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森崎ウィン Aiming To Overseas

「リスペクト・トレーニング」を受けました 誰もがその人の人生の主役であることを忘れずにいたい

月2回連載

第139回

こんにちは。森崎ウィンです。

いよいよミュージカル『ウェイトレス』の稽古に入りました。舞台はちょっと久しぶりというのもあって、今はまだ舞台のやり方を思い出しつつ……というところかな。やっぱり映像と舞台って同じお芝居でも全然違います。映像は現場に行って、その場でできるものを出すという感じだけど、舞台は1ヶ月の稽古期間がある。その中で演出家さんと話し合いながら芝居を深める作業をしていくので、より贅沢な分、試行錯誤することも多いです。

特に今回は演出家が海外の方なので、意思疎通の方法がまた違うというか。言葉が違う分、微妙なニュアンスを掴むのがちょっと難しい。大まかな意図はわかるんだけど、細かい感覚の部分をキャッチしきれないところはある気がします。

なので、僕の演じるポマターがどういう人間かはまだ探っている段階。僕のイメージしていたポマターと、演出家さんが思い描いているポマターにズレがあって、そこをここからコミュニケーションを重ねながら埋めていくという感じかな。

僕はこういう状態ってまったく悪いことではないと思っていて。逆に最初からすんなりいくほうが怖いかもしれない。自分が今持っていない、だけど演出家さんから求められているものを、どうやって出していくか。それを見つけるために稽古があると思っているので、ここから本番まで思う存分トライ&エラーをしていこうかなと。

(高畑)充希ちゃんとは『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』以来、約15年ぶりの共演です。でも、充希ちゃん自身、壁をつくるタイプではないので、すごくスムーズにコミュニケーションがとれています。僕がなかなかポマターを掴めずに苦労していたら、充希ちゃんのほうから居残り練習に付き合ってくれて。そういうことがさらっとできる素敵な人です。ここから一緒にまた新しい『ウェイトレス』をつくっていければと思います。

『ウェイトレス』は女性の自立を描いた物語。充希ちゃん演じるウェイトレスがダメな夫から逃れるために自立の道を模索する姿を描いていきます。他にもいろんな女性が出てきますが、みんなそれぞれ問題を抱えていて。悩みと向き合いながら自分の幸せを掴んでいくストーリーは、それに向き合う男性も含め、今の社会に通じるものがあるんじゃないかな。ぜひ本番が始まるのを楽しみに待っていてください。

あ、そういえば、今回の稽古に入るにあたって「リスペクト・トレーニング」を受けました。ハラスメント防止のためにエンタメ業界で最近よく取り入れられている研修なんですけど、こんなにがっつりと受けさせてもらうのは初めてで、いい勉強になりました。

自分はしてないつもりでも、無意識のうちに誰かを傷つけてしまうことってあるんだなと実感したというか。特にドキッとしたのがモラハラです。モラハラってよく名前は聞くし、大体こういうことっていうイメージは自分の中でもあったんだけど、そうか、こういう言動もモラハラになるんだって改めて気づかされることがいっぱいあったんですね。たぶんやってる人からしたら当たり前のことすぎて、自分では気づきにくいのがモラハラ。決して自分と遠い世界のものではなく、身近な言葉なんだと認識が変わりました。

こういうハラスメントの話になると、「ハラスメントなんか受け取る人次第じゃん」と言う人もいるし、「何から何までハラスメント扱いされたら、どう接していいかわからない」みたいな話になることもあるけど、そうじゃないんだと。ちゃんと越えてはいけないラインというのがあって、そこを理解しておくことが大事なんですよね。

僕がいちばんわかりやすいなと思ったのが、「誰もが人生の主役なんだということを忘れてはいけない」という考え方です。僕が僕の人生の主役であるように、みんながそれぞれ自分の人生の主役。だから、自分以外の人を雑に扱っていいなんてことは絶対にないんです。相手をその人の人生の主役だと思えば自然と尊重できるし、自分中心の考えでどうにしかしようとは思わない。「人と接するときは、相手の家に遊びに行ってる感覚を忘れずに」ということをリスペクト・トレーニングでは言っていて、本当にそうだなと思いました。

すごくためになったし、エンタメの現場だけでなく、どこの世界でも共通する考え方だと思うので、ちょっとこの場を借りてシェアさせていただきました。自分を大切にするように、他の人も大切にして、みんなでもっといい社会をつくっていきたいね。

では、今日はこのあたりで。

森崎ウィンでした!

★編集部より★
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プロフィール

森崎ウィン

1990年生まれ。ミャンマーで生まれ育ち、小学校4年生の時に来日、その後中学2年生の時にスカウトされ、芸能活動を開始。
2008年にダンスボーカルユニットに加入し、メインボーカルを担当。俳優としても様々な役を演じ活躍する中で、2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の新作「レディ・プレイヤー1」で主要キャストに抜擢され、ハリウッドデビューを果たす。その後も数多くの映画やドラマに出演し、2020年に映画「蜜蜂と遠雷」で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞。主演を務めた連続ドラマ『本気のしるし』では釜山国際映画祭2021のASIA CONTENTS AWARDSにてBest Newcomer-Actor賞を受賞。その劇場版は第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection2020」作品に選出。
また、ミュージカルの世界でも映画版『キャッツ』(20年日本公開)ではミストフェリーズ役の吹替えを担当。20年ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2で主演トニー役、21年ミュージカル『ジェイミー』(21年)で主演ジェイミー役を務めたほか、2022年に東急シアターオーブで開催予定のブロードウェイミュージカルの名作中の名作「ピピン」日本公演の単独主演、2023年には、ミュージカル『SPY×FAMILY』で主演のロイド役を務めるなど活躍中。
2020年、アジアから世界に発信するエンターテイナー“MORISAKI WIN”として7月1日に「パレード - PARADE」でメジャーデビュー。「パレード - PARADE」はスズキソリオバンディットCMソングに起用され、音楽配信チャート1位を獲得するなど話題に。5月26日には、1stアルバム「Flight」をリリースし、5つの音楽配信サービスで1位を獲得。2022年には、世界を意識した海外作家を起用したシングルのリリースを重ねる中、「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の主題歌も担当し、アーティストとしても幅広い活躍を魅せる。
また、2018年より母国ミャンマーで観光大使を務め、現地でもドラマの主演やCMに数多く出演し圧倒的な知名度を誇る。

撮影/梁瀬玉実、文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/吉井めぐみ、スタイリング/岩田友裕、衣装協力/GARNI