【問題】
ジャズを演奏することになったアナタ。高原での野外演奏ということでバンドの中でポジションを選んでいいと言われました。あなたはどれを選びますか?(この心理テスト上ではどんな楽器も演奏できるという設定です。)
この心理テストで分かること。ジャズは大人の世界の象徴でもあります。選んだバンドのポジションにより、あなたが社会生活でどのようなことを心がけているかが分かります。
Aを選んだアナタは
“1番より2番手を好む人”
1番より2番手を好むアナタ。目立ち過ぎず、でも個性際立つ愛されキャラでありたいと願っています。とはいえなんだかんだ「実はあなたが一番」と言われたいのが本音のはず。だけど注目されすぎるのは苦手という天邪鬼な性格ですが、爪痕を残すことを心がけて生きていくことで評価されます。
そんなアナタにオススメの映画は池松壮亮主演、冨永昌敬監督『白鍵と黒鍵の間に』。ジャズピアニストを目指す青年の人生の分岐点を見事な手法で描きつつ、白と黒の狭間に生きる人の心を描いた傑作です。
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Bを選んだアナタは
“自分の心に向き合う人”
自分の心に向き合っているアナタ。急かされるのも嫌だし、勝手に物事を決められるのも好きではありません。とにかく「自分の世界を大事」にしたいので、調子の悪い時は誘いに乗らないことがあなたの為。相手が気持ちよく過ごせることを心がけているので、気疲れしないよう人に会い過ぎないで。
そんなアナタにオススメの映画は宮沢りえ、磯村勇斗共演の石井裕也監督作『月』。障がい者殺傷事件をモチーフにした人間の心の闇を覗く作品は、観るとしばらく頭から離れなくなる痛烈さ。名演にも注目。
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Cを選んだアナタは
“ドラマチックな人生に憧れる人”
ドラマチックな人生に憧れるアナタ。人からも本能のままに生きていると思われたいので、自分の心にも忠実であるよう心がけています。特に「頼れる人」に見られたいので、ええカッコしいなところも。ただ時々、弱音を吐かないと強い人だと思われて、辛い時になかなか気づいてもらえないかも。
そんなアナタにオススメの映画は、ミュージカル映画『シアター・キャンプ』。絶体絶命の教師と元気でやんちゃな子供たちとの関係に笑いながら音楽や歌の素晴らしさに目頭が熱くなるビタミンムービーです。
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Dを選んだアナタは
“クールに見られたい人”
クールに見られたいアナタ。どんな時も動揺せずに冷静に判断できる人と思われたいし、野心を見せることをカッコ悪いと思っています。そんなアナタは「謎めいた人」と見られたいし、人に気持ちを代弁されることを嫌います。努力していることも隠したがる努力家。たまに素直になれば可愛い人です。
そんなアナタにオススメの映画は石井裕也監督作品、松岡茉優、窪田正孝共演の『愛にイナズマ』。若き女性監督の奮闘を描きながら、どうしようもない大人たちとの間でもがき前に進む主人公の情熱に胸が高鳴ります。
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伊藤さとりの今月のオススメ心理映画
池松壮亮主演『白鍵と黒鍵の間に』 物事は“白鍵と黒鍵の間に”
池松壮亮さんが奏でる「ゴッドファーザー 愛のテーマ」は胸に迫るものが!
ジャズピアニストを目指す主人公の運命を変えた出来事を時系列を組み替えて描く池松壮亮さん主演『白鍵と黒鍵の間に』。本作は大学時代から34歳までジャズ喫茶でバイトをしていた音楽好きの冨永昌敬監督が、ジャズピアニストの南博さんの回想録を映像化したものです。
主演の池松さんも劇中のキーとなる「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を実際に演奏しているほどの力の入れようです。しかもその旋律はドラマティックで胸に迫るものがあり、まさに役を演じる俳優の演奏だから生まれるメロディなのではないでしょうか。
そんなピアノは夢分析によると「才能」とも読み解け、夢の中でピアノを流暢に弾いていると自分の新たな才能の開花とも、人間関係がスムーズに行く兆しとも言われています。確かにピアノは自分の感情を表現しやすい楽器。しかも打楽器ではなく弦をハンマーで叩き、音を奏でる弦楽器で調律も必要とするとても繊細なものです。
『BLUE GIANT』に続くジャズの魅力を伝える良作
映画は、イタリアン系マフィアの家族を描く名作『ゴッドファーザー』(1972)の「愛のテーマ』を演奏したことで明暗が分かれる運命を描いたものでもあり、物事は鍵盤のように白と黒だけでは済まないのだと伝える、人生そのものを綴る物語でした。
ちなみにジャズはどうしても大人の音楽というイメージですが、最近はそれを覆すが如く若き3人の青年がジャズに挑むアニメーション映画『BLUE GIANT』(2023)がロングランヒットを記録。あちらはサックス、ピアノ、ドラムという3人編成。“ジャズにはいろんなスタイルがあっていい”と伝えるような自由でエネルギッシュな作品です。
とにかく今年は幅広い年齢にジャズの魅力を伝える良作2作が日本から生まれる記念すべき年な気がします。
『白鍵と黒鍵の間に』
10月6日(金)公開
(C)2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会
プロフィール
伊藤さとり(映画パーソナリティ)
映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介の他、映画評論家として映画レビューを執筆。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。TSUTAYA映画DJを25年務めた。