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稲葉友の「話はかわるけど」

多面×ファン×還元

毎週連載

第166回

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ラジオ番組でとあるゲストの方に語ってもらった「アイデアの出し方」と「ファンの定義」に、刺激を受けた稲葉さん。一歩引いた視点を持つことで、新たにわかることがあるようです。

最近考える機会を得た話。それはラジオで出会ったある人から聴いた考え方。J-WAVEは祝日に朝9時から夕方6時までの9時間を特別プログラム番組としてお送りするのだが、先日の天皇誕生日にその枠で僕がナビゲーターを務めることになった。番組の内容は、出資額10万円をかけてチャレンジャーが事業のプレゼンをして、ゲストと番組スポンサーとナビゲーター・計3人が審査員になってジャッジを下すというもの。例えるならば昔やってたTV番組『マネーの虎』みたいな感じ。

ゲストの方々というのはアンミカさん、プロレスラーのオカダ・カズチカさん、あとは世界的ダンスグループのs**t kingz(シットキングス)のshojiさん、未来開発ユニットAR三兄弟の川田十夢さん、SHOW ROOMを立ち上げた前田裕二さん。各方面のスペシャリスト皆様のお話が多面的でとても刺激的だった。

その中でも前田裕二さんのお話が頭の中でループしている。ひとつはアイデアの出どころのお話。アイデアは既存の何かと何かを組み合わせるのが基本で、例えばスマホだったら携帯とパソコンの組み合わせであると。その時たまたま例に出ていたのが今流行ってもう定着しているウーバーイーツと何かを掛け合わせてみようというもの。「ウーバーとお笑いをかけ合わせたらどうなるだろうか?」という例が挙がった。ざっくりいうとステージが減って困っているお笑い芸人さんにお笑いを提供して欲しいという人が場所を提供するというもの。

前田さんが言うには、矛盾していても多少破綻していてもいいからアイデアをどんどん書き出してみるのが大事だそう。そうすると「あれ?これはイケるかも!」というものが出てくる。練りに練って完成度の高いアイデアを一つ出すのでなく、数多くのアイデアを出した方が良い物が生まれやすいのだとか。掛け合わせてみる、とにかく数多くのアイデアを出してみる。量質転化というらしい。分野を問わず参考になる考え方なんじゃないだろうか。

前田さんが提供しているサービスではファンと演者の距離がものすごく近いイメージがある。なので「ファンというものをどう考えて捉えていますか?」という質問をした。それに対して「その人のために、スケジュールの変更、仕事を休んだりバイトのシフトを変えたりして、日程を調整し確保して遠征して応援できる。それがファン。そうじゃない人がファンという意味ではないけど、顧客としてのファンはそう」というものだった。つまり運営者として「この人にどれくらいのファンがついているか」というのを見るときは、それが定義になるのだそう。

プレイヤーから見るファンと経営者が見るファンが違うのは認識していたがはっきりと言語化されたことでハッとしたし、経営者にとってのファンは前田さんみたいな考え方があるんだなと新鮮な気付きがあった。僕自身も好きな作品やアーティストさんとかお笑い芸人さんに時間やお金を使う。この舞台が見たいからチケットを買って時間を合わせて観に行こうとかなんらかのアクションを起こす。

好きなものや人を応援するのって時間とお金と心と身体を使うんだよな。いろんな応援の仕方があるしそれ自体に差異があるということではないのだけども。応援して頂いてる側として改めて本当にありがたいと思うしファンとして応援しているプレイヤーの存在にもより感謝だなと。おれどこにいるんだこれ。エンタメサンドイッチ。

エンタメに関わる人の書いたエッセイや物語のある小説は読むけど、もっとビジネス書とかも読んだら面白く刺激になるのかなと。考え方というか思考のパターンが自分の中で増えるのは何かにつけていいことのように今は思える。

いつもSNSや連載にコメントくれる人にありがとうございますだし、劇場や映画館に足を運んでくれる人にも支えてもらっているし、数ある作品を追いかけてくれる人にも感謝だし、ラジオを聴いてくれているリスナーの存在にもとても救われている。様々な発信や選択肢がある中で選んで追いかけてくださってありがとうございますと改めてお伝えしたい。応援してくれてありがとうございますと。「面倒くさいヤツ好きなりましたね、もっと素直なヤツがいいんじゃないですか?」とか発言してた時期もあった。皆笑ってくれていたけどあんまり良くないぞ当時のおれ。当時は自分を作っていなかったようでいて、そういう自分を作っていたように思う。

そんな皆様に、何をしたら喜んでもらえるだろうか。こんなご時世なので長らく対面出来ていない。「ありがとうございます」を伝える会をやりたいな。ありがとうございますを伝えられる会を開かれても困るのか。なんだその会ってなるな。ありがとうございますを言われるために行くのか?ってなるもんな。もちろんこちらで楽しんで頂くための用意はしつつだな。空間に広がるあの優しい空気を共有出来る場所を作りたい。そんなことを思う今日この頃でした。

次回の更新は3月16日(水)です。お楽しみに!

プロフィール

稲葉友(いなばゆう)

1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。
2010年、ドラマ『クローン ベイビー』(TBS)で俳優デビュー後、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動。
主な出演作に、ドラマ『仮面ライダードライブ』(‘14~’15 EX)、『MARS~ただ、君を愛してる~』(’16 NTV)、『ひぐらしのなく頃に』(’16 BSスカパー!)、『レンタル救世主』(’16 NTV)、『将棋めし』(’17 CX)、映画『ワンダフルワールドエンド』(’15)、『HiGH&LOW』シリーズ、『N.Y.マックスマン』(’18)、『私の人生なのに』(’18)、舞台『すべての四月のために』(’17)、映画『春待つ僕ら』(’19)『この道』(’19)など。
J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』(毎週金曜11:30~16:00生放送)ではレギュラーパーソナリティ―を務める。

撮影/古川義高、取材/藤坂美樹、構成/中尾巴、ヘアメイク/速水昭仁、スタイリング/添田和宏、衣装協力/コート¥25,300/チャンピオン ブラック エディション(ヘインズブランズ ジャパン カスタマーセンター TEL:0120-456-042) ノースリーブニット¥19,800/ラッピンノット(HEMT PR TEL:03-6721-0882) カットソー¥7,700/イーイーエックス(イーイーエックス https://ex.egozaru.com) パンツ¥22,900/テイクオン メガネ¥37,400/エバース(ともにシアン PR TEL: 03-6662-5525) シューズ¥27,500/ヨーク(HEMT PR TEL:03-6721-0882)