【問題】
自分の遠い親族のひとりが宇宙人であることがニュースで報じられました。それを知ったアナタはどんな反応をすると思いますか?
このテストで分かること。それはアナタが“気になる領域”です。関心領域の狭い広いが良い悪いではなく、アナタが自分の感情を揺さぶられる関心事です。
Aを選んだアナタは
“出会った人”まで関心領域
アナタは親族の出来事まで自分事のように考える人。出会いを大切にしていて深く関わった人との繋がりを大事にしている人です。一度、密に関わった人とはなるべく連絡を取り、なにか助け合えればと思っています。自分が手を差し伸べられる友達や親族のより良い生活を願っている人情家です。
そんなアナタにオススメの映画はフランス映画『またヴィンセントは襲われる』。突如、次から次へと言われのない暴行を受ける主人公の自衛術から、アナタだったらどう対応するか思考を巡らせて。
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Bを選んだアナタは
“家族”まで関心領域
アナタは家族の出来事まで自分事のように考える人。あまり他者との深い関係を築こうとせず、パーソナルスペースを大事にしている人です。自分の手に負えないことは無理に関わらず、今の生活が安定することを願い、家族の為ならどんなことでも動く誠実さがあります。穏やかな人生を望む謙虚な人です。
そんなアナタにオススメの映画は𠮷田恵輔監督の『ミッシング』。行方不明の娘を探し続ける夫婦と報道の意義を描く作品。自分事として見つめながら人間の関心事や優しさの可能性に気付かされます。
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Cを選んだアナタは
“自分が関わる世界”まで関心領域
アナタは自分を取り巻く社会を自分事として考える人です。特に行動をするのは自分が関わる世界においてですが、時には自分が気になる問題ならば自分なりに何ができるか考えます。探究心があるので自分の周囲が働きやすくなるよう声を上げることもします。ズルイことや嘘が嫌いな真実探求者です。
そんなアナタにオススメの映画は山下敦弘監督の『告白 コンフェッション』。『カイジ』と『沈黙の艦隊』の原作者ふたりが組んだ漫画を生田斗真とヤン・イクチュンの密室劇として描くミステリーに心臓バクバク。
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Dを選んだアナタは
“人”まで関心領域
アナタは見ず知らずの人の悲しみや辛いことも自分事のように考える人です。困っている人が居たら手を差し伸べたくなるし、どんなことも「あれ?」と思えば調べ、時にはより良い環境の為に行動する人です。まさに関心事は人であり世界全体。人間の弱さも意識し、助けられることを考える活動家です。
そんなアナタにオススメの映画は米アカデミー賞国際長編映画賞受賞の『関心領域』。隣がアウシュヴィッツ収容所でも平然を装って暮らす家族の姿はホラーのよう。他人事と考える心理の闇を捉える作品に驚愕します。
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伊藤さとりの今月のオススメ心理映画
『関心領域 The Zone Of Interest』という映画が持つ意味とは
米アカデミー賞では2部門受賞!
ホラー映画ではないのに震え上がった衝撃作
今年に入り観た作品でホラー映画ではないのに震え上がった衝撃作があります。それがアメリカ・イギリス・ポーランド共同製作の映画『関心領域』です。そもそも2023年のカンヌ国際映画祭でコンペ上映された際、話題となりグランプリを受賞。
今年の米アカデミー賞では国際映画長編映画賞の他に音響賞、脚色賞、更には監督賞、作品賞にノミネートされる高評価で、案の定、国際長編映画賞と音響賞を受賞した映画です。それも音響賞ノミネートには本年度7部門を受賞した『オッペンハイマー』(2023)という対抗馬がいたものの、勝ち取るという納得の結果をもたらしました。
全世界に問う痛烈なメッセージ
では何故、ここまで評価されたのか?
それを説明するにはまず本作のタイトルとなる『関心領域』について紐解く必要があります。物語の主な登場人物はアウシュビッツ収容所の所長一家とごく僅かな周囲の人。彼らの住まいは収容所と壁ひとつ挟んだ場所にあり、家政婦さんが居て大きな犬も飼い、広い庭にはプールもあり、パーティも行なえるという家だけで見ると理想的です。けれど皆さんの想像通り隣からは罵倒や黒い煙が上がっているわけです。
ちなみに脚色賞ノミネートということは原作があるわけで、マーティン・エイミスの小説『The Zone Of Interest』の書評を読んだ『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(2013)のジョナサン・グレイザー監督が興味を示し、小説のモデルとなった実在のルドルフ・ヘス一家を調査して脚本を生み出したそうです。
その結果、生まれた本作の核となる主人公は、『落下の解剖学』で米アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたザンドラ・ヒュラー演じる所長の妻。夢のマイホームをやっと手に入れた主婦の無言の心理描写表現は見事。更に周囲の人々の感情の変化を、虐殺はいっさい見せずに夜中に聞こえる怪しい音や異臭だけで物語に転換を持たせます。だからこその音響賞であり、実はナイトシーンも暗視カメラのような映像で不気味にさえ感じるのです。
そんなこの映画が今、作られた一番の理由が、映画賞での賞賛につながっている気がします。
それは一家の日常が私達を投影しているように見え始めるからなのです。思えば世界ではロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続き、イスラエル・ガザ戦争では多くの命が奪われています。それを知りながら私たちは今、何をしているのか。そう考えると本作が自分達に向けられた問いだと気づき、無関心を装う自分達のズルさに胸が締め付けられます。この脚本の妙が賞賛される最大の理由であり、全世界に問う痛烈なメッセージが詰まった過去と現在がリンクする映画なのです。
『関心領域』
5月24日(金)公開
(C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.
プロフィール
伊藤さとり(映画パーソナリティ)
映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介の他、映画評論家として映画レビューを執筆。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。TSUTAYA映画DJを25年務めた。
「ひるおび」(TBS)「めざまし8」(CX)にて映画解説レギュラー。「ぴあ」、「otocoto」、「GLOW」他で映画コラム、「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談&監督対談番組(Youtube)。心理カウンセラー活動から映画心理本も出版、心理テストをパンフレットや雑誌に掲載。日刊スポーツ映画大賞、日本映画批評家大賞、日本映画プロフェッショナル大賞、東映チャンネルほか審査員も→公式HP
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