押井守の あの映画のアレ、なんだっけ?
愛犬家的な視点で好きな駄犬映画があれば教えてください<前編>
月2回連載
第148回
『スーパーマン』のスーパーマンとクリプト Photo:AFLO
Q.
押井さんは『スーパーマン』を観ましたか? クリプトという駄犬が大活躍する映画でした。愛犬家的な視点で好きな駄犬映画があれば教えてください!
── この夏公開されて全世界で大ヒットしたジェームズ・ガン監督の『スーパーマン』に登場するスーパードッグ、クリプトというイヌについての質問です。
押井 その映画は観ていません。麻紀さんは観たの?
── もちろんです。すっごくよかったです。もしかしたら歴代スーパーマン映画の中で一番?というくらいに大好きでした。その理由のひとつが実写映画では初登場となるスーパードッグ、クリプトの存在。少しだけかなあと思っていたら大活躍してびっくりでした。
押井 本当に駄犬なの?
── 駄犬というか、言うことを聞かない自由気ままなワンワンという感じでしょうか。スーパーマンがそんな彼に振り回されるので、駄犬と言うのかもしれないですが、いざというときには頼りになるヤツなんです。赤いマントがお似合いでめっちゃかわいい!
押井 ふーん。飼い主を振り回すから駄犬呼ばわりするのなら、それはいけません。イヌの世界では有名な言葉がふたつある。「バカなイヌはいない。いるのはバカな飼い主だけだ」。もうひとつが「イヌの訓練にメソッドはない。あるのは経験則だけだ」。これは名言なんですよ。
この言葉はいろんなジャンルで使える。軍事だろうが映画だろが。映画の場合だったら「ダメな映画はない。あるのはダメな観客だけだ」とか、「映画にメソッドはない。あるのは経験則だけだ」。軍事だと「必勝法は存在しない。あるのは戦訓だけだ」。それだけ経験的なことが大切な世界だということだよね。
── 確かに汎用性、ありますね(笑)。
押井 イヌにはこうあってほしいと飼い主が思うから“駄犬”なんて表現になる。賢いイヌというのはそのイヌの性格の一部。バカなことしかしないというのもそのイヌの性格。バカとかクレバーではなく、性格が存在しているだけなんです。
賢いというのは人間にとってでしょ? 役に立つかどうかなんていうのは、人間にとっての都合だけ。人間の言うことに反応しやすいのを賢いと言っているだけで、実際の賢さとは何の関係もありません。
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取材・文:渡辺麻紀
撮影:源賀津己

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