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森崎ウィン Aiming To Overseas

かけがえのない場所、故郷ミャンマーの地震のこと

月2回連載

第141回

こんにちは。森崎ウィンです。

『みなさんも知っていると思いますが、僕の故郷であるミャンマーで大きな地震が発生しました。現時点(4月4日)で、すでに3000人を超える方々の尊い命が犠牲になったと聞いています。そして今なお行方がわからない方、被災地で厳しい生活を強いられている方がたくさんいます。ミャンマーは、僕を育ててくれたかけがえのない場所。ニュースを見るたびに胸が苦しくて、居ても立ってもいられない気持ちになります。

今、世界各国がミャンマーのために動いてくれていて、日本からも緊急援助隊が現地に入って支援活動を行ってくれています。すべての人たちの温かい手に、ミャンマーを母国とする者として感謝を伝えるとともに、一刻も早く復旧活動が進むことを願ってやみません。

地震の被害はミャンマーだけでなく、タイにも及んでいて。タイもまた『(LOVE SONG)』という映画を撮った、僕にとって思い出深い場所です。撮影チームをはじめ、タイにも多くの仲間がいます。どうしてこんなことが起きるんだろうって、地震の一報を聞いたときから、正直気持ちが沈んでいて、今この場で何を伝えるべきなのか、僕自身、迷うところがあります。

いちばん辛いのは、被災した方々。本当なら今すぐにでも僕も何かをしたいんだけど、情報が錯綜している今この段階では、自分に何ができるかもわからない。神様がいるなら、とにかく早く困っている人たちを助けてほしいと祈ることしかできません。こういうとき、すごく自分って無力なんだと思うし、こうやって自分は安全な場所で何も変わらずに仕事をしていることに対して、後ろめたさというか申し訳なさのようなものを感じたりもします。

きっと日本のみなさんの中にも、僕みたいにミャンマーと直接的な関わりがなくても、ニュースを見て同じような苦しさを抱えている方がいるんじゃないかと思います。

ただ、どれだけそこについて考えても、結局人は今自分にできることをやるしかなくて。僕の場合は表に立つことです。1ヶ月稽古を重ねた『ウェイトレス』の幕がいよいよ上がります。この1ヶ月、正直、悩むことのほうが多かったです。自分の演じるポマター医師という役について、いったい何が正解なんだろうと、何度も何度も壁にぶつかりました。もうすぐ本番ですが、答えはまだ見えていません。もしかしたら幕が上がって、やっと少しわかるのかもしれません。怖いな、という気持ちはあります。それでも舞台に立つしかない。それが、僕の選んだエンターテインメントという仕事だから。

この『ウェイトレス』は、今伝えるべきメッセージがたくさんつまった作品です。そのメッセージを伝える一つのピースとして作品に貢献できるよう、僕は僕のベストを尽くします。自分の持ち場でやるべきことをやる。それだけを考えて本番に臨みます。どうぞよろしくお願いします。

★編集部より★
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プロフィール

森崎ウィン

1990年生まれ。ミャンマーで生まれ育ち、小学校4年生の時に来日、その後中学2年生の時にスカウトされ、芸能活動を開始。
2008年にダンスボーカルユニットに加入し、メインボーカルを担当。俳優としても様々な役を演じ活躍する中で、2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の新作「レディ・プレイヤー1」で主要キャストに抜擢され、ハリウッドデビューを果たす。その後も数多くの映画やドラマに出演し、2020年に映画「蜜蜂と遠雷」で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞。主演を務めた連続ドラマ『本気のしるし』では釜山国際映画祭2021のASIA CONTENTS AWARDSにてBest Newcomer-Actor賞を受賞。その劇場版は第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection2020」作品に選出。
また、ミュージカルの世界でも映画版『キャッツ』(20年日本公開)ではミストフェリーズ役の吹替えを担当。20年ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2で主演トニー役、21年ミュージカル『ジェイミー』(21年)で主演ジェイミー役を務めたほか、2022年に東急シアターオーブで開催予定のブロードウェイミュージカルの名作中の名作「ピピン」日本公演の単独主演、2023年には、ミュージカル『SPY×FAMILY』で主演のロイド役を務めるなど活躍中。
2020年、アジアから世界に発信するエンターテイナー“MORISAKI WIN”として7月1日に「パレード - PARADE」でメジャーデビュー。「パレード - PARADE」はスズキソリオバンディットCMソングに起用され、音楽配信チャート1位を獲得するなど話題に。5月26日には、1stアルバム「Flight」をリリースし、5つの音楽配信サービスで1位を獲得。2022年には、世界を意識した海外作家を起用したシングルのリリースを重ねる中、「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の主題歌も担当し、アーティストとしても幅広い活躍を魅せる。
また、2018年より母国ミャンマーで観光大使を務め、現地でもドラマの主演やCMに数多く出演し圧倒的な知名度を誇る。

撮影/梁瀬玉実、文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/吉井めぐみ、スタイリング/岩田友裕、衣装協力/GARNI