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映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』本編映像&小沢健二らのコメント公開

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CINRA.NET

©2020岡崎京子/「ジオラマボーイ・パノラマガール」製作委員会

映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』の本編映像が公開された。

1989年に刊行された岡崎京子の『ジオラマボーイ・パノラマガール』をもとにした同作は、2人の男女の平行線の恋を描いた作品。「スクラップ&ビルドのトーキョーに置いてきぼりを喰ったような気分」の高校生・渋谷ハルコは、神奈川ケンイチへの思いを「世紀の恋」だと信じて夢中になるが、一方の神奈川ケンイチは受験を目前にして学校を辞め、危険な香りのするマユミに恋をするというあらすじだ。渋谷ハルコ役を山田杏奈、神奈川ケンイチ役を鈴木仁、マユミ役を森田望智が演じる。公開日は11月6日。

『この一瞬、こんな風にすれ違った』と題された本編映像は、『ジオラマボーイ・パノラマガール』の冒頭を切り取ったもの。ハルコ役が慌ただしく登校の準備をする姿や、「先生、僕学校辞めます」「思ったんです、僕に学校は必要ないなって」と言い放ったケンイチが教室から立ち去る様子、2人が橋の上ですれ違うシーンなどが映し出されている。

発表とあわせて小沢健二、吉本ばなな、黒沢清、山内マリコ、濱口竜介、今泉力哉、佐々木敦、しまおまほ、オカモトショウ(OKAMOTO'S)、ラブリーサマーちゃん、環ROY、NANAE(seven oops)から寄せられたコメントが公開。

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小沢健二のコメント

キッズなるものは透明な、抽象的な、誰でもない魂として在り、その身体が僕や京子さんでも、この映画の彼や彼女でも、そして今はまだガキンチョの子たちでも、永遠に続くのかも
――そうだ、きっと、大人なるものも。

吉本ばななのコメント

若いときだけの苦しみ、キラキラを細部まで再現。
なんだか、とーってもいい映画だったな!

黒沢清のコメント

埋立地の青春は空を飛ぶがごとく、滑らかで、白く、薄い。地に足など絶対に着けぬ。
ちょっと不安だがそれが冷徹な現実というものだ。私はこの二人に未来を任せていい気がしてきた。

山内マリコのコメント

建設中のタワーマンションを遊び場にする東京の子供たちがまぶしい。
元気いっぱいに片想いする女の子と、たじろぐ男の子も。
あちこちで、20世紀と21世紀が交差する。
都市の風景は無慈悲なほどあっけなく変わる、流行は素知らぬ顔で循環する、人だって交換可能なパーツみたいに入れ替わっていく。
たしかなことはただ一つ。世界はいつだって十代のもの。

濱口竜介のコメント

重層的な都市空間で、ボーイ・ミーツ・ガールやガール・ミーツ・ボーイやガール・ミーツ・ガールが交錯する。
少女たちはすれ違い、振り向き、倒れ込む。
身振りの数々が、彼女らのからだを突き動かしているものを語らずとも示す。
2020年代、天才が本領を発揮する。その嚆矢!

今泉力哉のコメント

瀬田なつき監督の映画が好きだ。
どきどきする。
登場人物が、映画がずっと踊ってる。
この映画に流れる時間。せつない目線。
山田杏奈さんも鈴木仁さんも好きになる。

佐々木敦のコメント

高低差へのこだわり、ガール・ミーツ・ボーイ、日常に穿たれる異世界、これはまぎれもなく瀬田なつきの映画だ。
岡崎京子的世界の現在への時間移動ではなく、岡崎京子的世界の現在形の不成立こそが、本作のテーマだ。
すなわち、シリアスの否定の否定、ピュアへの懐疑の終わり。

しまおまほのコメント

ああ、わたしっていつ岡崎京子の世界みたいな人物になれるのかしらってあの頃は悩んでいたけれど。
振り返れば、立派に登場人物やっていたじゃないかって思う。カッコいい役じゃあなかったけれど。
……今だって。駆け抜けるような、涙が出るほど酸っぱい青春はもうそこにはないけれど。
ふと見上げる青空が、あ、今わたし岡崎京子の世界にいる。
そう思わせることが、たまにあるのだ。

オカモトショウ(OKAMOTO'S)のコメント

“岡崎京子”というファンタジーの中に出てくる東京はなぜか少しノスタルジックで、それでいてまだよく知らないものに溢れている。
あのワールドを構成する詩や、歌のような言葉たちの行間に流れる独特の空気感を捉えて映し出した監督はすごい!
いつの間にか忘れてしまっていた大事なことを少しだけ思い出せたような映画でした。

ラブリーサマーちゃんのコメント

すれ違っても出会わないような、そこらじゅうに溢れる、なんてことない出会い。
敬語の二人。不意にタメ口になる二人。敬語に戻る二人。
そんな些細な出来事を見逃さず、誇張せず、茶化さない作品で嬉しくなりました。
衒いなくありのままでいることしかできないティーンエイジャー。
青臭い恥ずかしいセリフも言えるし、なんだってできてしまう。
泣いたり、ぬか喜びしたり、大変そうだけど楽しそう。その瑞々しさが眩しかったです。
SFのような世界であっても、人の愚かしさ、愛らしさ、人との出会いは、いつまでも普遍的なものです。
そして恋は言ってみりゃボディー・ブロー!

環ROYのコメント

いつもドキドキしていた。憧れて、失望して、立ち止まって、駆け出した。
いま思えば、些末なことばかりだった。
だけど、あの時の世界では、それがすべてだった。

NANAE(seven oops)のコメント

17歳ならではの儚さ、危うさが
ちょっぴり痛くて愛おしい
胸の奥がぎゅーっと締め付けられる
とても素敵な映画でした。
いわゆる「青春ラブストーリー」
その予想はすぐに裏切られます。
朝方の乾いた匂いや
肌の柔らかさまで伝わる映像は
生々しく本当に美しい。
大人こそ観てほしい作品です。