泉谷しげる/今日ですべてが始まるさ
青い森にはRCサクセションと古井戸がいた
全10回予定
第2回
撮影:小境勝巳
どってことない喫茶店でさ。青い森ってのは。渋谷の宮益坂の途中にあって、喫茶店でありながら音楽の生演奏を聴かせる、その当時(1971年頃)の言葉で言えば音楽喫茶。ライブハウスの走りみたいな店だったのかな。50人も入ればいっぱいになるようなところでさ。そこで見ちゃったんだよ。出会っちゃったわけさ。RCサクセションと古井戸に。
ほんとたまたま。バイトが終わって腹へってスパゲティでも食ってくかって、そんな感じでふらっと入った。昼間だったんだけど店内はガラガラで、そうだなあ、5人とか、いても10人くらいだったんじゃねえかなあ。そんななかでRCがやってたんだよ。忌野さんなんかまだおかっぱ頭でさ。あの頃で18歳とか19歳とか、そんなだったんじゃないかな。かわいい顔してんだ、これが。でもさ、音はとにかく凶暴だった。アコースティックの編成なんだけどさ。アコギにウッドベースにドラムっていう。ありゃあぶったまげたね。それまで聴いてきたどんな音楽よりもすごかった。

言っちゃあなんだけど、たとえばフォークの連中のやってる音楽っていうのはさ、そりゃあ岡林さんにしても高石さんにしてもすごいんだけど、どこか、これだったら俺でもできるかもしれないなって勘違いできるようなところがあったんだよな。でもさ、RCはもう次元が違った。敵わない、あんなの。とんでもねーのが世の中にはいるんだなってショックというよりも爽快だったな。
それでもうひとつ驚かされたのは、ステージでの態度(笑)。まあよろしくない。ステージに出てくるなり、「なんだよ、こんだけしか客いねーのか。じゃ今日はもうやめだ」なんつって、ほんとに引っ込んじゃうんだから。すげえなこいつらって(笑)。演奏始めたら始めたで、「ヘラヘラ飯なんて食ってんじゃねー」だの、「おい、そこの◯×△!」だの、とてもここでは書けないことを平気で言ってたよ(笑)。だからさ、後々俺がステージから客に向かって「バカやろー!」だの「コノやろー!」なんて言って、客にそんなに悪態をついたのは泉谷が初めてだ、なんて言われたりしたけど、違う違う、青い森時代のRCが先なんだって。俺のは全部、忌野清志郎からの受け売りなんだ。

とにかくRCと、それから古井戸、この2組は俺が今まで見たどんなやつらよりオリジナルだった。そこから彼らを見たいがために俺は青い森に通い詰めたんだ。当時俺は、別にアーティストになろうなんて思ってはいなかった。イベンターになって、いろんな才能のあるやつらと面白いことやれたらいいな、なんて思って、実際に数人の仲間と会社を作ったりしてたんだ。だからなんとかRCと古井戸をイベントに引っ張り出せないかってことで距離を縮めようとしてたんだけど、これが全然仲良くなってくれない。口も聞いてくれないんだから。特にRCの3人。聞いたところによると、古井戸ですら口を聞くまでに1年かかったって言ってた。とにかく警戒心が強くてな。尖りまくってた。それはもう半端じゃなかったよ。ちょっとでも下心を見せて言い寄ってくるやつがいたら睨みつけられておしまい。
日参するうちに、これじゃあどうしようもないなって思って、そうだ、俺もステージに立てばいいんだと。同じステージにあがっちまえば、そのうち距離も近くなるだろう。ということで、青い森のオーディションを受けることにした。それでまあ受かって、一緒にやるようになって少しずつだけど話をするようになった。
当時、青い森のマネージャーだった男が、なんとか土曜の夜のゴールデンタイムに人をいっぱい入れたいって画策してるのを嗅ぎつけた俺は、それだったらRCサクセションと古井戸と俺の3組をセットにしてひとつのパッケージでやったら絶対に当たるぜ、なんて大口叩いて、まんまとそうすることに成功した。俺が前座ではちゃめちゃやって、あとはRCと古井戸がガツンとキメる。そしたら入りきらないくらい人がいっぱい来て、瞬く間に評判になった。それで気をよくしたマネージャーのつけたタイトルが、なんと『奇人変人大会』ってんだから、恐れ入るよほんと。
なかにはいたのかなー、ほんとの奇人変人が出てるって勘違いした客が(笑)。わかんないけど、とにかく超満員の大ヒットよ。それがエレックレコードの目に止まって、なぜか俺がデビューすることになっちゃうんだな。だからさ、青い森時代ってのは、自分の人生が変わっていく瞬間を、その真っ只中で味わっている感覚っていうのかな。当時、オフコースなんかも出ててさ、今でもたまに小田和正さんと会ったりしたら、青い森の話になったりすることもあるけどな。たった4カ月くらいの期間ではあるんだけど、俺にとってはかけがえのない時間だよな。
取材・構成:谷岡正浩 撮影:小境勝巳
リリース情報
ニュー・アルバム
『シン・セルフカヴァーズ 怪物』
2025年2月12日(水)発売
3,300円(税込)
【収録曲】
1.怪物
2.世代
3.Y染色体のうた
4.つなひき
5.春のからっ風
6.イメージの詩
7,国旗はためく下に
8.翼なき野郎ども
9.たった一人の熱き想い
公演情報
『泉谷しげる全力ライブ 3時間スペシャル!』
3月22日(土) 京都・磔磔
開場16:00/開演17:00
出演:泉谷しげる、藤沼伸一、板谷達也
料金:前売8,000円/当日8,500円
※入場時ドリンク代が必要
『泉谷しげる全力ライブ90分!広島』
3月28日(金) 広島・SECOND CRUTCH
開場18:30/開演19:00
出演:泉谷しげる、板谷達也(ds)
料金:前売6,500円/当日7,000円
※入場時ドリンク代が必要
『泉谷しげる全力ライブ90分!松山』
3月29日(土) 愛媛・松山KITTYHALL
開場17:00/開演18:00
出演:泉谷しげる、板谷達也(ds)
料金:前売6,500円/当日7,000円
※入場時ドリンク代が必要
『泉谷しげる全力ソロライブ90分!秩父』
4月5日(土) 埼玉・秩父 ホンキートンク
開場17:30/開演18:00
料金:前売6,000円
※入場時ドリンク代が必要
『泉谷しげる全力ライブ90分!宇都宮』
4月13日(日)栃木・宇都宮 HEAVEN'S ROCK UTSUNOMIYA
開場17:15/開演18:00
出演:泉谷しげる、板谷達也(ds)
料金:前売6,500円/当日7,000円
※入場時ドリンク代が必要
■公式サイト:https://studio-izu.com/
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【応募方法】
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【応募締め切り】
2025年3月12日(水) 23:59まで
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