゃいけないということだから本気飲みするし。色々考えるんですよ。

でもって、やっと23時半くらいにロケが終わったと思ったら、「明日は6時から準備してもらって6時半から撮影します」って。せっかく最高のベッドなのに、5時間しか寝れないんですよ。

だから、「羨ましい」って言われるたびに、「いやいや、全然楽じゃないんです」ってことを強く説明しています。プライベートじゃないからね。常にカメラが回っていて、周りにスタッフのおじさんが数人見ているという状況って、そんな楽しめないですよ。



構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

大久保佳代子おおくぼ・かよこ

1971年、愛知県生まれ。相方・光浦靖子とともに、1992年にオアシズを結成。OLと並行してお笑い芸人として活動をし、2010年以降はお笑い一本に。数多くのレギュラー、連載を持つ。
http://www.p-jinriki.com/talent/oasiz/