川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』
ヘプバーン『ローマの休日』の話から…髪を切る女性、丸坊主のパルチザン、…最後は、ショートヘアのジーン・セバーグにつながりました。
隔週連載
第48回
『ローマの休日』のオードリー・ヘプバーンは、トレヴィの泉の前にある床屋に入る。思い切って髪を切ってもらう。
椅子に座って、「髪を切って」。長い髪の女性がそう言うので床屋は驚く。「このくらい?」と長い髪の先のほうを少しだけかと聞くと、王女のオードリーは「もっと短く、もっと」。
「本当にいいんですね」と床屋のほうが逡巡するのが可笑しい。1950年代でもまだ女性が髪を切るのは珍しかったのだろう。
この場面のオードリー・ヘプバーンは本当に自分の髪を切った。短い髪のオードリーの可愛いこと。本人も鏡を見て、思わずにっこり。女性のショート・ヘアはここから始まったといっても大仰ではないだろう。