海外映画取材といえばこの人! 渡辺麻紀が見た聞いた! ハリウッド アノ人のホントの顔
エル・ファニング
連載
第162回
エル・ファニング Photo:AFLO
『プレデター』最新作で上半身だけのおしゃべりアンドロイドを快演!
── 今回はエル・ファニングです。彼女がアンドロイドに扮した『プレデター:バッドランド』が公開されました。あのプレデターのスピンオフだそうですね。
渡辺 私は『プレデター』、ほとんど観てないんですよ。縁がなかったというか、あまりにアグリーなんで観る気が失せたというか……。唯一観ているのはポールW.S.アンダーソンの『エイリアンVSプレデター』(04)くらいかな。ご贔屓監督なので観たんですが意外と面白かった。プレデターのキャラが立っていて、がんばってエイリアンと闘った人間を称えてくれる。へー、そんなキャラなんだって感じで。それくらいの知識しかないせいかこの作品、すっごく面白かったですね。期待してなかったせいもあるのか、びっくりでした。しかもB級映画らしく107分ですよ。これだけでもう★3つなのに、面白いんだから言うことなしです!
── 絶賛じゃないですか!
渡辺 そうなんです(笑)。冒頭、プレデターの兄弟愛から始まるんで「そんなキャラだったの!?」って。そういう具合にどんどん裏切られていくのが楽しかったわけです。テーマとしても、今どきのアメリカの方向性とはさりげに真逆で、そこもよかったですね。監督のダン・トラクテンバーグが手掛けたプレデターのドラマシリーズ『プレデター:ザ・プレイ』(22)と、アニメーションシリーズの『プレデター:最凶頂上決戦』を観たくなりました。
── エル・ファニングは?
渡辺 パパから軟弱野郎の烙印を捺された主人公のデクが、その名を返上するため宇宙でもっとも危険な惑星に赴き、最恐のモンスターを倒しその頭を持ち帰らなければいけなくなる。その地で出会ったのがエル扮するティアという名のアンドロイド。なぜか下半身は失われていて上半身だけ。でも、この惑星にとても詳しく、デクは彼女を背中におぶって行動をともにする……というわけです。
エルちゃんはきれいなお嬢さん女優の印象が強いので、こういう役は新鮮だと思いました。『名もなき者/COMPLETE UNKNOWN』(24)でもボブ・ディランから離れていく恋人を演じていて、プリンセスなイメージを払拭しようとしているのかもしれない。
── 彼女が有名になったのは『マレフィセント』(14)のオーロラ姫ですか?
渡辺 ソフィア・コッポラの『SOMEWHERE』(10)やJ.J.エイブラムスの『SUPER8/スーパーエイト』(11)あたりから知られるようになって、ぐっと認知度を上げたのがオーロラ姫という感じでしょうか。私がインタビューしたのも『マレフィセント』でした。ただ、当時はやっぱりタイトルロールを演じたアンジェリーナ・ジョリーの方が大人気だったので、エルはその次という感じで。まあ、仕方がないんですが。
彼女はブロンドで背も高く、ルックスもかわいいのでディズニープリンセスにはぴったりではありますよね。当人も、その中でも一番自分に合うのはオーロラ姫と言っていました。
「出来すぎって思われそうだけど、子どものときの一番お気に入りキャラクターはオーロラ姫だったの(笑)。子どもって、自分と容姿が似ているキャラクターに惹かれる傾向があると思わない? オーロラ姫は私と同じブロンドで、私が大好きなピンクのドレスを着ていた。しかも他のプリンセスよりも背が高いじゃない? 私も背が高いので共感しちゃうのよ。もうひとつは寝てばかりいるところかな」と笑ってましたね。
── 「寝てばかり」のところはかわいいですが、ルックスに関しては自信があるんだなと。オーロラ姫はディズニープリンセスの中でも美しいことで知られてますから。
渡辺 それなりに容姿に自信がないと女優を目指しませんよ、おそらく(笑)。もちろん、アンジーはディズニープリンセスに惹かれたことは一度もないと言っていましたが、似ている似ていないは関係なく、アメリカの多くの女子は一度くらいは憧れたことあるんじゃないですか? こんなことを言っていました。
「ディズニーの世界の一部になるのは、夢でも見ているようなクレイジーな体験だった。世界中の人々に愛されるシンデレラや白雪姫といったディズニープリンセスというエリート集団に仲間入りできたのは、信じられないくらい光栄なこと。“私、オーロラ姫なのよね?”ってときどきほっぺたをつねりたくなったくらい」
── “エリート集団”なんですね(笑)。
渡辺 おそらく今は違う答えでしょうけどね。というのも彼女、作品の選び方がわりと攻めていて、その1本が今回の『プレデター』になる。もう27歳なのでかわいいだけじゃダメだということを、本人が一番分かっているはずですから。
とはいえ、ディズニーのアニメーションで声をあてるの、日本であってもタレントたちにとっては特別な意味があるそうですよ。オファーするととても喜ばれるとも聞いたことがあります。それはアメリカでも同じ。やはり、ファミリームービーなので、誰もが観てくれるというのがいいかもしれないし、誰しも子どもの頃から親しんでいるので、スペシャルなのかもしれません。
姉ダコタ・ファニングとの共演は「まずない」と言っていたけど……
── エルのお姉さんは、天才子役と言われていたダコタ・ファニングですよね?
Photo:AFLO
渡辺 最初はダコタの方が知られていたけど、今はむしろエルの方かもしれませんね。ダコタについてはこう語っていました。
「よく姉妹で共演しないのかと聞かれるんだけど、まずないと思う。というのも私たちのタイプがまるで違うから。作品を選ぶ基準も姉とはまったく異なるし、彼女は私の出演作の脚本さえ読もうとしないんだから(笑)。でも、それはいいことだと思っている。何も知らずに姉の映画を観ることになるから新鮮だし、いつも客観的に楽しめるから」と言っていました。
── なんか仲がいいのか悪いのか、分かりませんね(笑)。
Photo:AFLO
渡辺 でも、これからの作品を調べていたら、ダコタと『The Nightingale』という作品で共演するようですね。これは日本でも邦訳の出ているクリスティン・ハナの大ベストセラー小説『ナイチンゲール』の映画化です。第二次大戦により離ればなれになったフランスの姉妹を描くもので、その姉妹を演じるようです。
あらすじを読んだら、まさに疾風怒濤、波乱万丈の物語。ふたりにとっては「こういうチャンスを待っていた!」という感じなのかもしれません。ダコタもエルも上手なので大丈夫ですよ、きっと!
文:渡辺麻紀
『プレデター:バッドランド』
上映中
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