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大久保佳代子 (オアシズ)の 人生そろばん

知らない人たちが見守る中、餅をつくのは絶対イヤ

毎週連載

第83回

前回、仕事で泊まった超VIPホテルの話をしましたけど、あのレベルではなくとも、ここ最近のプライベート旅行では、ある程度グレード高めなホテルに泊まるようにしています。

年に1回の海外旅行なんで豪華に行きたいのと、グレードが高いと何が良いって、“ラウンジ”があること。40歳過ぎて、ラウンジの素晴らしさを知ってしまったら、もう“ラウンジ”なしでは生きられなくなってしまいました。

あるグレードになると、ホテルの「ラウンジ使い放題」というサービスが付いてくるのですが、昼間であれば、ケーキやらサンドイッチと言った軽食とコーヒーや紅茶が食べ放題&飲み放題、夜であれば、ビールやワインなどアルコールが飲み放題で。無料(タダ)で飲む酒ほど美味しいモノはありませんから。

かつ貧乏性なのもあって、夕食はガイドブックに載っているようなお店で食べたとしても、その後は、バーなんかには目もくれず、まっすぐラウンジへゴーします。一度、ラウンジが23時までで終わるってなった時、全力で走りましたから。22時半過ぎに滑り込んで、ダラダラと23時半までタダ酒を。で、酔うだけ酔って、そのまま部屋へ戻って眠れるって最高の流れじゃないですか?

いつも一緒に行く、親友いとうあさこさんも同レベルの貧乏性で卑しいので、一緒にラウンジまで走ってくれて助かります。

やはり旅において、宿泊施設は、一番重要視するところ。ここを失敗してしまうと、せっかくの旅行が台無しになってしまいますから。

数年前のお正月休みのこと。家族プラス親戚も入れて10人くらいで、実家の近場にある温泉旅館に泊まったことが。1泊1人2万円弱だったので、悪くないレベルの宿です。到着し部屋でくつろいでいると、仲居さんの1人が私に気づいてくれて。変にコソコソするより、気づいてもらった上で接したほうが楽なので、私も「大久保家一同、お世話になります」とか言って距離近めに対応して。

でも、仕方ないのですが、夕食時、数人の仲居さんが来て「一緒に写真を撮ってください」「サインをください」と。親戚もいるので、あんまり時間をとりたくないなと思いつつも笑顔で応じて。でも、こうなると私も芽生えだしてしまうんです。「写真を撮ったりしてあげたから、何かサービスしてくれるかも」という下心が。焼酎1本をサービスしてくれたら最高だし、船盛りのお刺身を1種類プラスしてくれても嬉しい限り。密かにワクワクしながら待っていたのですが、結局、夕食時は特に何もなく終了。

翌日、朝食を食べている時の事。仲居さんの1人が私の元へコソコソとやって来て。「ついに何かサービスをしてくれるのかな?」と期待していたら…。仲居さんが耳元で言ったのが、「今からロビーで餅つき大会が始まるんですけど、大久保さん、良かったら一番最初にお餅をつけますよ」って。真っさらな餅の上にに最初に杵を振り下ろせるというサービスを提案されて。

確かに、そんな機会はなかなか無いけど、プライベートで旅行に来ている私としては、それはちょっと。大勢のお客さんが見ている中、テンション高めに「よいしょっ!」と言いながら餅を付くのは、罰ゲームに近いというか…。私って、そんなに餅つきが好きそうに見えるかしら? 結局「ありがとうございます。大丈夫です。お餅、食べさせていただくので充分です」と丁寧にお断りしました。

やはりホテルや旅館は、程よい距離感をとってもらえるのが大事かなと思います。あと、写真やサインのお礼に地元の焼酎を1本でも頂けたりしたら、間違いなくリピートさせていただきますんで。



構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

大久保佳代子おおくぼ・かよこ

1971年、愛知県生まれ。相方・光浦靖子とともに、1992年にオアシズを結成。OLと並行してお笑い芸人として活動をし、2010年以降はお笑い一本に。数多くのレギュラー、連載を持つ。
http://www.p-jinriki.com/talent/oasiz/