河瀬直美『朝が来る』 「役を積む」瞬間を収めたメイキング写真&撮影秘話
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©2020年「朝が来る」Film Partners
河瀬直美監督の新作映画『朝が来る』のメイキング写真、撮影秘話が公開された。
10月23日に公開される同作は、辻村深月の同名小説を映画化した作品。不妊治療の末、自分たちの子供を産めずに特別養子縁組という手段を選んだ夫婦と、中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった母親の姿を描く。実の子を授かることができなかった栗原夫妻の妻・佐都子役を永作博美、その夫・清和役を井浦新、望まない妊娠をした少女・片倉ひかり役を蒔田彩珠が演じる。
公開されたメイキング写真は、特別養子縁組あっせん団体「ベビーバトン」の説明会のシーンを収めたもの。赤子をあやす永作博美と井浦新、カメラを持って撮影する河瀬直美監督の姿や、永作と栗原朝斗役を演じた佐藤令旺、蒔田彩珠と「ベビーバトン」の代表・浅見静恵役の浅田美代子がそれぞれ寄り添う様子などが写し出されている。
実際に特別養子縁組によって子供を迎えた養親が登場するベビーバトンの説明会シーンで、浅田美代子は役者ではない人々からの台本にない質問に1時間ほど答え続けたという。
また河瀬組では登場人物が経験してきたこと、これから経験するであろうことを役者たちが実際に体験するための時間を「役を積む」といい、蒔田彩珠は奈良の中学校に一定期間通って卓球部にも所属。その中学校には、後に恋人となる麻生巧役の田中偉登も通っており、実際に付き合うシーンを撮影するまでは、互いに話すことは禁止されていたとのこと。蒔田彩珠は「話すことはなかったけど、そこに(田中が)居ることは意識していた」と語る。
またカメラが回っていない時も劇中の家族で共に生活していたことから、片倉家の母・貴子役を演じた中島ひろ子が蒔田彩珠の劇中衣装を誤って洗濯してしまっていたというトラブルも発生。撮影場所は東京、栃木、奈良、広島、横浜など河瀬映画史上最多のロケーションとなった。