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泉谷しげる/今日ですべてが始まるさ

俺は、街をうろうろしていた

全10回予定

第1回

撮影:小境勝巳

騒然としてたよね。街自体がさ。だいたい75年くらいまではそんな感じだった。ちょうど俺が誘われてフォーライフを立ち上げるくらいの頃まではね。

何かをやりたいとか、一発当てたいとかさ、そういうものはなくて、かと言って働きたくもねーしさ。だーから、うろうろうろうろしてたよね、街を。60年代の半ばから後半くらいにかけてかな。なんせヒッピーの時代だから、こっちも無理やりフーテン、みたいなさ(笑)。格好つけて。俺は東北からやって来てひとりでさすらってんだ、なんて嘘ばっかついて。中目黒に家あんじゃねーかおまえは!って怒られたけどな(笑)。

最初にギターに興味を持ったのはさ、ベンチャーズだよ。1960年前後だよな。大ブームでさ。だから俺はエレキから始めてんだよ。当時テレビで「勝ち抜きエレキ合戦」ってのをやっててな、もうそれに出たくてしょうがなくってよ。だけどあんまりにも下手くそで無理だった。

そんでバンドらしきものを作ってだな、それなりに練習したりして。それが20歳前くらいかな。でな、他のメンバーの楽器をうちで預かったわけさ。何日か後にコンサートがあるからっていうので、何の都合か、とにかくうちに集めとけと。そしたらよ、うちが燃えちゃった。全焼ってやつ。おれはバイト行ってていなかったんだけど。預かってた楽器やアンプももちろん全部パー。さすがに弁償しなきゃってんで始めたのがフォークってわけさ。

そうなんだよ。だからさ、俺の場合、しょうがないからフォークに移行したっていうのが正直なところ。世はだってフォークブームだから。まず歌う場所に困らない。いろんなさ、会館や公民館、どこでもやれたから。それになんつってもひとりで好き勝手できるだろ。まあ身軽なんだな。で、雀の涙ではあるけれどフォークギター持ってギャーギャーやってれば金ももらえるし。まあ、いい弁償代にはなったわな。

しかしな、アコースティックってのは、こんなに難しいのか!っていうのは、ちょっとびっくりしちゃったな。エレキはさ、楽なのよ。アンプでバーンとやればそれなりに聴こえるんだから。でもアコギの場合はちゃんと押さえないと音が出ないじゃんか、そもそも。そこはね、いやーまいった(笑)。

当時はやっぱ岡林信康さんとか高石ともやさんなんかが相当人気があったよ。俺ももちろん参考にさせてもらったしね。そのすぐ後に吉田拓郎が出てくるんだけど、まさかね、そこに近づけるなんてこの頃は思ってもみなかったけどさ。うろうろしてみるもんだね、ほんと。うろうろしてたらさ、何かにぶち当たるし、誰かが見てくれてたりするから。おい、そこの闇バイトやろうとしてるおまえ! おまえだよおまえ! 家んなかに閉じこもってスマホばっか見てないで、街をうろつきなさい。

学生運動も盛んだった時代だから、みんな金はなかったけど、外には出てたよね。けどまあ、ヘルメット被った奴らとフォークギター抱えた奴らは仲悪かったよ、実際のところ。みんな一緒くたに思われがちだけどさ。やっぱヘルメット連中は「歌なんかやって革命ができるか!」って言ってるし、フォークギターの方は「歌で革命を起こすんだ!」って言ってるし。つーか俺は学生でもなかったからさ、そもそも革命ってなに? みたいな(笑)。は? シンサヨクって? ってな感じだったけどさ。

新宿西口フォークゲリラってのがあったんだけど、それはさ、ベトナムの反戦運動ということだったので、まだノレたんだけどな。新左翼とかになると、ちょっと俺はよくわかんなかった。

けどな、俺は思うんだけど、そうした反権力っていうのかな、それは一番自然なエンタメの形だと思うんだ、実際。やっぱエンタメってのは政治批判であり戦争批判だから。そこがエンタメの極意だから。だって権力に迎合してるエンタメなんてクソじゃん(笑)。つーか、そんなエンタメは存在しないし。そういう意味で、別に政治運動をやってなくても、何かのセクトに入ってなくても、エンタメやってればちゃんと反権力だぜって堂々と言えるってもんだ。

そんなこんなであちこちうろつきまわってたら、渋谷の宮益坂にある喫茶店の前にいた。看板があってさ、そこに何やら書いてある。「RCサクセション/古井戸」。なんじゃこりゃ? バイト帰りで腹も減ってたし、スパゲティでも食うかと思ってな。そこで俺の運命が決まってしまったんだな。

取材・構成:谷岡正浩 撮影:小境勝巳

リリース情報

ニュー・アルバム
『シン・セルフカヴァーズ 怪物』

2025年2月12日(水)発売
3,300円(税込)
【収録曲】
1.怪物
2.世代
3.Y染色体のうた
4.つなひき
5.春のからっ風
6.イメージの詩
7,国旗はためく下に
8.翼なき野郎ども
9.たった一人の熱き想い

公演情報

『泉谷しげる全力ライブ 3時間スペシャル!』
3月22日(土) 京都・磔磔
開場16:00/開演17:00
出演:泉谷しげる、藤沼伸一、板谷達也
料金:前売8,000円/当日8,500円
※入場時ドリンク代が必要

『泉谷しげる全力ライブ90分!広島』
3月28日(金) 広島・SECOND CRUTCH
開場18:30/開演19:00
出演:泉谷しげる、板谷達也(ds)
料金:前売6,500円/当日7,000円
※入場時ドリンク代が必要

『泉谷しげる全力ライブ90分!松山』
3月29日(土) 愛媛・松山KITTYHALL
開場17:00/開演18:00
出演:泉谷しげる、板谷達也(ds)
料金:前売6,500円/当日7,000円
※入場時ドリンク代が必要

『泉谷しげる全力ソロライブ90分!秩父』
4月5日(土) 埼玉・秩父 ホンキートンク
開場17:30/開演18:00
料金:前売6,000円
※入場時ドリンク代が必要

『泉谷しげる全力ライブ90分!宇都宮』
4月13日(日)栃木・宇都宮 HEAVEN'S ROCK UTSUNOMIYA
開場17:15/開演18:00
出演:泉谷しげる、板谷達也(ds)
料金:前売6,500円/当日7,000円
※入場時ドリンク代が必要

■公式サイト:https://studio-izu.com/

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【応募方法】
①ぴあ音楽編集部のInstagram(music__pia)フォロワー限定。
②該当投稿のコメント欄にお好きな絵文字をお送りください。

【応募締め切り】
2025年3月12日(水) 23:59まで

【注意事項】
※当選者の方には3月17日(月) 以降、InstagramアカウントよりDMにてご連絡いたします。発送先等の情報を頂くために、問合せメールをご連絡します。ご自身のメールアドレスや住所などの個人情報をDMに記載しないようにご注意ください。
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