押井守の あの映画のアレ、なんだっけ?
最近配信で観た映画やドラマで面白かった作品はありますか?<後編>
月2回連載
第155回
Q.
押井さん、配信は利用していますか? もし利用していたら最近、観た映画やドラマで面白かった作品があれば教えてください。
── 押井さんが配信で楽しんだ映画やドラマのお話をお伺いしています。前回は韓国映画の話からなぜか韓国の話で盛り上がって終わってしまい……今回は、押井さんが配信で観たという前後編の日本の映画のお話です。どの映画ですか?
押井 宮部みゆき原作の高校生の裁判映画だよ。前後編になってて2日かけて観たんだよね。タイトルは何だったっけ……。
── それはおそらく『ソロモンの偽証』(15)だと思います。Wikiによると「学校内で起きた同級生の転落死の謎を、生徒のみによる校内裁判で追求しようとする中学生たち」とありますね。
押井 そのタイトルだった。私は中学生の法廷ものだろうと思って観始めたの。前編はそうだったんだけど、後編は違っていたよね。
── というか押井さん、何でこの映画を観ようと思ったんですか? SF系でもアクションでもないのに。
押井 私の高校時代と重なる部分があったからですよ。
前編が面白かったのは、生徒たちが裁判に向けて組織作りから始めるところ。検事や弁護人、裁判長を生徒たちが生徒の中からスカウトして疑似法廷を作っていく。もちろん学校側は潰しにかかる……というのは、私も高校時代に経験したことだったんだよね。修正動議を連発して生徒会の全校集会を乗っ取ろうとしたの。
問題は単純、制服制帽の廃止だったんだけど、途中から生徒の間で真っ二つに分かれたんですよ。早く勉強に戻りたいという受験生たちと、私たちに同情的な一派。勉強派が7割、同情派が3割くらいだったかな。私たちのもうひとつの意図としては、いかに受験生の日常を中断して、非日常を継続するかというテーマもあった。1週間ぐらい引っ張ったんだよね。
── 受験生からするとやっぱり罪作りだったのでは?
押井 そんなことないです! 当時は自分たちにとってはそれしかないと思っていたから。日常を打ち破ることこそが革命の本質だって。街頭闘争はその場ではすっきりするものの成果はないし、結局捕まって退学になるだけ。なので私たちは、学校と家庭のみで“革命”することにしたんですよ。学生運動が盛り上がっていた時期なので、一定の支持はあったから私たちも頑張ったんですよ。
── そういう頑張った自分と重なっちゃったわけですね。
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取材・文:渡辺麻紀
撮影:源賀津己
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