太田和彦の 新・シネマ大吟醸
『南十字星は偽らず』と『女性に関する十二章』、シネマヴェーラ渋谷の2本
毎月連載
第2回

『南十字星は偽らず』 (C)国際放映
1943年、日本統治下のジャカルタ。現地人の高峰三枝子は同郷の若原雅夫と結婚を誓うが宗教の相違がある。高峰は金の亡者の兄・殿山泰司に、お前は日本語がわかるからと、日本人知事・千田是也公邸に高給女中に入らされる。高峰は自国の占領者に仕えるのに抵抗があったが、千田の心優しさにしだいに惹かれてゆく。対日抗戦分子の若原はある夜、千田邸に忍び込んで高峰に見つかり、千田に重傷を負わせて逃げる。
日本にいる妻の死亡通知が来て千田は落胆するが、高峰の優しさにそれを受け入れる気持ちがわき、やがて二人は結ばれ子ができる。その誕生祝いの席で妻の死は誤報で生きているとわかり千田は悩む。高峰はこの地では二人妻は普通と素直に喜んで慰める。