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川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』

成瀬巳喜男監督『女の歴史』の話から…交通事故、盲目の主人公、『街の灯』…最後はランドルフ・スコットの『決闘コマンチ砦』につながりました。

隔週連載

第50回

成瀬巳喜男は後年、交通事故死を描く映画を三本作っている。
 『女の歴史』(1963年)では、戦争未亡人の高峰秀子が、息子の山崎努を交通事故で亡くす。『ひき逃げ』(1966年)では、やはり未亡人の高峰秀子が、五歳になる男の子を交通事故で失ない、その加害者である金持の夫人、司葉子に復讐しようとする。成瀬巳喜男にしては珍しく激しい怒りの映画。
 遺作となった『乱れ雲』(1967年)では、司葉子が夫の土屋嘉男を、加山雄三の運転する車の交通事故で失なう。
 この三作を、ひそかに“成瀬の交通事故三部作”と呼んでいる。