押井守の あの映画のアレ、なんだっけ?
『ボトムズ』を手掛ける押井さん、ミリタリーに興味をもったきっかけを教えてください<前編>
月2回連載
第156回
Q.
『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』制作決定おめでとうございます。押井監督作品で久しぶりのミリタリージャンル、観られることを楽しみにしています。ミリタリー知識に造詣の深い押井さんですが、その道に興味をもったきっかけの作品が知りたいです。また、今後もミリタリー作品を作る構想はありますか? 個人的には『ゴルゴ13』を押井さんのテイストを加えて作ってほしいです。
── 先日、『ボトムズ』の制作が発表されて、同じような質問がたくさん寄せられました。でも、詳しいことはまだ言えないんですよね? 押井さん。
押井 うん。戦争映画が大好きで、かねてからずっと戦争ものを作りたかった。そう思いつつ50年近く監督をやってきて今回、初めて本格的な戦争ものをやることになったんだよ。ずーっと作りたかったけど、作らせてもらえなかっただけです。
── なんで作らせてもらえなかったんですか?
押井 警察ものという色がついていたからかなあ。一応『ケルベロス』(『ケルベロス-地獄の番犬-』(91))などはミリタリーっぽいんだけど純然たるミリタリーじゃないし、『アヴァロン』(01)もVR(仮想現実)だけでミリタリーしていた。一方、『パト』(『機動警察パトレイバー』)は警察ものだし『攻殻』(『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)もそうでしょ。気が付けば警察ものひと筋になっていたんですよ。
だから、本格的な戦争ものは今回が初めてだし、そもそもロボットものも初めて。日本でアニメーションで戦争ものをやるなら、もれなくロボットものになっちゃうから。ロボットが登場しない戦争アニメ、作られたことあるのかな? ちょっと思いつかない。ロボット戦争ものは日本のアニメ界の定番のひとつなのに、私は今まで無縁だった。なので今回、めちゃくちゃヤル気ですよ。バリバリの戦争ものです。
── 『ガンダム』はあらゆるバージョンが作られていますが、『ボトムズ』は久々なんですよね?
押井 20年ぶりだよね。スピンオフを入れると7、8本くらいあるけど、空白期間が長い。『灰色の魔女』は20年ぶりに『ボトムズ』を再開するというのが触れ込みです。
このコラムがアップされたときはどうか分からないけど、今ヒットしている『閃光のハサウェイ』上映館ではもれなく『ボトムズ』のティーザーを流している。『ガンダム』は数年前からバンダイナムコが“ガンダム・プロジェクト”を始めて、オモチャに限らずあらゆる展開をしている。『ガンダム』は絶えず、3、4本が稼働中という感じだよね。
── 『ボトムズ』の予告編というかティーザーを見ましたけど、情報量が少ないですよね。そう感じた人が多かったのでそういう質問がたくさん寄せられたんだと思いますが。
押井 それは最近のスタイルなんです。一気に情報を解禁するんじゃなく、その都度、小出しにする。出す度にメディアに取り上げてもらって関心が途切れないようにするの。だから、次の解禁を待ってもらうしかない。今はほとんど話せません!
── 質問者は、押井さんがミリタリーにハマったきっかけを聞いています。戦争映画を観てハマったんですか?
押井 違います。反対です。ミリタリーが好きで戦争映画に興味をもったんです。男の子が幼い頃から戦闘機や戦車が好きって普通でしょ? そういう男子もある程度の年齢になると他のこと、たとえばスポーツとか女の子とかに興味が移り、ミリタリーから離れていくんです。ミリタリーファンというのはその趣味が持続した人のこと。好きなものが変わらなかった人ですよ。
だから、あるときミリタリーファンになったという人というのは少ない。子ども時代からの趣味がずっと保管され続けた人間が、軍オタになるんです。
※続きは無料のアプリ版でお読みください
取材・文:渡辺麻紀
撮影:源賀津己
質問はこちらのフォームからお寄せください!
