山下幸輝「こきぴあ」
『私の町の千葉くんは。』撮影現場レポート「ここはキュンがいっぱい起きる場所です」
月2回連載
第20回
初恋の人は、お兄ちゃんの彼女――。マチ先生のことを一途に想い続ける悠人が愛らしくも切ないドラマNEXT『私の町の千葉くんは。』(テレ東系)。物語はいよいよ後半へ。悠人の想いはマチ先生に届くのか。ホーミーとしては幸輝くん演じる悠人をつい応援したくなるところです。
そこで、今回はドラマ撮影の裏側をレポート。幸輝くんとスタッフのみなさんの奮闘に密着しました。
監督が思わず「カッケーな…」とつぶやいたシーンとは…?
ぴあチームがお邪魔したのは、先週オンエアされた第6話の撮影現場。備品倉庫に備品を片付けにきたマチ先生と悠人が二人きりになるシーンです。
幸輝くん自ら「ここはキュンがいっぱい起きる場所です」と紹介。確かに第2話でも備品整理をするマチ先生を悠人が手伝ったり、二人の距離が縮む出来事が描かれてきました。
何より最大のキュンとなるのが、まさにこの第6話で起きた、落ちてきた段ボールから悠人が身を挺してマチ先生を庇うシーン。ちょっと掴めないところがある悠人の男らしさに、ドキドキが止まらない夜を過ごしたホーミーも多いのでは。
撮影に向けてスタッフさんがセッティングを進める間、幸輝くんは待機中。実際の学校を借りてロケを行っているため、置かれている道具はほとんど本物です。「懐かし〜」と目を細める幸輝くん。「技術の授業で使いましたよね」と学生時代を思い出したかのようにはしゃいだ笑顔です。技術の授業ありましたね…はんだごてとかやりましたよね…。
今日の衣装は学ランの下にピンクのパーカーをイン。幸輝くんが通っていた学校はわりと校則が厳しく、着崩しNGだったそう。「だから、学ランの下にパーカーを合わせるのとかやったことなかったんですよ」とリアル高校生の頃にはできなかった夢が叶ってウキウキ顔です。
「じゃあ、幸輝くんは学ランの下は何を着てたんですか」と尋ねると、「カッターです」と一言。ここで、関西圏以外にお住まいのホーミーのみなさんは「??」と思ったかもしれません。そうです、この「カッター」というのはいわゆるワイシャツのこと。関西圏ではワイシャツのことを「カッターシャツ」と呼ぶのです。
「カッターって、関東の人には通じないそうですよ」と指摘すると、「マジっすか!」と幸輝くんもびっくり。さらに、上履きのことを何と呼ぶか聞くと「上靴」と即答。これも西日本方面の呼び方で、東日本出身のぴあチームのスタッフは幸輝くんの「上靴」という答えに驚きの反応。そんなリアクションに、幸輝くんも意外そうな顔をしていました。標準語と思っていたら通用しなかったというのは、地方在住者にとっては「あるある」ですよね。
そんな雑談で和んでいたら、いよいよ準備も整い撮影スタート。まさに棚の上から段ボールが落ちてくるシーンの撮影が始まりました。
さて、この段ボールが落ちてくるというカット、実際にどうやって撮影をしているのかというと、実はめちゃくちゃアナログ。棚の上にスタッフさんがのぼり、カメラに映らない位置に控え、こっそり棒で押しているのでした。時代は令和ですが、思いっきり人力。こうした地道な作業が、華やかなドラマの裏側を支えているのです。
しかも、スタッフさんの位置からは、棚の下にいるマチ先生と悠人の姿は見えません。だから、幸輝くんが飛び出したタイミングと、二人の頭上に段ボールが落ちてくるタイミングを合わせるのが、なかなか至難のワザ。何度もテストを行い、息を合わせます。
何度か繰り返し行っているうちに、マチ先生役の井桁弘恵さんと幸輝くんのおでこがぶつかるハプニングも。「すみません!」と謝りながら、恥ずかしそうにはにかむ二人。まるでドラマさながらの素敵な1コマです。
『私の町の千葉くんは。』は若いスタッフが多く、現場もほがらか。何度もテストが続くと、現場によっては少しピリついたり疲弊したムードが漂うこともあるのですが、『私の町の千葉くんは。』は終始和気あいあい。いい空気感の中でドラマがつくられているんだなと、いち視聴者としてもうれしくなりました。
マチ先生を庇って怪我をした悠人。ここで、傷メイクが入ります。メイクとは思えないリアルな質感。さすがプロの腕は違います。頬にできた傷は痛々しいですが、なぜでしょう、好きな人のために傷を負った悠人はいつもより色気増し増し。幸輝くんもさらにギアが上がったように、キリッと引き締まった表情を浮かべます。
早速そのままお芝居へ。マチ先生への一途な想いを、台詞に乗せてぶつけます。
「先生は24時間、俺と一緒にいればいいよ」という決め台詞に、モニター前で見守っていた監督が「カッケーな…」とポツリ。男性である監督のハートさえ撃ち抜く幸輝くんの破壊力。「ですよね!!」と思わず監督とグータッチしたくなりました。
しかし、教師であり、かつ悠一(犬飼貴丈)の彼女であるマチ先生は、悠人に胸高鳴るものを感じながらも、あえて線を引くように距離をとります。
6話ラストの「(悠一との)将来のことも真剣に考えている」と言われ、まるで突然手を離された子どもみたいな顔をした悠人に、つい胸が苦しくなったホーミーもたくさんいると思います。
小悪魔のようなあざと可愛さだけではなく、ナイトのようなカッコよさや、ドキリとするような色気、すねたような寂しげな表情など、幸輝くんの持っている引き出しを余すことなく見せてくれる『私の町の千葉くんは。』。
はたして悠人の巻き返しはあるのか。三角関係の決着が気になって仕方ありません。きっと最後は悠人の想いが届くはず。そう信じて、残る回も引き続き応援していきましょう!
プロフィール
山下幸輝(やました こうき)
2001年11月7日、大阪府生まれ。B型。
2020 年の第33回ジュノンボーイ・コンテスト、ファイナリストとなり俳優デビュー。’22年のドラマ『君の花になる』で注目を集める。’23年は、ドラマ『ガチ恋粘着獣』『最高の生徒~余命1年のラストダンス~』などに出演。’24年はドラマ『夫婦の秘密』『高額当選しちゃいました』に出演。主演映画『マンガ家、堀マモル』が8月に公開予定。
撮影/杉映貴子、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹