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心理テストで今のあなたがまる分かり! 映画パーソナリティ伊藤さとり

【心理テスト】あなたの“偏屈度”をチェック! おススメ映画も診断

毎月連載

第70回

【問題】
アナタは生徒です。自分の机の上には緩やかに曲がった棒があります。これを先生からどんな形にしても良いと言われたアナタ、さて、この棒をどうしますか?次の4つの中から答えてください。



今回の心理テストでわかること。それはあなたの“偏屈度チェック”です。人の言葉をどれだけ素直に受け取るのか、性格と共にお伝えします。

Aを選んだアナタは
どんなことも穏便に済ませたい“平和主義者タイプ”

アナタはどんなことも穏便に済ませたい平和主義者。イライラしないことを心がけている反面、自分が人の感情に気づきやすいことも知っています。だからこそ棘がある言葉にも寛大でいようと思う気遣いの達人。言うなれば人の言葉に過敏であり、自分自身も言葉に気をつけているタイプです。

そんなアナタにオススメの映画は、韓国映画『スリープ』。愛する人の睡眠に異変があったらアナタはどう対処するか? 共に安眠を求めて頑張るほど見えない恐怖に陥っていく、共感度の高い作品です。

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Bを選んだアナタは
危険なことは避ける“安全タイプ”

アナタは正しい形に安心感を持つ人。部屋の中もなるべく綺麗にを心がけ、料理もマニュアルをなんとなく気にしながら作る人です。だから人の言葉もそのまま受け取り、言われたことをその通りにやるのも得意なはず。その反面、規定外の動きがやや苦手。危険なことは避ける安全タイプです。

そんなアナタにオススメの映画は、アカデミー賞主演男優賞ノミネート、助演女優賞受賞の『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』。真っ直ぐ過ぎて煙たがられる教師と曲がった生徒との交流は心を暖かくしてくれます。

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Cを選んだアナタは
常に社会に疑問を持っている“アーティストタイプ”

アナタは常に社会に疑問を持っている人。いわば反逆児であり、言いなりになるのを嫌います。そのせいで損をすることも多いし、素直になれない性格から自分で嫌な思いを生み出すことも。けれどその反骨精神が評価され、あるジャンルでカリスマになれる可能性あり。アーティストタイプです。

そんなアナタにオススメの映画は、インド映画『チャーリー』。偏屈で人付き合いが苦手な主人公がやっと見つけた相棒は犬。けれどその犬には病が……となれば何をするか? 涙で世界が曇ってしまう映画。

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Dを選んだアナタは
探究心旺盛な“発明家、研究者タイプ”

アナタは探究心旺盛な人。人の話なんてお構いなし、興味がある内容だけが入ってくる我が道を行く人です。人の言葉も気にならず、自分の思いだけを信じて動くので、孤立することもあるかもしれませんが、アナタ自身が幸せなら問題なし。探究を続けていくことが吉。発明家、研究者タイプです。

そんなアナタにオススメの映画は、実話がベースの日本映画『あんのこと』。一生懸命生きようとしても家族が足を引っ張り、社会が追い打ちをかける。自分以外の人生を知り、社会全体を見つめる傑作。

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伊藤さとりの今月のオススメ心理映画

偏屈でも観察すれば愛おしい『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

中年オヤジの愛おしい映画といえば、アレクサンダー・ペイン!

中年オヤジの愛おしい映画を思い出してみよう。

例えば『アバウト・シュミット』(2002)では仕事一筋だった頑固な男を演じたジャック・ニコルソン、『サイドウェイ』(2004)では別れた奥さんに未練タラタラ、感情ダダ漏れのダメ男を演じたポール・ジアマッティが思い浮かぶのだけど、この二作の監督といえばアレクサンダー・ペインその人。

その他の中年男性の映画『ファミリー・ツリー』(2011)や『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(2013)でも、基本、アレクサンダー・ペインの映画はやや堅物なおじさまが主人公。だけど映画からこの主人公を観察していると、気が回らない面倒臭い男性だけど、ちょっと滑稽に見えてきて、彼が人との交流により少しずつ心が解れていく姿から、気づけば主人公を好きなっているというのが“ペインマジック”なのです。

まぁ、ここまで多くの中年男性を主人公にした映画を作るんだから、ご本人もそんなおじさまに自分を投影しながら作品作りに励んでいるのだろうと思うわけです。それに映画自体が面白いというのも人間の喜怒哀楽を描いているからであり、『サイドウェイ』で綴っているように、ワインは人間と同じで年齢や育った土地により味わいも違うのが面白く、熟成された人の魅力は外見だけでは分からないというテーマを毎回、織り交ぜているんですよね。

しかも『サイドウェイ』でニューヨーク映画批評家協会賞主演男優賞、インディペンデント・スピリット賞主演男優賞を受賞したポール・ジアマッティを当て書きして再びタッグを組んだ『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』の味わい深さたるや。

アレクサンダー・ペインの人間愛は計り知れない!

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

私は本年度ゴールデン・グローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)受賞に満足し、このまま第96回アカデミー賞最優秀主演男優賞をポール・ジアマッティが獲ると確信していたのに、『オッペンハイマー』(2023)のキリアン・マーフィの手に渡り……。

それでも本作で堅物で嫌われ者の教師を演じるポール・ジアマッティの素晴らしさは、この映画でアカデミー賞助演女優賞を獲得したダヴァイン・ジョイ・ランドルフ演じる寮の料理長同様、近くにいそうだけど距離を詰められなさそうな一癖ある人間への好奇心と共に、実は痛みを知っている大人としての深みから出るものでした。

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

物語はそんな人々の過去を詳しく描くでもなく、けれど会話の節々に過去の出来事から心を閉ざしていること、自分なりに乗り越えようとしていることが見えてきます。これは絶妙な脚本力と演技力、そして言葉ではない表現での演出によるハーモニーの結果で、味わい深いキャラクターとして浮き上がってくるから、心から“凄い”の一言。映画やドラマに登場しがちな輝くような美男美女ではなく、ごくごく一般的なやや面倒臭そうな人間が、いかにチャーミングなのかを映画で伝えるアレクサンダー・ペインの人間愛は計り知れないのでした。

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
6月21日(金)公開

Seacia Pavao / (C) 2024 FOCUS FEATURES LLC.

プロフィール

伊藤さとり(映画パーソナリティ/映画評論家)

映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介の他、映画評論家として映画レビューを執筆。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。TSUTAYA映画DJを25年務めた。

「ひるおび」(TBS)「めざまし8」(CX)にて映画解説レギュラー。「ぴあ」、「otocoto」、「GLOW」他で映画コラム、「伊藤さとりのシネマの世界(東映チャンネル)」、「新・伊藤さとりと映画な仲間たち(Youtube)」俳優対談&監督対談番組。心理カウンセラー活動から映画心理本も出版、心理テストをパンフレットや雑誌に掲載。日刊スポーツ映画大賞&石原裕次郎賞、日本映画批評家大賞、日本映画プロフェッショナル大賞、女性記者&ライター映画賞などの審査員も→公式HP