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篠田正浩 僕の映画探検旅行

小津安二郎と城戸四郎 ―『東京暮色』体験

全10回

第1回

篠田正浩監督

 僕が早稲田を卒業して松竹に入ったのが1953 (昭和28) 年、日本はまだ敗戦から立ち直れずにいましたが、映画界は陽の出の勢いでした。
 撮影所で働き始めたころは、松竹の大船撮影所では小津安二郎(注1)が『東京物語』、木下恵介(注2)が『二十四の瞳』、東宝の砧撮影所では黒澤明(注3)が『七人の侍』、大映の京都撮影所では溝口健二(注4)が『近松物語』を撮影していた時代。映画人口はそれから5年後の1958(昭和33)年には11億2700万人の記録を作りピークを迎えますから、それに向ってどんどん膨張していた時代です。