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湯浅政明、「日本沈没2020」劇場版は「配信版を経て考えた“1つの答え”」

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湯浅政明

「日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ-」の監督・湯浅政明が、オンラインで囲み取材に応じた。

小松左京の小説「日本沈没」をアレンジした本作。Netflixオリジナルアニメシリーズ「日本沈没2020」全10話を、湯浅が自ら編集し、劇場版として再構築した。大地震が起こった2020年の日本を舞台に、中学生の武藤歩とその家族が懸命に生き抜こうとする姿が描かれる。キャストには上田麗奈、村中知、佐々木優子、てらそままさきが名を連ねた。

湯浅は「日本沈没2020」製作時の考えを「オリンピックで日本選手が活躍するとうれしい。でも海外から来ているアニメスタッフに、日本のインタビュアーが『日本のアニメが好きなんですよね』って聞くのを見るとちょっと恥ずかしかったりもする。自分たちの文化が受けたり、自国のスポーツ選手が活躍するとうれしいのは、なんでだろう? 自分のことではないのに? それは“乗っかっている”ということではないか?って、ずっと気になっていたんです」と明かす。そして作品に込めた思いについて「どこまでが日本人なのか、日本人であるとはどういうことなのか。僕らは生まれてから選ぶことなく、当たり前に日本人であるからこそ、それを考えるいい機会になるんじゃないかと思って作りました」と語った。

Netflixで「日本沈没2020」が配信された際、ハードな展開などを受けネット上では賛否両論が起こった。当時を振り返り、湯浅は「『こういう受け取り方もあるのか』といろいろ考えました。でもそういった反応を見て、内容的には間違っていなかったと感じています。うまく伝わっていない部分があったので、それを届けるにはどうしたらいいかを考えました。その1つの答えとして編集したのがこの劇場版です」と打ち明ける。

具体的には、毎話のラストに次回へつながる衝撃的なシーンが用意されていた配信版に対し、劇場版は“スムーズに進むようまとめる”ことを意識したという湯浅。配信版で約40曲使われていた劇伴は半数ほどに減らしたそうで「劇場の席に座って観ることになるので、大仰に引っ張るようなことをしなくても淡々と集中して観てもらえると思った」と説明する。5.1chの音響が採用されている劇場版の見どころに関しては「まず音がいい。劇伴も控えめなので、声や音がストレートに伝わってくると思う」と言及した。

さらに湯浅は、すでに配信版を鑑賞済みの観客に対して「あれをどういうふうに編集しているんだろう、という視点で観てもらっても面白いと思う。どこをピックアップするかというよりも、全体的に縮めることによって、また違う印象となるように編集しています」と劇場版をアピールした。

「日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ-」は、11月13日より全国でロードショー。

(c)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners