「こきぴあ」第3回は、前回に続きゲストに音楽プロデューサーのUTAさんをお迎え。日頃から交流の深い二人のトークをお楽しみください。
8LOOMの楽曲で使ったのは、20年前に買ったFender USA
── 前回は、お二人でギターめぐりをしていただきました。
山下 Acoustasonicがヤバかったです! エレキの形でアコギの音を出せるのがすごいと思ったし、弾いている響きの感じが全然違ったんですよね。
UTA どこかアコギっぽい温かさがるんだよね。僕もAcoustasonicが今日の目玉の一つ。何ならこのあと買っちゃおうかなと思っているくらい(笑)。
── ギターを選ぶポイントはどういうところですか。
山下 色は大きいかもしれないですね。レコードのジャケ買いみたいな感じで、見た目で選ぶのもアリなのかなと思ったり。
UTA 見た目は大事。だって、Fenderであれば音はどれもいいじゃん?
山下 確かに。
UTA だから、手に持ちたくなるかどうか。あとは部屋に置いて気持ちが上がるかどうかが重要。ギターは見た目が8割です(笑)。
山下 思わずふれたくなる感覚は、今日いろんなギターを見てわかった気がします。
── ちなみにUTAさんのマイファーストギターは何だったんですか。
UTA お金のない中学生のときに買ったものだから、ストラト(Stratocaster)みたいな形をした日本製のめちゃくちゃ安いやつだったと思います。確か、ギターとアンプとスタンドがセットで1万8000円とか、そんなんじゃなかったかな。
── では、買って気持ちが高まった1本といえば。
UTA Fender USAのストラトですね。買って20年くらい経ちますけど、いまだに使っています。8LOOMの『君の花になる』でも『Melody』でも使ってますから。
山下 すげえ! 熱いですね、それは。
UTA だから幸輝くんも一生モノの買い物として、いいギターに出会えるといいね。
「100点です」と言い切った瞬間から幸輝くんが推しになりました(笑)
── お二人の出会いはドラマ『君の花になる』からですよね。第一印象は覚えていますか。
UTA 幸輝くんは、東京に出てきたばっかりの少年……ん? 青年か? 少年?
山下 少年でしたね(笑)。
UTA だよね。少年って感じだった(笑)。
山下 会ったその日にUTAさんから「変わらないでね」と言われたのを覚えています。
UTA ああ、そうだそうだ。
山下 最初にお会いしたのが、『君の花になる』のレコーディングだったんですよ。僕はまだUTAさんという存在を知らなくて。プロデューサーの方に「BTSの楽曲をつくってる方だよ」と言われて。検索したら、作曲のところにUTAさんの名前があって、「うわ、本物や!」って。ただ、そういうすごい人ってもっと圧があるイメージだったんですけど、UTAさんはそんな感じが一切なく。
UTA 僕は普段メディアにも出ていなくて。世に出回っている数少ない写真が、黒いサングラスに黒いキャップかぶって腕組んでる写真なんですよね。そのイメージでみんな来るから、実際に会うとよく驚かれる(笑)。
山下 話してみたら、イメージと全然違ってびっくりしました。
UTA だよね。よく「こんな感じなんですね」と言われます(笑)。
── 人生初のレコーディングはいかがでしたか。
山下 ど緊張な感じです(笑)。
UTA でも、『君の花になるまでの365日』ではさ、「何点あげます?」って聞かれて「100点!」って答えてなかった?
山下 あはは。ヤバいですね。
UTA それも含めて、いいなと思って。
山下 自分に甘いんで(笑)。
UTA 100点なんて、なかなか言えない。そこを迷いなく「100点!」と言い切った瞬間から幸輝くんが推しになりました(笑)。
『君花』で初めて歌が楽しいと思った
── 山下くんの歌声はいかがでしたか。
UTA 声はすごくボトムがしっかりしているし、倍音も心地いいし、僕のつくる曲にマッチしてる印象でしたね。
山下 うれしい!
UTA レコーディングを重ねるにつれて、どんどん慣れてきて、幸輝くんなりの表現も出てくるようになって、そういう成長を感じられたのも良かったです。
山下 今まで歌のレッスン自体、そんなに受けたことがなかったので、最初は大変でした。でも、『君花』がきっかけでがっつりレッスンを受けさせてもらって。自分の成長を感じたし、何より今まで僕の中で歌うことはそんなに楽しくなかったんですけど、『君花』で初めて歌が楽しいと思えるようになった。僕にとってものすごく大きな時間でしたね。
── レコーディングに対して苦戦していた印象はありますか。
UTA そんなにないかなあ。どう?
山下 UTAさんからいただくアドバイスが、今までいろんな人がくれたどのアドバイスよりも高度で、「やべえ! 難しい」と思いながらやってたのは覚えています。
UTA 何だっけ?
山下 歌の終わりのところを抜く感じ? みたいな。
UTA 声で終わるんじゃなくて、ちょっと息を吐いて終わらせるというね。
山下 そういうことを教えてもらったのは初めてだったので面白かったですし、難しいなと思いながらやっていましたけど、UTAさんから「いいね」って言われたら、やっぱりうれしかったですね。
── プライベートでの交流が始まったのは、いつ頃からですか。
山下 『君花』が終わってもUTAさんとは関わっていたいなという気持ちがすごくあって。それで、僕から「これが終わっても、一緒に何かできたらやりたいです」とお話しさせてもらいました。
UTA そうだったね。でも正確に言うと、僕が先に言ったんですよ。
山下 え? そうでしたっけ?
UTA その前に僕から聞いたんです、「いつか音楽やらないの?」って。
山下 ああ! そうやった!
UTA もちろん幸輝くんが俳優をメインに活動しているのは知っていたけど、これを機に歌うのを楽しいと思ってくれたなら、いつかこっちの道に引き込めないかなと(笑)。
山下 『CDTV』の年越しSPのときですよね。8LOOMのラストライブで、それが終わったあとに。
UTA そうそう。でももっと遡ると、それこそ最初のレコーディングのときに聞いてたんです、「音楽、興味ないの?」って。そのときは「あんまり興味ない」ってあっさりしてたけど(笑)。
山下 そうでした(笑)。
UTA そのときは完全に俳優モードだったしね。でも、8LOOMとしてステージに立って、お客さんと直接コミュニケーションをとりながらパフォーマンスをしていくうちに、徐々に興味を持ってくれるようになったのかなって。
山下 UTAさんはいろいろと聞いてくれるんですよね。音楽についても「昔のこの人の曲好きなんですよ」という話をしたら、めっちゃ共感してくれるし。
UTA 昔のファンクとかヒップホップとか、いろんな話が出てくるから僕も面白くて。
山下 だから話しやすいし。音楽だけじゃなく、映画のこととか、仕事のこととか、もっとたくさん話したい、共有したいと思える人ですね。
UTA 幸輝くんはもともとダンスをやっていたからか、曲に対する感想が人とは違って。普通は歌詞とかメロディの話をするのに、「ここでドラムのパターンが変わりますね」とか注目しているポイントがマニアック。そこも楽しいですね。どう? 『君花』をやって、聴く曲のジャンルもまた変わってきた?
山下 変わりましたね。ポップな曲も前から聴いていましたけど、もっと深掘りしようと思うようになりました。
UTAさんとは毎日話していたい!
── 改めてですが、二人の関係性に名前をつけるとしたら何でしょう。
山下 え。難しい。
UTA ただの仕事仲間とは違うし。まめに連絡をとるわけではないけど、一緒にいると気楽。そして、何かを一緒に目指したいと思える人。まだ知り合ってそれほど時間が経っているわけじゃないけど、いずれ歳月を積み重ねていく中で、家族みたいになっていくのかなと僕は思っています。
山下 『うれしいです。ありがとうございます!
── 山下くんがUTAさんをこれだけ慕う理由は何でしょうか。
山下 ずっと穏やかなんですよね。それがすごい居心地がいいというのがあります。
UTA ちょっと空気感は似てるよね。
山下 そうですね。勝手にですけど、同じ空気感を感じています。
UTA 僕も幸輝くんもあんまり口数が多くない。だから、よく人から何考えているのかわからないと言われるんですけど、特に何にも考えていないだけだったりする(笑)。
山下 わかります(笑)。
UTA そういうところがある反面、人に対しては真摯に向き合ってるし、仕事に対しても真面目で情熱的。仕事についてもこっちから聞くと、いろんなことを話してくれるんですけど、あえて自分から発しようとはしない。そういうところが幸輝くんらしさかなと思うし、大好きですね。
── 今の山下くんにUTAさんからかけたい言葉はありますか。
UTA 引き続き「変わらないで」かな。
山下 そうですね。間違いないです。
── 『君花』が終わってからここまでの山下くんの頑張りをどうご覧になっていましたか。
UTA 忙しすぎて、寝てるのかなってちょっと心配でした(笑)。
山下 ありがとうございます。大丈夫です!
UTA これは幸輝くんのすごいところで、いつ会ってもフラットなんですよね。ドラマの撮影が佳境で体力的に絶対辛いはずのときもネガティブなバイブスを出さない。そこが、また会いたくなる要因かな。
山下 言うて昨日も会ってましたしね(笑)。
UTA 会ってたね(笑)。ちょうど僕の仕事が終わって、外でメシでも食べようかなと思っていたら、「今からご飯食べませんか?」ってお誘いが来て。
山下 基本、人を誘うときは行き当たりばったりなんです(笑)。
── 行き当たりばったりと言いますが、UTAさんに会いたいなと思うのはどんなときなんですか。
山下 いやもう毎日話してたいですよ!
UTA 本当に?
山下 UTAさんのお家って落ち着くんですよね。
UTA いつかつくろうよ、もうちょっと幸輝くんが大人になって、余裕ができたら、二人の秘密基地。
山下 いいですね。
UTA それこそこういう大人な雰囲気のインテリアで。防音にしてさ、そこで一緒にギターを弾いたり。
山下 めっちゃ憧れますね。そんな秘密基地を持てるくらいになるまで頑張ります!
撮影協力
FENDER FLAGSHIP TOKYO(フェンダー フラッグシップ トウキョウ)
住所: 東京都渋谷区神宮前1-8-10
営業時間 11 時~20 時(年中無休 *年末年始を除く)
https://www.fender.com/ja-JP/fender-flagship-tokyo.html
編集部より
次回の更新は5月9日(木)を予定しております。お楽しみに!
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プロフィール
山下幸輝(やました こうき)
2001年11月7日、大阪府生まれ。B型。
2020 年の第33回ジュノンボーイ・コンテスト、ファイナリストとなり俳優デビュー。’22年のドラマ『君の花になる』で注目を集める。’23年は、ドラマ『ガチ恋粘着獣』『最高の生徒~余命1年のラストダンス~』などに出演。’24年はドラマ『夫婦の秘密』『高額当選しちゃいました』に出演。主演映画『マンガ家、堀マモル』が8 月に公開予定。
撮影/友野雄、動画撮影/宮園妙、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/吉井めぐみ、スタイリング/岩田友裕、衣装協力/DAMAGE DONE 2nd