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大久保佳代子 (オアシズ)の 人生そろばん

タクシーでの移動は半々の賭け

毎週連載

第111回

前回、「電車やバスでの移動が好き」という話をしましたけど、早朝からの仕事だったり、疲れ具合によってはタクシーを利用することもあります。でもタクシーって当たり・ハズレが激しいイメージが。基本、知らない男性(最近は女性も多いですが)とふたりきりの密室ですからね。その運転手さん次第で、快適度がまったく違ってくるのです。

その密室の中で「良い運転手さん! ノンストレスで仕事現場に着いた!」ということが5割、「イライラする運転手だなぁ。仕事前にストレス与えないでよ!」ということが5割。あくまで個人的な印象ですが、タクシーには、それくらいの振り幅があると思っています。だから大事な仕事現場へ行くのに、その半々くらいの賭けをしたくないのです。イライラしたまま現場に入ると本番にまで影響しかねないですから。

タクシーの何が苦手って、加齢臭などの臭い問題もあるんですけど、コロナ禍では窓を開けても嫌味じゃないので助かっています。本当に嫌なのが、道を間違えておきながら平然としている運転手さん。

ちょっと前にも、乗るべき高速の入り口で乗らず、下道を使ったものの迷うというあり得ない状況になり、遅刻するんじゃないかとイライラしっぱなしでした。

なんとかギリ遅刻せずに済んだけど、迷って大回りをしているわけだから、気持ち的には料金を若干引いて欲しいなと思ったわけです。なのに、この運転手さん、目的地到着直前で、急に私に話しかけてきて。「お客さん、もしかしてモデルさんか何かですか?」と。いやいや、よく見てよ。見事な中年体型に血色の悪いスッピンという地味なおばさん全開ですから。だから「はっ? 違いますけど」と不機嫌丸出しで答えると、「すみません。お綺麗なのでモデルさんかなと思ってしまって」と。頭の中「???」のまま目的地へ到着。

割り引いてくれるのを期待していたものの、何事もなかったようにメーターの料金をそのまま請求されて。いや、一言「お時間かかってすみませんでした」とか言ってよと思いましたが、それすらもなく。おそらく「モデルと間違う」という安いおべっかでミスを帳消しにしようとしたと思われるけど、余計に腹が立ちます。そんな簡単じゃないですから。

あと、つい先日も。若い男性の運転手さんだったのですが、「細い道を入っても大丈夫ですか?」と聞いてきたので「早いなら大丈夫ですよ」と答えると「近道なんですけど、数分遅れちゃうかもしれないです」と。心の中で「うん? どういうこと? 近道なのに遅くなるってどういうこと?」と軽くパニック。冷静に「近道なのに遅くなるんですか?」と尋ねると「細い道だとスピードが出しづらいんで」って。「いやだったら、確実な広い道行けよ!」とツッコミそうになったけど、車内が嫌な空気になりそうなので我慢。あまりにも意味不明なやりとりに「この人、もしかして私に何か試してる?」と思いつつ、モヤモヤしたまま目的地到着。アレはいったい何だったんでしょう?

タクシーの運転手さんも人間だから色々な人がいますしね。私との相性だってあるだろうし。だから電車やバスに乗って自分のペースで移動するほうが間違いなく快適なんです。



構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

大久保佳代子おおくぼ・かよこ

1971年、愛知県生まれ。相方・光浦靖子とともに、1992年にオアシズを結成。OLと並行してお笑い芸人として活動をし、2010年以降はお笑い一本に。数多くのレギュラー、連載を持つ。
http://www.p-jinriki.com/talent/oasiz/