立川直樹のエンタテインメント探偵
エンタテインメントに客が戻ってきた!『活弁と浅草オペラ…』、◉万有引力、いのうえ歌舞伎、松任谷由実のコンサート…見応えのあるステージはどこも満員の盛況だ。
毎月連載
第83回

「活弁と浅草オペラの浅草パラダイス」 (C)高野大輔
5月の最後の日曜日、浅草公会堂まで『活弁と浅草オペラの浅草パラダイス』を見に出かけた。5月16日の東京新聞で「人口知能(AI)で採色したモノクロ映画に、活弁士がせりふや解説をつける“デジベン”が浅草で初めて上映される」という記事を目にして、どんな風になるんだろうと思ったからだが、“映画の魔術師”と言われたジョルジュ・メリエス監督が120年前に撮った『月世界旅行』に色がつき、それを活弁士・麻生子八咫が活弁し、さらに阿波踊りを主軸に新たな日本芸能の可能性に挑み、数多くの海外公演も行っている寶船(たからぶね)がコラボするという仕掛けが何ともユニークで、大正時代に浅草で一世を風靡した浅草オペラを復活させようという思いで上演された『カルメン』と合わせて十分に楽しませてもらった。蛇足だが、雷門あたりから浅草寺、ROXビルあたりまで人出の多いのにもびっくり。コロナはどこへという感じだったが、翌30日に演劇実験室◉万有引力の第73回本公演『盲人書簡◉少年倶楽部篇』を見に行った下北沢のザ・スズナリも、25日にいのうえ歌舞伎『神州無頼街』を見に行った池袋の東京建物 Brillia HALLもキャパシティこそ違え、客席は満員だった。